兵庫県〇〇様 ZⅡ エンジンオーバーホール

本日は地元兵庫県のお客様で今回で二機目のご依頼です

以前はゼファーを710ccにボアアップしたのですが

「乗り比べるとZⅡが遅すぎてもう少しパワーが欲しい」

との事なので今回OHがてら少しボアも上げます!!

入庫したのがこのZⅡです!!

こZのエンジンのOHもコロナ前とでは値段が随分上がりました・・・・

車体の値段も上がったけどエンジンを直す為の社外部品の値段もかなり上がりました!

厳密に言うと円の価値が下がった

米国は利上げして日本は金融緩和してこの差がドル高円安になっているのですが

Zの部品は海外の輸入部品が多いので円安のデメリットは直撃しています!

先月Zの部品を引いたら大幅にコストが上がり純正部品もかなり値上がりしました

常連様や金融仲間のお客様と話ししていたのですが去年の今頃は

「来年にはFRBは利下げに転じる」

「来年には円安も落ち着く」

と言う意見が圧倒的でした。

私はインフレの歴史から調べて図書館に行き日本のインフレの歴史から調べました!

この新聞は、たつの図書館で調べた物で小さなネガフィルムを拡大して見た物です!

昭和21年の2月までさかのぼりました

昭和21年の資料は姫路市立図書館にはなく県立図書館かたつの図書館にしか無かったので

近くのたつの図書館で調べた資料です!

この時日本はデフォルトしたのですが

インフレは一度始まるとなかなか止まらないと言う事です!

実際2024年にはアメリカは利下げと言う楽観ムードがありましたがそうなれば米国株は大きく上がりますが

昨日のFOMCでは今の高金利が長期的に続く可能性を示唆しました。

ロシアが原油の生産量を下げた事からまだまだアメリカはインフレすると私は考えるのですが

勿論これからまだ円安になるリスクもとても高いです。

アメリカはロシアから逆制裁を受けている状態なので。

つまりまだZの部品は上がる可能性があるし日本国内のガソリンの値段が上がれば

物流コスト・電気料金・円安によるコストプッシュで純正部品の値段も上がります。

この円安を止める方法は二つで為替介入と利上げです。

今年の為替介入はかなりの威力があり一時的に130円台まで戻しましたが

厳密に言えば為替介入が効いたのではなく米国のFRBの利上げがピークアウトしただけです。

多分次は為替介入しても円安は収まらずマイナス金利政策の解除は時間の問題となりました

今後の日銀の方向は日本全体で見ればネガティブですが金融を勉強すると自分の仕事に保険を掛けられます!

私の恩師の広島の社長の口癖が「金融を覚えろ!!」でした。

その社長は2013年の時点でこの「金融緩和のツケは必ず来る」

「オリンピックが終わる」「安倍政権が終わる」「金融緩和が終わる」

「ありとあらゆる条件が重なりまた逆回転し始める」

これは当時私に必死に訴えかけた事で

「これからはこれに備える経営体制にしろ」でした。

11年の時間が過ぎて「この時広島の社長が言っていた事はこれなのか」

と色々考えながら今の日本を見ています。

お客様からするとZの部品が円安により上がったって事が身近な事ですね

エンジンを分解していきます!!

ヘッドを取り外します

入っていたのは純正のピストンです!

ピストンを取り外し点検棒を入れます!!

とりあえずここまでは問題なしです!!

クラッチは随分古いものが使われています!

ハウジングは大きなメカノイズが無いので使えそうです!!

腰下を分解しました!!

これと言った問題もなく順調に進みそうです!!

このエンジンも何度も分解されているのですが今回でしっかり組みなおします!!

エンジンは元々パウダーコートの半艶の黒だったのですがパウダーコートの色が嫌で塗り替えのご要望でした!

なので表面をブラストでメ荒しして上からペイントしました!

綺麗な半艶の黒にリペイントです!!

クランクケースもボーリングしました!

アイドラーギアは純正の物が使われていました!

分解したついでに強化タイプに交換します!!

クランクシャフトの点検をします!!

2/100mm程なのでこのまま使います!

クランクケースを洗浄し!

クランクとミッションを組み込みます!!

Zによくあるセカンド抜けもなくミッションの状態は抜群です!!

ロアケースを組付けオイルポンプを組みます!!

そしてオイルパンを組んでエンジンをひっくり返します!!

クラッチは純正新品に強化クラッチスプリングを装着しました!!

クランクシャフトのキー飛び痕もなく状態良好です!

このエンジンも当時物のワンウェイクラッチだったので新品に交換します!!

マグネットローターもガタもなく状態は良好です!

クランクケースで問題だったのがここ・・・

6mmボルトでリンクを固定するのですが!

ボルトを入れると動かなくなります・・・・

原因は前に組んだ時に締めすぎたのかクランクケース側のメネジが窪んでいます。

なのでボルトに穴を空けます!

ネジロックを塗って組んでワイヤリングしました

緩まなければ大丈夫なのでこれで固定しました

腰下を車体に搭載します!!

今回入庫時に問題だったのがオイルランプが点灯する事でした!!

軽く空ぶかししただけでもランプが点灯するので問題がオイルの圧力が抜けていないか。

そもそもオイルポンプが問題なく作動しているか。

もしくはオイルプレッシャーセンサーの故障かです。

分解時に色々点検しリリーフバルブも点検・交換もしましたが今回このエンジンはオイルプレッシャー

スイッチの故障だと思いおます!

交換歴がありましたが不調の物も稀にあるのでリプロ品が新品でも疑う必要があります!

Zの場合純正オイルポンプでも基本的に交換の必要は無く故障も殆どない部品です!

むしろGPなどの後期型リリーフバルブ付きオイルポンプの方が不調気味です

シリンダーヘッドの掃除をしてシートカットに取り掛かります!!

プラグホールにクラックも無くバルブシートはシートカット済みで加工精度も良いです!

この加工は恐らく内燃機屋の仕事です!

バルブシートの当たり面も規定値で密閉率も良かったので45度面の加工をサッとします!

純正のシートカッターで表面をさらえただけの仕上げです!!

元の加工精度がとても良いと次のシートカットがとっても楽です!

一番して欲しくないのがヘッドを洗浄して純正のシートカッターでいきなりグリグリ・・・・

これが一番最悪です・・・・

シートカットも内燃機屋によってとてつもなく腕が悪い所と良い所があるので注意が必要です。

シートカットの腕が悪い所だと弁償して欲しいと思う様な加工を平気で悪気なくやってしまうのでその手直しが大変です。

逆に上のヘッドの様に精度が良いと次に修理する人がとても楽なので同じお金を払うなら内燃機屋の技術や実績

をお客様が調べるのをお勧めします!

全箇所のシートカットをしました!

8か所とも45度面をサッとさらえただけです

次はバルブの修正をします!

研磨された痕跡があるので45度面は綺麗でステム長も調整した痕跡があります!

調整も削り過ぎず少し研磨されただけの純正バルブです!

45度面も研磨機でサッとさらえただけです!!

バルブの擦り合わせをして圧力検査をしてシリンダーヘッドを組み立てます!!

フィンは研磨の仕様です!

次はシリンダーとピストンのクリアランスを測定します!!

ダイヤルゲージを入れて!

測定します!!

クリアランス測定完了!

5/100mmで完璧です!!

ピストンとシリンダーを組み込みます!!

73mmピストンのZ2クランク仕様で970cc仕様です!!

昔はワイセコでハイコンプピストンの設定がありそれを組むのが基本だったのですが今は廃盤となりました!

さて710ccのゼファーより速くなるか・・・・

シリンダーヘッドを組む前にカムホルダーのネジが使えるか試しに仮組します!

アイドラーギアも全交換し強化タイプに変更します!!

そしてシリンダーヘッドを組んでカムを組みます!!

トップアイドラーも強化タイプです!!

カムシャフトを装着しクリアランスを測定します!!

2・3番も上死点にしもう一度測定します!!

ヘッドカバーを組んでエンジン完成!!

火入れします!!

始動性もとても良くレスポンスも良くなりました!!

試乗をしに安富ダムまで来ました!!

ZⅡの970ccエンジン完成です!!

このzのオーナー様より!!

娘のお菓子の差し入れを頂きました!

有難う御座います!!