兵庫県 〇〇様 Z2 エンジンオーバーホール

本日はZ750RSのエンジンのオーバーホールのご依頼です

その前にZ2のオーナー様から差し入れを頂きました

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海苔の差し入れです

有難う御座います

そして!!

東京都よりボアアップのご予約でご来店して下さったお客様より!

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赤福もちの差し入れを頂きました

有難う御座います

それと!!

岡山県よりゼファー710cc予定の学生のお客様より!

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ゼリーとスポドリの差し入れを頂きました

有難う御座います

本日入庫したZ2がこの車両です

お孫さんが居られるとの事でお爺さんとの事ですが

なんせ孫は可愛いらしい

自分の子供よりも可愛いらしいのですが、どんな可愛さなのでしょう・・・

私は2歳ともうすぐ1歳の子が居ますがそれ以上の可愛さが孫にはあるのか!!!

と、思ってしまいます

Z2に取り掛かります

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エンジンの分解歴はないみたいですがヘッドからの異音が少しと圧縮が低くエンジンにパンチがありません

とりあえずエンジンを分解します

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ヘッドを取り外すとピストンはややオイル上がり気味でとくに1番のピストンからのオイル上がりが目立ちます

ノンレストアのZのエンジンなのでこの辺はお約束のトラブル

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シリンダーを取り外し腰下を降ろします

シリンダーをひっくり返すと!!!!

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コローン・・・・・

1本は自力で落ちました・・・・

1番のスリーブは自力でここまで落ちました・・・・

加熱の必要は無さそう・・・・

スリーブ下のOリングを抜いて(半分落ちていた)灯油に5分付け置きすると!!!

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表面張力の力で全て抜けました・・・・

人差し指で軽く押しただけです

このトラブルもZではお約束!!

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スリーブの外径とシリンダーの内径を測定してみると!!

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クリアランス-2/100やん・・・・

スリーブの外径の方が小さいです

加工精度が悪く中ぐりの切削スピードが速いので表面は凸凹で熱膨張を繰り替えますと凸凹の表面が滑らかになりクリアランスが広がります

加工の送りスピードが速いのも悪いですが根本的に精度が悪い・・・・

Zのエンジンはボーリングオンリーでピストンを入れるのはNGです

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ピストンリングは当時物なので、さすがにダメですがピストンの状態は良さそう

STDピストンを使いエンジンを復元します

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腰下を分解してみると状態は良さそう

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クラッチがボロボロなぐらいで状態は良さそうです

まずはシリンダーヘッドの修理をします!!

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メーターギアを固定するメネジが根こそぎありません!!

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折れた破片を持ち込んで下さったのですが一度折れて溶接して付いていた物が折れたらしいです!!

こいつを再溶接しようか迷ったのですが前の溶接棒がZのエンジンの素材と相性が悪かったみたいなので、こいつは使わず溶接で一から復元することにしました!

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根本をリューターで掃除し汚れと塗装を取り肉盛りします!!

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そして整形していきます!!

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そしてメーターギアを借り付けしてみます!!

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こんな感じの仕上がりです

さすがにノーマルの形状みたいには出来ませんがこれなら今後欠損することもありませんし安心できます

そのエンジンのオーナー様はエンジンの塗装なしのオーダーです!!

「ホントに塗装しなくて良いのですか?」と聞いたのですが

「塗装が剥がれてきたオリジナルの状態も味があって好きなんです」

との事です

ゼファーだと元々の色が青っぽいシルバーなので嫌がる人が多くまた汚く見えますがZは味がありますね!!

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クランクケースの洗浄完了です

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クランクを組む前に測定をします!!

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センターで振れが4/100なので曲がりは2/100となります

これぐらいなら全く問題なし

プレスやハンマーでポコポコ叩いて芯だししてもすぐに狂うのがZのクランクです

センター出しして測定し振れが無くなるとお客様からしたら気持ちが良いと思いますが実はそんなことしても意味無しです

スプラインが甘くなりしばらく走って測定すると測定前より悪化する場合があります。

Zの圧入式クランクの場合芯だしはパフォーマンスと言った方が良いです

ゼファーなどの一体式クランクは勿論心出ししていますしする意味がありますが

Zの場合は問題ない振れの場合そのまま組む方が良いと思います

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点検棒もスムーズです

芯が10/100程ズレるとさすがに点検棒はスムーズに入りません

そもそも入らない場合もあります

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ミッションを分解・洗浄・点検し組みます

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ロアケースを組みオイルポンプ・オイルパンを組んでひっくり返します

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クラッチも勿論純正の新品に交換します

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以前はボロボロのクラッチ板にプリングは純正新品に交換されいていました

昔はZ1もZ2も同じクラッチスプリングだったのですが今はゼファー400の物がZ2のスタンダードクラッチスプリングになりZ1はゼファー750の物になっています

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スタッドボルトを組みとりあえず腰下はスターター以外完成

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塗装のやれた感が味があって渋い

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先に腰下をフレームに搭載します

そしてシリンダーヘッドの修正をします

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勿論シートカット歴もなくヘッドの状態はとても良いのですが・・・・・

国内物のヘッドか????

と思う程EXのバルブガイドが摩耗しています

高熱にさらされるのでEXが摩耗するのは当たりまえなのですが国内物でここまで状態が悪いのは今までの経験上はじめてです

バルブガイドの交換も今回はします

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レーザーをあてバルブガイドの温度を測定します!!

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まだまだです!

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測定し!

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ヘッド全体を加熱しながら230度程までポート全体を加熱します

まだヘッドにとってはこんな温度はぬるま湯に浸かった程の温度です

ここからバルブガイド周辺を加熱器で加熱します

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抜き取り完了です

もっともこれが簡単な方法ですが素人がするとヘッドを痛めてしまうので初心者はバルブガイドを超鋼刃で切り取ってしまう方が簡単です!!

経験、設備がなければその方が安上がりです

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そしてガイドを抜いたヘッドを再び過熱します

ガイド交換で失敗するかはここの温度で決まります

ヘタな加工屋が仕事するとシートカット時センターが大幅に狂いシム調整が出来なくなります

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バルブガイドを−50度まで冷却し1/100ミリ収縮させます

のんきに写真を撮ってますが1秒に1度以上のスピードでガイドの温度は上がっていきます

再度冷却しなおし!笑

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軽く叩いて圧入します

この仕事はスピードと手の感覚が命です

Zのエンジンで最も良くあるのが素人の内燃機屋・バイクショップによるこの仕事です

加熱不足やガイドの外周クリアランス不良が多いです。

この仕事を内燃機屋(他人)に委ねるのは私の場合無理・・・

仕上がってしまったら良い仕事なのか悪い仕事なのか判断出来ないのです

雑誌などではバルブガイド交換が当たり前の様に紹介されますがガイド交換は出来るだけしないのが鉄則です!!

今回はEX側が明らかに摩耗していたので交換しましたがIN側は良好でガイドの内径は勿論、外周からのオイルリークも検査の結果必要ないのでガイド交換しません

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外したバルブガイドはノギス測定で0.6ミリ程広がっていました

0.02・3ミリ広がるとバルブのガタを手の感覚で分かる様になります!

交換するかしないかは私の場合手の感覚で決めます

このガイドは感覚以前の話しで論外なので分かりやすいのでノギスで測りました

Zのガイド交換の依頼は他店(知人のお店経由)からも多いのですが殆どが良品。

交換する必要ないやん・・・・・って物が多く「このヘッド良品やで?」

と連絡すると「お客さんに交換するって言ってしまった」なのでして欲しい

って事が稀にあります。。。。。

なんで良品を交換するのか私には分かりませんが、そもそもZのエンジンはとても簡単な構造でカブより簡単なエンジンです!

それ程エンジンに実績のないショップでも簡単にバラし組む事が出来ます。

Zのエンジンで何が難しいかと言うとエンジンの摩耗の測定。

多くの部分はマニュアルには記載されていないので多くのZのエンジンを経験したショップは分かるのですが経験が無いとなんでも交換したくなるのでしょう

シートカットも前にエンジンを分解されて綺麗に加工されて摩耗していなければ必要ないんです

しかしお客様からするとせっかくエンジンを分解したのだから序にやって欲しいと思う気持ちも分かりますが、やるかやらないかの判断は経験のあるショップに委ねるのが1番です!

しかしここで職人か商売人の違いが出てきます。

なんでも仕事を頼まれると追加で工賃が発生するのでやる必要のない仕事をやる人も居ます

人も見ないとダメですがこればっかりは分からんのですよね・・・・

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シートカットをします!!

吸気のシートリングは勿論良好!!

当店はシートカット時1/100単位でステムを入れシートカッターで加工します

吸気側は7.01・7.02ミリのステムシャフトが入らないので7.00で加工します

45度面の狂いもないのでサッと加工し60度で当たり面を調整します!!

左のシートリングも7.00のステムシャフトで加工しました

大幅な狂いもないので45度・60度で加工しました

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シートカット完了です

次はバルブの修正です

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さすがに吸気もですが排気側のバルブのダメージは大きめ

ステムも摩耗は殆ど無かったので45度の研磨で修正可能だったので修正しました

シムの厚みも考慮しますが曲がっていたら問答無用で新品交換です!

このバルブは修正してやるとまだまだ走れると判断しました

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すり合わせをして圧力検査をしてシリンダーヘッド完成です

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外観は勿論未塗装のやれた仕様です

バルブのステムの頭は研磨無しで行けると判断したのでそのままです

次はシリンダーです

元々のスリーブは勿論使えません

既製品のPAMSのZ2のSTDサイズのスリーブに変更しました

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外周に銅メッキが施され熱伝導性を良くしてありますがこれは体感できる程の物ではありません!!

それよりこのスリーブ固い!!!

来た時は「はいはい!Zの社外スリーブやからどうせ普通のターカロイやろな」

と、思っていたのですが純正のスリーブとは比較にならない程の耐摩耗性があります!

ホーニングの時間が純正のスリーブの1.5倍程時間かかりました

Z屋さんでも本当に良い部品を販売しているショップあるんやな・・・・

これなら1本15000円の価値はあります

エンジン屋をしていると安物のスリーブと高品質のスリーブの判断が出来ます

まあカワサキの純正スリーブはなかなかの粗悪品です

Zのシリンダーでドロップインの仕事は論外です

スリーブの素材の前に緩んでいる時点でNGなのでスリーブ交換は絶対条件と言えます!!

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そしてOリングを圧入しますがメーカー純正のOリングはまったく意味がありません!

緩んで落ちてしまうので!

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一回り太いタイプに変更します!!

このサイズのスリーブだとOリングは必要ないのですが10年後、もっと後かな?

走る距離にもよりますがスリーブの外周にオイルが上がってくる場合があります!!

Zの2枚タイプのヘッドガスケットだとじんわりとオイルが滲んできます!

滲んで来る場所はヘッドとシリンダーの隙間なのでカムチェーントンネルと疑ってしまうのですがいくら交換してもオイル滲みは直りません!

スリーブの外周(シリンダー内径)の精度がいくら良くても超長期で見るとオイルが上がってくる可能性があるのでその可能性を殺す為にOリングを圧入します

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シリンダー上部の面研は極小です

ここの面研は一生に一度するかしないかです!!

歪があっても0.1ぐらいならまったく問題なし!!

何故か分解する度に面研するショップがありますがワザワザ手間かけてトラブルのリスクを増やす様なものです!!

今回はスリーブ交換なので絶対に必要ですが組んだら馴染むので分解したついでに面研ってのはやらない方が良いです

お客様からしたら「面出ししたら見た目が気持ちいい」って気持ちがあると思いますが、どちらにしても1年後測定したらこの位はまた歪んでいます!

腐食が酷過ぎたり歪が0.2以上だったり新車出荷時の状態で面研不足で鋳型のボコボコが面に残ったりしていれば加工した方が良いです

ちなみに当店の1230ピストンの場合スリーブ下面を面研しますがそれは意味が違います

溶接でアルミを起こしてガスケットの接触面積を増やす改造です!

歪み取りの面研とシリンダー形状変更の為の面研と後は圧縮を上げる為の面研磨。

この3種類のどれかの理由で研磨されます

なぜ私が今回これ程面研について書くのかと言いますとZのエンジンは不必要な面研磨が余りにも多く分解する度に面研されピストンを加工しないとヘッドと衝突してしまう物が余りにも多いからです

バルブタイミングも後進します・・・

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ピストンは純正でこのピストンに合わせてスリーブ内径を合わせています

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ダイヤルゲージを入れて!

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測定します

クリアランスは4/100に設定しました

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ピストンリングは純正をチョイスしました