岡山県 〇〇様 GPZ400F タカトリ650→710ccボアアップ

本日は岡山県よりGPZ650の入庫です!!

入庫したのがこのプロアームのGPZ650です!!

入庫したのがこの車両!!バリバリのカスタム車ですが今搭載されている650エンジンは2サイクル並みに白煙がすごいので

手前のGPZエンジンをベースにしてタカトリの650エンジンを部品どりにします

本日は月に一度税理士が来る日だったのですが少々半ギレモードで担当が来ました・・・・

今新たなピストンを制作中なのですがこの開発費がエグイ・・・

「経営資源がここのピストンにつぎ込まれ過ぎです!!!!」

「個人事業どころか法人事業の方の利益までピストンにつぎ込まれています!!!」

少し半ギレで言われました

この総合二輪工作所は個人事業で法人は色々手広く事業をしているのですがピストンの開発はとても高額!

エンジンの根幹でもっとも重要な部品で大きさや形状で職人の個性がとても出ます!

今私が開発しているのがパワーは勿論プラス燃費の良さと低コスト化!

燃費ですがこれから710cc以上に燃費が認められる時代がこれから来ます。

710ccでも最も燃費の良い仕様にするとリッターで40キロ近くです

それだけではなくロングセラーでなくてはいけません!!

ピストンで「限定品」「希少」このパターンは最悪です!

アフターパーツが出ないので修理不能となります!

710はシリンダーブロックを破損させなければライナー・ピストン・ピストンリングの供給があるのでご安心下さい

今までの経験で試していない領域に足を踏み込んでいるので新鮮な作業を空き時間にやっています

またゼファー400クランク・FX・クランク・550クランクバージョンと

ベースエンジンがゼファー400系Z400FX系エンジンでピストンの肩の形状変更が必要

燃焼室形状もゼファー系とFX系で2種類

上記すべて完璧に適合するピストン!!!

このすべてを頭の中で組み合わせそのエンジンにあったピストンが出来上がります

550クランク入れたら全部一緒でしょ?と思われがちですがそのピストンはワイセコです。

誰でも組める様に全てのクリアランスをスカスカに制作された商品なので売る為には

誰でも組める必要があります!

商品を作ると言うよりはオーダーで形状を変更する仕様

今の710でもいちいちブログに書かないですが上記の組み合わせを頭の中で整理し

制作しています

次のピストンは、もっとコンプレッションハイトをヘッドに合わせ制作する変人のピストンが私の理想です

しかし試し過ぎて税理士が半ギレなので少し落ち着いて開発に励みます

ベースエンジンを分解します!

シリンダーヘッドを外し!

腰下を分解します!!

このエンジンの中身は殆ど使いません

懐かしい昔のスプロケット!!

10年程前に初期ロッドで製造したのですが当店のロゴが入っています!

650以上の人に必要なヘビーユーザー向けのスプロケットなので昔当店で購入された物です!

タカトリの650エンジンを降ろしました!

このエンジンはオークションで購入されたらしいのですが2サイクルに魔改造されたかピストンリングのトラブル。

タカトリの650のピストンリングの供給は終わったので今のピストンリングが消耗すると終わりになります!

この650は金型から起こしピストンリングも理研の特注生産なので莫大なコストをかけたピストンだったので

問題がアフターパーツの生産も小ロッドで作れずピストンとピストンリングの端数が半端なく出るので長期でアフターサービス

を続けるのはとても難しい。

強烈に儲からないけど良いものは作れたと言う物でした。

POSHの62mmはCB750の帝国ピストンリングの既製品にピストンを合わせたので破格の値段でしたね!

タカトリは特注で当時高性能だった1mmの摩擦抵抗の少ない鍛造ピストンリングが使われました。

一般ユーザーには見えない世界でピストンの開発は進み進化します。

しかし同時にピストンリングの性能との比例して進化していくのですがここにこだわるとコストが上がる。

低コスト化と高性能化これを両立させるのがどれ程大変な事かと言う事です!

口では簡単に言えますがめちゃくちゃ難しいんです

上記はプロ中のプロのエンジニアで経営者としての手腕も試されます

安かろうのピストンはそれなりの物で安物なのに値段が一流の物もあるので見極めは難しいですね

部品取りエンジンの一次減速は550だったので抜き取ります!

ゼファークラッチで550の減速比となかなか良い部品が組まれていたので次のエンジンに使います!

通常550の一次減速は使わないのですが今回はRの足がプロアームなのでRスプロケはかなり大きめ!

一次減速を550にしF21丁でRは45丁にします!!

ロアケースを分解しました!

クランクシャフトを抜き取りました!

タカトリのピストンですがスカートが長い・・・

これは元々650用のピストンではなく520か580用で販売された物です!

650用はスカートが1mm短いのが特徴です!

ストロークが長くなるので下死点時スカートがライナーからはみ出すので550クランクの場合はスカートが短くないといけません。

首振りしていたと思われます!

必要な部品をすべて抜き取りました!

ベースエンジンはマスキングしてサンドブラスト加工しました!

クランクケースをボーリングし半艶のブラックにペイントしました

部品どりエンジンから取り出した550クランクを組みます!

クランクメタルを新品に交換し!

コンロッドメタルも交換しクリアランス測定をしました!

ここで組み込んだのはゼファーのミッション!!

元々650エンジンにはχのミッションが入っていたのですが

「動きが渋い」との事でχミッションを見てみたのですが!

確かに動きに違和感があります・・・・

スムーズにスプラインをスライドしません・・・・

誰かが組んだミッションで動きがスムーズでない物はとても危険です!!

分解した時に位置合わせがズレたり裏表のないスペーサーも長年使うと裏表が出来ます。

マニュアルには記載されていないのですがミッションは組み方もとても重要です!

誰かが組んで不調のミッションは修理せず惜しげもなく廃棄

確実にスムーズに動くゼファーミッションを組みます!

ロアケースを組みます!

綺麗なステンのネジに交換しました

ワンウェイクラッチとオイルポンプを組付けます

オイルパンを組んでエンジンをひっくり返します。

部品取りエンジンから取り外したゼファークラッチを移植します!

一次減速は550です!!

クラッチカバーを組んで腰下完成です!!

次はシリンダーヘッドの修正をします!

バルブのカーボンを落とします!!

そして45度面を研磨機で修正します!

元々殆ど傷んでいなかったので表面をさらえたぐらいの研磨です!

シリンダーヘッドのポートと燃焼室を掃除しました!!

これからシートカットに取り掛かります!!

吸気側は45度と70度と30度の三面加工で排気側は45度と70度の二面加工で仕上げました!

排気側は殆ど狂いはありませんでした

吸気側は少々狂っていたので30度で45度面の外周を整えました!

全箇所のシートカット完了でしました!!

バルブを擦り合わせして圧力検査をしてバルを組み立てます!

吸気ポート拡張し!

排気ポートも拡張しました!!

フィンの側面は研磨無しの仕様です!!

今月は神奈川県よりゼファーにおシリンダーヘッド単品のオーバーホールも来ていたのでついでにOHします!

持ち込まれたシリンダーヘッドですが純正色がとても綺麗!!

シートカット失敗されたとの事でこのヘッドを修理するか当店の在庫に交換するかの判断なのですが

珍しく綺麗なヘッドですがこのヘッドは使いません!!

45度を深く掘り過ぎたとの事ですが切り口がメーカー純正のシートカッターです!

ゼファーのヘッドを純正のシートカッターで修理するのは基本的に不可能な物が多いです!

この上記の様な加工をしてお客様のエンジンにしてしまうお店も多いので見慣れたバルブシートですが

このヘッドの場合バルブシートの交換が必要です!

しかしバルブシートの交換はそんなに簡単な事でも無く長年使うとヘッドにめり込みバルブシートが

落ち着きます。

一番良いヘッドは長年使われバルブシートがヘッドに落ち着いた中古のヘッドです

ゼファーの場合は新品のヘッドと中古のヘッドどちらでOHするかと聞かれると迷わず中古のヘッドを選びます!

綺麗なヘッドなので当店の在庫のヘッドを探します!

流石にここまで綺麗なヘッドは在りませんが見た目より機能重視でヘッドを探します!

当店の在庫のヘッドを掃除し45度面を加工すると45度面の右側は規定値の4倍程の当たり面になり

左側はまだシートカッターの45度の刃が当たっていません!

純正のシートカッターはステムが細いのでバルブシートがズレているとズレたなりに加工されてしまいます。

ここのバルブシートはかなり沈み込んだみたいでここからシートカットすると今後長期で精度の良さが保たれます!

つまり新品のヘッドや新品のバルブシートを組むとこれからこの様にバルブシートの狂いが出るので短命なヘッドになる場合が

あります。

45度が全周加工できたので30度と70度で45度面の内径と外周を整えました!

ここのバルブはステム長の調整をし焼き入れをきました!

次にこのヘッドをOHする時でも確実にOHできます!

シムのクリアランスを測定し一度目の測定時のシム寸法を書き出します!

ついでにプラグホールが2か所怪しかったのでプラグホール用のヘリサート二か所打ち込みましたが

2か所なら全箇所した方が見た目も綺麗なので4か所ヘリサートを打ちました!

プラグホール用のヘリサートだとねじ山がバカになることなくプラグもとてもスムーズに入ります!

時々この様なヘッド単品の持ち込みもやっています!

ビッグブロックシリンダーのクリアランスを測定します!!

ダイヤルゲージを入れ!

測定します!

5/100mmです!!

ビッグブロックとピストンを組付けます!!

そしてシリンダーヘッドを装着します!

GPZ400Fのシリンダーヘッドですがフィンの側面は研磨無しの仕様!!

真っ黒なエンジンもかっこいいですがフィンを研磨したくない人の殆どが

研磨した部分と塗装の境目が腐食し塗装がパリっと剥がれてほしくないと言う

理由が一番多いです!

ここがパリっとなると少々目立つんですよね!

補修ペイントできますが

カムシャフトを組んでシム調整します!

そしてヘッドカバーを組んでエンジン完成です!!

フレームにエンジンを搭載し試乗します!!

ツキギレーシングの左だしマフラーで右側はRホイールの脱着が出来る様にがら空きです

プロアームの最大のメリットはRホイールの交換の脱着の速さです!

8耐だとタイヤが持たないのでレース中にタイヤ交換が必要です。

その時短の為に開発されたレースの為のスイングアームです!

デメリットは重量がとても重いのが弱点・・・・

GPZ400Fのスイングアームの4倍程重いと思います!(計った事ないけど感覚・・・・)

マフラーが左だしかセンター出しでないとプロアームを生かせない・・・・・

マフラーのチョイスには困りますね

本当に耐久レース用パーツなので見た目の迫力は凄いですね!!

GPZ710F完成です!!