またまた香川県のお客様でTR250に続きZのボアアップのご依頼です!!
このオーナー様お一人で5機目のボアアップです
一人のお客様は3機と言うのは過去に二人居ますが5機ってのは初めてです
Zを購入されたのですが当店の1230のZ1000も所有されていて乗り比べると亀らしくZ1も1230ccにします!
入庫したのがこのZ1です!!
レストアされてまだ100キロも走行されていません
早速エンジンをバラシます!
組まれて新しいエンジン・・・・
ピストンは純正ノーマルピストンですが!
目の粗いホーニングです!
サビもあります
ホーニングマシンのクロスハッチではなくドリルとサンドペーパーでグルグルした様なホー二ングです!
スリーブ打ち替えなのでこのスリーブは抜き取ります!
加熱すると塗装がペリッときたので!
ブラスト後リペイントします!!
スリーブは緩みも無くしっかりと入っていました
腰下を降ろします
エンジンの腰下の状態は!!
とても良好です!!
さすがにスリーブ内径がざらざらなのでピストンリングが摩耗し粉がオイルパンに溜まっていましたがここらはやり直すのが前提なので不具合なしでカムチェーンなどの消耗品も一通り交換されています!!
クラッチハウジングは真っ赤に錆びていましたが問題なさそう!!
段付きもなくガタも少なめです!
サビているので見た目が悪いですが使えそうです
クランクケースを洗浄しました
ケースもボーリング済みです
ケースの色は綺麗なのでそのままです!
シリンダーはブラスト後調色しリペイントします
エンジンを組んでいく前に内部の部品の測定です!!
クランクシャフトは良好!!
と言っても当店の場合Zのエンジンは不調でも動く物しか引き受けません
不動・ジャンクエンジンは殆どがゴミパーツ、最も判断が難しいのがクランクです
リビルド済みクランクってもの安心して組めませんので
動いているエンジンでないと判断出来ない部品が多々あります
日本のオークションで部品を寄せ集めるのはハイリスク過ぎます
クランクシャフトをケースに組み込み!
ミッションを組み込みます
クラッチハウジングもサビザビでしたが綺麗にサビを取り除きました
そしてロアケースを組みます
元々ユニクロの綺麗なネジが入っていたのでそのまま使用します
純正のクラッチ板に強化クラッチスプリングを組み込みました
その反対側のマグネットローター!!
無事です
Zだとこんな物にまで一喜一憂してしまいます
スターターワンウェイを新品に交換し!
エンジン腰下完成です
ここまでは順調でした・・・・・
ここまでは・・・・・
ここからZではお馴染みの複雑な修理を紹介します・・・・・
まず問題だったのがシリンダーヘッド・・・・
バルブガイドがガタがあるってレベルではなくガッタガタ
吸気側もガタガタです
ここまで摩耗しているのは珍しい・・・・
なのでバルブガイドを切り取りました
しかし!!
排気側の一本がいつもより簡単に抜けた様な気がしました
写真ではピンボケしてなかなか写りません。。。。
いや肉眼でもよーく見ないと分からないのですがかすかなクラック
マジか・・・・・・
10年前ならこんなヘッドはゴミと判断しポカポカ捨てていましたが令和の時代ともなるとそんなに簡単に捨てれません
Zのシリンダーヘッドがメーカーから販売されますがメーカーの社員に聞けば聞く程買いたくない・・・・・
本当に良いヘッドが出来るのでしょうか?
このクラックの入ったシリンダーヘッドを修正復元します
まずはクラックの深さを調べる為にクラックを削り取ります
赤いマーキングの反対側がクラックがあった場所・・・・
外へ3ミリで下へ6ミリ程です
Zでもこの様なトラブルがあるのかと驚きです!
昔Z650でこのトラブルがありましたがその時は迷わず廃棄しました
とりあえずここ以外の場所にガイドを入れます
高温に熱して!
バルブガイドは冷却!!
圧入します
カワサキ車はクリップの位置で上下の位置を固定する構造なのでガイド挿入部の内径に傷があるとオイル下がりのトラブルの原因になります!!
そこで今回!
クラックのあった部分はザグリをして特注のバルブガイドを制作します!
挿入部は1mmOSサイズとします!!
どの様なバルブガイドにするのかと言うと!
こんなイメージです
これはホンダのフォーワンのバルブガイドです
カワサキとは違いOリングでオイル下がりを防ぎます
とても賢い構造!!笑
注目するのはこのツバ部!!
このツバの厚い物を制作しシリンダーヘッドをその分ザグリして圧入します
挿入部は1mmOSサイズでクラックで切り取った部分は無くなります
なのでクリップは無くなりツバ部がヘッドに当たり上下方向を固定します!!
切り取って圧入した仕上がりがこんな感じです
元の構造よりこの構造の方が良いと思うのですが手間がかかるのでクリップで留めるのでしょう
下側は露出する部分だけが外径をSTDサイズにしています!
なんせ手間がかかるのでこの仕事をするなら交換した方が良いのですがZは別・・・・・
高額で購入してもゴミが送られてくる可能性の方が高いので今回は修理しました
次はバルブの修正をしようとしたのですが・・・・
とりあえずカーボンを落としましたが45度面のダメージは深刻!
かなり凹んでいます
研磨機にかけると!
これ以上は無理!!
バルブフェイスが薄くなりヒートスポットになります
バルブサイズが1mm程小さくなってしまうのでバルブは全て新品にします!!
Zとは言え使える部品は出来るだけ修正し復元し使えるようにしてきましたが今回のバルブは不可です
バルブガイドを入れ替えシートカットします
45度面と30度と60度で仕上げました
全箇所修正しましたがここからも大変です
まずはすり合わせして圧力検査をします
そして!
カムシャフトを組みシムの調整をします
元々2.40程のシムが入っていたのでその位には合わせたいと思ったのでバルブヘッドを研磨し焼き入れします
まだ削りしろが0.2ミリ以上ありますがこの位で一番薄い箇所で2.40のシムなので次のOHもまったく問題ないと思います
EX側も測定し!
調整完了です
とても簡単に書いていますがこのヘッドの修理だけで約5日・・・・
なんか最近のZはまともな物がありません
10年前はここまで酷いヘッドは無かったしそもそも修理せず交換して良品にしていましたが最近は海外から来る物もかなり酷い物が多く感じます
国内のオークションだとプロでも修理不可能な物がゴロゴロ出回り気軽に買える物ではなくなりました
吸気のバルブガイドの交換なんて滅多にありません
シリンダーとピストンのクリアランスを測定します!
ダイヤルゲージを入れて!
測定完了です!
ピストンとシリンダーを組み込みます
そしてシリンダーヘッドを組み込みました
カムシャフトを組みシムの調整をします!
クリアランスを14を上死点にし調整し23も上死点にして調整し狭い方で合わせます
ヘッドカバーを組んでエンジン完成!!
と思ったのですが・・・・
4番のマニーホールドを固定しようとしたらパキ!!・・・・
クラックが入っていたみたいです
綺麗な塗装をされていたので気が付きませんでした
なので削り取り溶接肉盛り!!
外を整形し!
ヘリサートを入れ!
タッチアップして完成です
言われないと分からないぐらい綺麗です
ここまで来るのに色々とありましたがキャブを取り付けエンジン点火
安富ダムまで試乗に行きました
飛び出す様な強力な加速
このヘッド・・・・
修理するの大変でしたがやっと本来のヘッドの状態となりました
Zのエンジンは分解しないと何があるか分かりません
最終点検をしにもう一度安富ダムへ!!
さすが1230!
強力な加速!!
このオーナー様が所有されているもう一機のKZ1000の1230エンジンとは少し特性を変えてみました
この日は香川まで出張です
よど号にZとTRを積み出発です
よど号で瀬戸大橋を横断します
香川県は食事も美味いし瀬戸大橋からの景色も最高です
また地元のお客様と香川県のお客様とツーリングに行こうと思います
色々とまた差し入れを頂きました
有難う御座います!!