本日は沖縄県よりZ400FXのエンジンの入庫で今回で二機目のボアアップのご依頼です!!
以前に制作したのが5年程前でしょうか・・・・
時間が流れるのは早いですね!!
入庫したのがこのエンジンです!!
腰下がZ400FXでヘッドがZ400GP!!
大昔に組まれたエンジンらしく腐食がかなり酷いです!
上から見るとこんな感じです!!しかし内部はとても良好!!
ヘッドガスケットもゼファーの物で90年代のガスケットと思われます!!
気になったのがここ!
このFXのエンジンはE1~3のエンジンなのですがクランクケースボルトの長いボルトが後期の物が入っています!
しかし短いボルトは初期の物・・・・
新車出荷時からなのか後から交換された物なのか・・・・
腰下を分解した所分解歴はなさそう・・・
メタルもとても綺麗ですが多分当時の物!!
オーナー様に聞くとヘッド以外分解歴がないとの事で裏付けが取れました!
新車出荷時にクランクケースには前期と後期のボルトが混ざったエンジンがあった様です!!
エンジンをサンドブラスト加工しました!!
下地が均一に白くなればOK!!
あそこまで腐食が酷いとガラスビーズで下処理しても錆びの根っこが除去できません!
塗装が綺麗に撤去できてもアルミの錆びはグレー色で残ります!
その上から塗装すると数年で塗装が剥がれます!
下処理が命です!!
完全に錆を除去し!
半艶のブラックに塗装しました!!
クランクケースのボーリングも完了しました!!
550クランクとコンロッドを組むのでメタルを交換しクリアランスを測定します!
クランクの点検済みの物を在庫しているのですが550クランクでもっとも曲がっている部分はセンターではなく!
実はフライホイールのテーパー部分!!
転倒時にジェネレーターカバーが吹き飛びフライホイールが地面に接触すると曲がります!
逆車でも稀にありますが国内物でもあります!!
国内物の場合は殆どがサーキット上がりの車両!!
一般ユーザーだと「サーキット車両だとメンテナンスされてスピードが出そう」と思うかもしれませんが
サーキット上がりのゼファーなんかは最悪です!!
ワンレース毎にOHなんかしている車両のゼファーはありませんし転倒によりフレームが曲がったりクランク曲がったり
中にはクランクケースにクラックが入りオイルが漏れてくる物もありました
転倒して砂に突っ込みキャブから砂が入るのはあるあるですね
レストアベースなら族車のゼファーの方がおすすめかな・・・・
ゼファーだと平成の時代に乗りつぶされたサーキット車両は悪い物が多かった経験があります
クランクメタルとコンロッドメタルを交換しクリアランス測定をしました!
洗浄したミッションを組み込みます!!
消耗品を全交換しロアケースを組付けました!!
綺麗なキャップボルトに変更しました!
ワンウェイクラッチとオイルポンプを組付けます
オイルパンを組んでひっくり返しゼファークラッチを移植します!!
クラッチカバーを組んで腰下完成です!
ゼファークラッチはこのエンジンのオーナー様の持ち込みです!
今となっては高価な部品となりました
磨くとの事なのでシルバーのままの仕様です!
そしてバルブのカーボンを落とします!!
長年放置されたエンジンなのでポートの中に虫の巣があり少々錆があり排気ポートの虫の巣が湿気で
粉を吹いた状態のヘッドでしたが国内のヘッドなのでステンのバルブなので錆びていませんでした!
研磨機で45度面を修正しました!
燃焼室とポートを掃除したのですが!
吸気側のバルブシートが割れていました!
45度面は無事なので使えます!!
45度面が割れているとバルブシート打ち換えになりますがこの仕事は出来ればやらない方が良い仕事の部類です!
出来る限り純正のバルブシートを使った方が精度よく加工すれば長期的に精度が維持されます!
45度でシートカットし30度で45度の外径を整え70度でバルブシート内径を拡張しました!!
全箇所シートカット完了しました!
バルブの擦り合わせをして圧力検査に合格したのでバルブを組み立てました!
吸気ポート拡張し!
排気ポートも拡張しました!
虫の巣があったポートは錆でボコボコでしたが拡張したので見た目も綺麗になりました!
シリンダーヘッド完成です!
フィンの側面を研磨無しの仕様でのオーダーです!
次はビッグブロックシリンダーとピストンのクリアランスを測定します!!
ダイヤルゲージを入れ!
クリアランスを測定します!!
そしてピストンとビッグブロックを組付けます!
ここで普段話さないビッグブロックシリンダーの話しです!
このビッグブロックも今のところ生産終了となりましたがこのシリンダーと純正シリンダーとの違い
の話しです!!
純正シリンダーが高熱にさらされると1・2番と3・4番の間が下へ歪みます!
オーバーヒートした純正シリンダーはそうなります!
なので1と2番のシリンダーか3と4のシリンダーが圧縮漏れか排気漏れし故障するのですが
ビッグブロックシリンダーはそれがなくなります!!
これはビッグブロックシリンダーの世界では有名な話しですがもう一つ大きな特徴があります!
純正シリンダー全体がどの様に歪むかと言うとカムチェーントンネルの部分が下へ歪みます。
局地的な歪と全体の歪とシリンダーは二種類の歪にさらされます!
これが純正シリンダーとは逆の方向へビッグブロックは歪むようにならなくてはいけません
ヘッドがスタッドボルトで締め付けられ熱が加わってからの世界がとても大切なのがビッグブロックです。
ビッグブロックはただのアルミの物体なのではなく熱の加わわり方、熱が入ってからの動き方までが必要とされます。
それと鋳造ピストンの場合純正シリンダーをボーリングして使うピストンとビッグブロックのピストン
とでは表面上は同じですが裏から見ると全くの別物です!!
つまりビッグブロックと純正シリンダーのボーリングとでは同じ大きさでもピストンまで使い分ける必要
があります!
純正シリンダーのピストンとビッグブロックのピストンでは設計から金型まで別物です
どちらも長所と短所がありますがビッグブロック用ピストンは純正シリンダーボーリングして使えますが
純正シリンダー用ピストンはビッグブロックには使えません!
シリンダーヘッドを組付けます!!
GPヘッドのフルパワー仕様で赤シリンダーのグランプリスペシャル仕様です!!
FXは純正色でこのカラーがあったので似合います!!
カムを組んでシムの調整をしました!
フルパワーのGPヘッドでカムはGPZ400Fです!
このカムを組む場合機械式タコメーターが組めないのでタコメーターは電気式に変更が必要です!
ヘッドカバーを組んでエンジン完成です!!
エンジンにオイルを入れ点火装置を装着します!!
クランクングさしれエンジンを始動させようとしたのですが・・・・
ゼファーのセルモーターが不調・・・・
もう一つ持ち込んで下さったFXのセルモーターの方が調子よかったのでFXのセルモーターを装着します!
普通はゼファーのセルの方がおすすめなのですが今回は珍しくFXのセルモーターの方が快調でした
点火装置とキャブとマフラーを装着しエンジン点火!!
怪力エンジンが作業台の上で暴れます!!
レスポンスも快調です!!
Z710FXエンジン完成です!!