本日はZ400FX地元の高校生!!!(2年生)
タカトリのピストン650ccにボアアップします!
話せば長くなるのですが私が七曲りに試乗に行くとこのFXのオーナー様が七曲りにいました!
「FX乗ってんねんなー」と話しかけるとこのオーナー様が「エンジン調子悪いんです」
と言ってきたのでエンジン音を聞くと・・・・
このFXのオーナーに「このエンジン長くないよ」と言ってから約1週間後に
「エンジン壊れました」と
私に連絡が入りました。。。。
エンジン音を聞くとエンジンのコンディションが分かります。。。。
完全に職業病です。。。。
以前修理した四国のゼファー750も異音はありませんがOH後でも不規則な音を感じました。
これは絶対一般の人では感じない音の感覚です。
納車後オーナー様から連絡が入り「エンジンオイルの温度がとても低くなりFCRの音も安定してとても調子良くなった」と体感していただけました!
差し入れのたこ焼きです!!!これが激ウマ!!!
関西人の私・・・・たこ焼きは食べなれていますがとてもウマい!!!
有り難う御座います。
話しを戻します・・・・
当店でなぜエンジンを組み直したら走行中エンジンオイルの温度が下がったのか。
FCRも音が規則正しく動きだしたのか。
これはエンジンの組み方にあります。
750エンジンと400エンジン。形状はほぼ同じではありますがそのエンジンの癖があります。
サービスマニュアルは漠然としたことしか書かれていないので経験が頼りになります。
同じ400エンジンであっても個体差があります。
このFXの場合私がエンジン音を聞いた時手遅れでした。
エンジンを降ろします!
このエンジンの何が悪いかですがクランクかコンロッドです!
あまりにもコンロッドの音が大きいので他の音が聞き取れませんが腰下に原因があります。
STDピストンなので何処のコンロッドが焼けているのか判断しにくいですがSTDの場合1番か2番のコンロッドと思います!
ロックハートのオイルクーラーでも同じ場所が焼けます。
高校生なのでお金に余裕がないのでOH次いでに550クランクを入れタカトリ650で行きます!
なぜタカトリ650なのかと言いますと下取りした程度の良いピストンとシリンダーがあったのです!
しかし・・・・
「650にする?ピストン無料・ボーリング無料でどない?」と聞くと誰もが・・・
「要らない」
「今はFXクランクで650出来るんでしょ?」←現在試験中
「710ccにする」
ってな感じで誰も欲しがらないので高校生に組むことになりました!
550クランク代のみで格安でボアアップエンジンを体感できますし将来有望な若者です!
OHならついでにボアアップ!と入庫の日の前日に決断されました!
エンジンを分解します!
これが原因です!撮影の為にゴミクランクを洗浄しました。汗
1番コンロッド・・・・
2番は?と言いますと
焼けかけ・・・・完全にアウトです。
クランクシャフトのメインジャーナルも完全にダメです。
なぜ焼けるか?ですがオイルのグレードがダメ。←鉱物油
その上オイルエレメントを交換しない。
高回転で回しすぎ。←STDピストン・550・ワイセコ615でよくあります
特に400エンジンベースの550・ワイセコ615トラブルは当店に連絡が来るだけで半年に一度ほどあります。
(致命傷となるピストンピンのトラブル・550ccはクランク焼けです)
615対策は大容量オイルポンプ&減速比調整。
これが得策ですがピンのトラブルは回避しにくいのが現状です。
ロックハートのオイルクーラー。←コンロッドのオイル潤滑不良
他にも人為的マイナートラブル・エンジン管理不足のトラブル・社外パーツの組み合わせによるトラブルはありますが上記が大まかな理由です。
クランクメタルの当る部分が完全にえぐれています。。。。
鉱物油はダメですね!
このジャーナル部ですが異音での判断がとても難しく予兆なく急に焼き付く場合があります。
前回のゼファー750みたいにメタルの使いまわし・中古メタルの組み合わせはとても危険なのです。
エンジンをバラバラにしました!
このFXは前の所有者からの管理が悪いみたいです。購入後間もなく焼けたので。汗
FXは!の前にゼファーも含め中古車は現所有者がいくら大切にしても
前の所有者の管理によりエンジンの寿命は変わります。
金属な以上磨耗した部品は交換しないと元に戻りません。
ダメなエンジンにいくら良いオイルを入れても手遅れです。
次の日・・・・
事件がおきました!!!
バイク屋さんの天敵!!!
当店に泥棒がきました!!!
朝の5時頃です!
当店は要塞です!
泥棒対策万全の自宅兼工場で三重のセキュリティーなのですが泥棒が格子を壊して入ろうとしてきました!
日本刀を取り出し勝手口から飛び出し切り殺してやろうと思ったのですが逃げられました
黒いワンボックスの二人か三人組みでした!
ガラスを割って中に入って来るのをじっくりとまってから殺せばよかった・・・・
皆様がご存知なようにバイク屋さんはとても狙われやすいので当店は要塞にしていますがやっぱり来ますね!
当店のお客様の車両には指一本触れさせねぇ!
次こそ殺してやる!!!
この日は起こされたのと犯人を殺せなかったのでイライライライライライライラ・・・・・・
この後知人と偶然来たお客様とバーベキューをしたのですが「犯人殺したら過剰防衛ですよ?」とお客様に言われました
それでも次こそ絶対に殺してやる!!!
気をとりなおしてエンジンに取り掛かります!
エンジンをマスキングしサンドブラストします!
腐食の上から塗装されていたので下地はデコボコ・・・・
ここまでしっかり下処理すれば安心して塗装できます!
色はシリンダーが半ツヤの黒なので同色の黒にします!
なんせ高校生なので少しでも低コストで抑えます!
以前エンジンを修理した四国のお客様から差し入れです!
エンジンも体感出来るほど快調になり楽しいバイクライフを取り戻せたみたいです!
有り難うございます!
たこ焼き屋さんを経営されているらしく、ここのたこ焼き激うまです!
高知県民いいなー
関西人にとってたこ焼きはどこでもある食べ物ですが地元のたこ焼きより美味い!
ダシで焼くだけありこだわりを感じます!
高知県高知市大原町119-5
たこやき一番
ぜひ行ってみてくださいね!
注意 私の性格上不味い物は紹介しません。笑
エンジンの塗装が仕上がったのでエンジンを組んでいきます!
とても綺麗な仕上がりです!
タカトリ650のスリーブの外形は通常64.5ミリです!
タカトリのスリーブは片側1ミリですがこのスリーブでは耐久性に問題が出ると判断し片側1.5ミリの分厚いスリーブに交換してあります!
しかしZ400FXのクランクケースでスリーブ外形65.5ミリにするとクランクケースと干渉します!
干渉する部分は5箇所!
軽くリューターで削ればOKです!
あとZ400FXでもE1の一部のクランクケースは大掛かりなフライスでのボーリングが必要な場合があります!
その場合ワイセコの615でも大掛かりなクランクケースのボーリングが必要です!
550クランクシャフトです!
高校生には高値の花ですがOH代プラス550クランクなので格安でエンジンが仕上がります!
消耗品のメタル・チェーン類を全交換しクリアランス測定をし組んでいきます!
ミッションを組み込み!
組んでいきます!
少しでも安くする為ネジは純正をブラストしペイントして組んでいきます!
勿論今後ウオタニを装着できるよーに加工済みです!
ついにピストンのお披露目です!
タカトリの550クランク、62.5ミリ!(650cc用)当時は最強の既製品のピストンでした!
裏に刻印があるのがタカトリピストンの証です!
日本を代表するピストンキットでした!
アメリカ野郎のワイセコに負けねーぜ!
しかし当店に在庫していて「ピストン代・ボーリング代・スリーブ代・無料やで?」
と言っても誰も「要らない」と言い出す時代です。
将来有望な気合のある若者に組んであげるのが一番ですね!
今試験中のFXクランクの650の方が圧倒的に高回転型で速いです!
このピストンを私が手がけるのもこれが最後になりそうなのでFXにふさわしい最高のピストンに仕上げます!
Z400FXのヘッド・カムで行くとかなり高圧縮になってしまいます。
圧縮圧15キロ以上になる場合があります。
E1・E2・E3の場合発電量が低くバッテリーが弱るとエンジンかかりません!
あとポイント点火なのでノッキングを起こしやすくなります。
FXのポイントは1・4を合わせると2・3が絶対に狂います。
フルトラみたいに確実な点火を得ることが出来ないのです!
とは言え高校生の子はすぐさまウオタニなんか買えません・・・・
なのでFX専用に650ピストンを加工します!
コンプレッションハイトを0.6ミリ低くしスキッシュエリアを0.2ミリ低くし
コンプレッションハイト部直径を54ミリから52ミリに変更!
角までの直線を73度の角度で加工しました!
一般の人は真似しないで下さいね!
難しい加工なので!
高校生なのでこの加工もサービスしとくか!
これで熱量を下げれます!
スキッシュエリアを0.2ミリ低くしたのはタカトリのガスケットを使わずメタルのヘッドガスケットを私が製作し入れる為です!
厚み分の引き算です!
既製品でも組み手によりエンジン特性は変わります!
次はヘッドの加工です!
一度腰上をOHした痕跡があります
バルブはFXではなくゼファーの新品の物に変更されていました!
シートカットの痕跡がないので「バルブだけ新品に交換し擦り合わせだけして組んだ」
って感じですね
今まで数多くのエンジンを紹介してきましたがOHと言ってもお店によって仕事内容はかわります。
当店で修正します!
45度面と70度面の隙間に白い線が見えるでしょうか?(途中で加工を止めました)
これは古い45度面です。
バルブガイドに対しこれだけシートリングが歪んでいるのです。
この精度の悪さがバルブの密閉不良を引き起こします。
バルブを新品にして擦り合わせだけでは本来のエンジンの状態に出来ないのです。
「エンジンかかって動く」レベルの仕事です。
すべてのシートカットが完了しました!
70度で全部内径拡張済みです!
新品のバルブなので45度面のリフェーサー加工の必要なし!
カーボンを落とし擦り合わせをし圧力検査をしヘッドを組み上げます!
圧力検査も一発合格しヘッド完成です!
シリンダーのクリアランス測定をします!
クリアランス4/100の仕上がり!
タカトリのピストンは個体差があります。
大きい物と小さいもので約4/100ほど大きさが違います。
皆様がよくおっしゃる「ピストンの精度」「耐久性」ですが誤解が多いです。
例えば純正のピストンでも4/100前後の個体差はあります!
シリンダーに対してのピストンのクリアランスが大切なだけでピストンボアに対する精度はさほど重要ではありません!
耐久性ですが鍛造と鋳造の二種類がありますが確かに鍛造の方が剛性はあります。
そかしピストンにとって大切なのは膨張率です。
冷間時は問題なくても温間時は大丈夫か?
ピストンのトラブルの殆んどが温間時のトラブルです。
耐久性に問題があり破損するのではなく膨張しクリアランスがなくなりオイル切れを引き起こすのです。
ピストン・スリーブ間のクリアランスは勿論ですがピストンピンとピストンのクリアランスも大切です。
鋳造は膨張率が非常に少ないピストンです!
鍛造=良い!って分けでなく鍛造でも膨張率の少ないピストンが良いのです!
ピストンの構造・素材を語りだしたらきりないのでエンジンを組んでいきます!
久しぶりに純正シリンダーを組みました!
ピストンの仕上がり!完璧です!
懐かしい!!!
コンプレッションハイトの高さも完璧です!
タペット調整をしエンジンを組んでいきます!
エンジン完成!!
エンジンが生きを吹き返しました!!
セルも気持ちよく回り始動性も抜群!!
FXのSTDキャブはまともな物がありません・・・・OHは不可能です!
FXキャブのリプロパーツの肝心な部分は精度が悪すぎのゴミパーツです。
ゴミの新品が販売されていますがお金の無駄です。
おとなしくCRかFCRが無難です!
普通ならCRキャブですが高校生はお金ない・・・・
キャブの状態は70点って感じです(高得点)・・・・何とかするか
次は車体の整備です・・・・
Fブレーキが全然効きません!
Wディスクなのにシングル用のマスターだった為です!
よくこんなで走ってたな・・・・と驚きますが16歳の子には分からないですよね
高校生にとって1000円という金額でも大金です。
ゼファーのマスターを入れるか!
見た目はボロイですが機能重視!安全にかかわるので装着しました!
お金ないから工賃もらえない・・・涙
あとRブレーキ・・・
鉄板直押し。。。。
ブレーキパッド交換や・・・(工賃もらえへん・・・涙)
貴重なE4のブレーキローターが!・・・・
とは言え高校生にはことの重大さが分からないんですよね・・・
ベテランライダーも皆最初は初心者
こーゆーのも最初は分からないんですよね!
私が16歳の頃はボアアップなんて夢のまた夢の改造で旧車を見てくれるお店すら少なかったですし
そんなお店の工賃はバイト代なんかでは到底無理。
お店の仕切りをまたぐことすら出来ませんでした
仕方なくチャリ屋の延長のバイク屋みたいなとこで修理・・・
そんな人も多かったのでは?笑
もっと若者もボアアップエンジンの面白さを体感して貰いたいですね!
社会人の人は大人なので工賃もらいますよ?!!!笑
当店はいろんなお客様が来ます!
お金持ちやからボアアップ出来るんでしょ?と思っている人も多いと思います。
確かに誰もが知る一流企業の社長様や財閥の御子息
中には会社破綻したけど人生の再スタートで復活した社長様←多いです。
サラリーマンで奥様の顔色を伺いながら必死にお金を貯めて来るお客様←多いです。
10代の若者(アルバイト)
全ての人に共通して言えるのが年齢に関係なく「やると決めたらやる!」
考えたことに対して計画し実行出来る人なんでしょうね!
実行する前から「無理だ・・・」なんて人も大勢いますが全ての人に可能性があります。
「10代でも60代でも可能性は誰にでもある!考えることを放棄するな!」
「無理やっても後悔するな。出来なければお前は所詮それだけの男やったってだけの話しや。」
この言葉は私が17歳の時にとある会社社長から言われた言葉です!
この言葉は今でも私の中で生きています!
七曲りまで試乗です!
大人になったら710ccやね!笑