本日は愛知県よりゼファー750のボアアップで入庫です!!
愛知県より3連発です
入庫したのがこのゼファー!
早速エンジンを降ろします!!
このエンジン・・・なんと奇跡の走行3000キロ!!!
私が若かった時はこんなゼファーもありましたが令和の時代ではこんなゼファーと出会う事は無いと思います!!
新車で慣らし運転が終わったばかりのゼファーですが
ライナー内側は全気筒錆びています!!
それと新車だから状態は良いか?ですが新車でも精度が悪くボアアップしてハイコンプ化すると圧縮をバルブが受け止める密閉性はないのでボアアップとなると新車でもOHが必要です。
昔は新品のヘッドが手に入りましたが精度が悪く結局OHは必要です!
新品のヘッドとバルブを使っても密閉率が悪いので高圧縮エンジンに改造するとバルブの密閉率の悪さが目に見えて出ます!
新品でも直キャブだと走行中もキャブからバックファイヤーします!!
量産品なのでこの辺は手作業で精密な仕事が物を言います!
腰下は昨日組まれたかの様なエンジンです!
全く走っていないと思われる腰下・・・
3000キロのメタルなので交換するのが勿体ないですが交換します・・・
クランクケースの塗装もとても綺麗ですがこの純正塗装は長年走ると白く色ボケするので全て剥がしてリペイントします!!
いつもと同じ工程でサンドブラスト加工したのですが・・・・
事件発生です・・・
・・・・・!?
はぁ!?
穴空いとるやん!!
二か所も・・・・
当店のエンジンは当店内で業務を完結させているのですがサンドブラスト加工だけは昔から外注です
早くて綺麗で低コストなのでここは自社では不可能と判断し専門の業者に依頼しているのでブラスト込みで塗装3万円と言う驚異的な安さを実現させているのですがその外注先は社長とベテランと新人の3人体制で運営していて新人君がやらかしてしまった
ここがこれからの時代新人育成で大変な所です。
怒ると辞める。
辞めると新人が入ってこない。
人が居ないと会社は運営が厳しくなる。
平成の時代ど真ん中の30代半ばまでの人だとボケ、カスとバチクソにカチわめかれたのですが今の時代そんな事言うとパワハラです。
ブラスト屋の社長も気を使いながら指導するし私も
「気にせんでええよ・・・」
「ウチで部品面倒みるから次から気をつけてな」
今まで何百機とブラスト処理してもらってきたのですがこんなミスは初めてだったので取引先も当店も大慌てでした
当店にある在庫のクランクケースを急遽用意しこのクランクケースでブラスト処理してもらいます!
ブラスト加工完了です
痛い出費ですが人材育成にはお金がかかるしこのゼファーのオーナー様にも事情を説明するとご理解してくださったので良かったです
時代なのでお客様も温かい心で見守って下さい
因みに今30代の私も修行時代は客の前だろうがカチわめかれて烈火の如く怒られた世代です
地元の昔からのお客様ならご存じですがマジで修行時代は工場が真夏でも凍り付く様な怒られかただったのですが土下座の勢いで「すみませんでした!」と謝罪して工場の裏で何度涙をこらえたか・・・・
ストレスで吐血した事もあるしそのくたくたの身体で自宅に戻り更に深夜までガレージでエンジンの改造をしていました
修行時代にお店で怒られ自宅のガレージでエンジンを制作し解らない事にぶち当たった時のストレスがどれ程か・・・
自宅ガレージの梁にロープかけたろかと何度か思ったことがある・・・
平成の大不況の中仕事をするととんでもなく低賃金でサービス残業は当たり前で鉄板のキメぜりふが
「お前の変わりなんかいくらでもおる」です
バイク業界に入る前はリーマンショックが来た時なので「お前を雇ってやっているんだからありがたく思え」「首にされたくなかったら日曜も出勤しろ」
こんな時代だったので今の若い人が羨ましい
異業種の経営者のお客様とも話すのですが「今や社長は従業員のパシリです」とかミスしても「大丈夫だよ・・・気にしないで頑張っていこう」
とか・・・人材不足になるとこんな事になるのかと実感しています
私の30代半ばの世代でリーマンショックを経験したのですが50代前半から40代半ばも就職氷河期世代はもっと大変だったわけで何十社と面接を受けても内定貰えずと言う世代ですからね
その世代の客様からの経営力の凄まじさから学ぶ事もとても多いのですがそのやり方だと通用しない時代。
給料を上げ若者には辞めてもらわない様にオブラートに包んで優しく教えて人材確保をしていく時代です
人材を次々入れている経営者を心の底から尊敬します
私にはマネ出来ないです
エンジンを半艶の黒に塗装しクランクメタル・コンロッドメタルを交換しクリアランス測定しました!
後期のクランクケースに後期のクランクシャフトです!
腰下はとても綺麗な状態だったので部品もどれもがとても綺麗・・・なんせ3000キロのエンジンですからね!
3000キロのミッションも勿論問題なしでした!
オイルシールとカムチェーンも交換しロアケースを組付けます!
ワンウェイクラッチとオイルポンプを組付けプライマリーチェーンのテンショナーも装着しました!
オイルパンを組んでひっくり返して強化クラッチに変更です!!
クラッチハウジングのガタは3000キロでも出ています!
今はハウジングをOHできるのですがここのダンパーゴムを交換しても音の質が変わるだけでハウジングのゴトゴト音はする時はします!
音は問題ないのですがハウジングが摩耗するとクラッチが切れなくなるのでそっちの方が心配です!
クラッチカバーを装着し腰下完成です!!
エンジンを制作していると!
先月ゼファー750をオーバーホールした愛知県のお客様より差し入れを頂きました!!
有難う御座います!
それと先々月にボアアップした東京都のゼファー900のお客様より!
お酒の差し入れを頂きました!!
有難う御座います!!
それと!
先月愛知からご来店して下さったゼファーのお客様より!
みそ煮込みうどんの差し入れです!!
有難う御座います!!
それと!!
同じく先月ボアアップした愛知県のFXのお客様より!
お菓子の差し入れです!!
有難う御座います!!
エンジンに取り掛かります!
シリンダーヘッドのカーボンを掃除してシートカットします!!
45度面と60度でサッとさらえた程度のシートカットです!!
ここは新車でもとても精度が悪い部分でバルブの密閉率はとても悪いです!
走行距離3000キロでも精度を出す為にここの加工はやり直します!
ここの部分は量産品なので一台一台手でバルブの擦り合わせをしているわけではないのでバルブガイドに対し垂直に45度を切り直して採取的に手でバルブコンパウンドで擦り合わせをして精度を出します!
バルブシートカットの精度が9割で残りの1割を擦り合わせで出すので新車のヘッドでも新品のバルブでも擦り合わせをしても精度は出ません!
シートカットの精度がとても大切です!
因みに純正のバルブガイドは精度の悪さを悪化させるので絶対にNGです
Zのエンジンは純正のシートカッターで潰されまくってますね
全てのバルブシートの修正完了です!!
バルブのカーボンを落とします!
45度面も摩耗もある訳無いのですが研磨機でサッとさらえます!
修正完了です
バルブの擦り合わせをしてシリンダーヘッドを組み上げシリンダーのボーリング加工をしました!
ダイヤルゲージを装着し!
クリアランスを測定します!
ピストンとシリンダーを組付けます!
いつもはシルバーのプレートなのですが今回は一時的に在庫が無くゴールドです・・・
最初に制作した試作品なのですがシルバーモデルの方が良いと地元のお客様の意見を採用しゴールドモデルは最初の数ロッドのみで装着しました
シリンダーヘッドを取付けカムシャフトを装着しタペット調整をしました!
ヘッドカバーを組んでエンジン完成です!!
今回のエンジンのオーナー様は初期のゼファーシリンダーに変更しPMCの強化オートテンショナーに変更です!!
薄型で強化タイプなので故障もなく(永遠ではないかもしれません)Z750GPのマニーホールド流用でZのCRやFCRキャブも流用できます!
今回は純正マニーホールドで純正キャブですがテンショナーをこれに交換すると一般ユーザーは長期で安心です!
しかしデメリットもあり故障が少ないですが1ノッチが大きく細かい調整が出来ないのでカムチェーンを張り過ぎる可能性もあります。
自分で整備できる人なら純正もテンショナーをおススメしますがメンテナンスフリーが良い人は強化タイプをお勧めします!
フレームにエンジンを搭載します!
キャブを取付けてエンジンに火入れします!!
しかし少々アイドリングが落ち着かない・・・
チョーク引くと4発ではない・・・
ガソリンは異臭・・・・
この年代のゼファーがこの走行距離ですからね・・・
結局キャブのOHが必要になりました!
試乗で安富ダムまで来ました!!
キャブの通路がなかなか通らず丸一日1番のキャブのスロー系統とチョークにエンジンコンディショナー突っ込みまくってやっと開通!!
綺麗に4気筒とも焼ける様になりました!!
つまりも何年も詰まっていたので相当だったみたい・・・
キャブクリーナーにどぶ漬けしようかと思ったのですがコンディションを出したければそれが一番なのですがそれをするとキャブの表面の防腐処理がとれてしまうので白い粉が吹いてきてしまうので時間はかかりますがコンディショナーで通してキャブをオーバーホールしました!
この方法ならキャブの外観も長期的に綺麗さを保てます!
ゼファー900完成です!!