東京都 Z550FX 710ccボアアップ

本日は東京都よりZ550FXの入庫です!!

ボアアップと同時にフレーム塗装もなのですが今回はプチレストアに結果としてなりそうです・・・・

忙しい時はフレーム塗装を断る場合もありますがこの車両はそれだけでは走れない・・・・

電装もグチャグチャなのでE4のハーネスに入れ替えます!

FフォークのOHも必要ですが優先順位を付けてエンジン・キャブのOH・点火装置ウオタニ・ハーネス交換・フレームの塗装をします!

それ以外は雑用なので自分でするか地元のバイクショップでコツコツと修理をお願いします!

他店では断られるであろう当店ででしか出来ない修理をやります!

現状ハーネスは補修に補修を何度も繰り返し改造されタコ足にタコ足状態なので今回邪魔な部品を根こそぎ取り外します!!

FXに寄生していた寄生虫の様なズタボロで謎のタコ足配線も全部取り外しました!!

これを取り外しただけでも気持ちいい!!

何十年も取りつかれた不調の原因が無くなりスッキリします!!

この配線だとどのバイクショップに持ち込んでも「帰れ」と言われます・・・

旧車な時点で嫌われるのに逆車の550の特殊なハーネスだと余計に嫌がられます

なので今回は国内物のE4のハーネスを移植し三相交流に改造し配線の切ったり繋いだりややこしい事をせず全てカプラーONで到着できる様にします!

これなら今後電装に不調が出ても故障の原因が特定しやすいので国内物のE4の配線図で簡単に修理できます!!

これからエンジンを降ろすのですが懐かしいピンクの粉・・・・

ヨーロッパの550FXに国内のZ400GPエンジンが乗っかっているのですが解体屋から出たエンジンと思われます!!

ピンクの粉は消火器で指紋を消す時に使われます!!

昔は解体屋に行けば消火器でコーティングされたゼファーやXJRやインパルスやSFがゴロゴロしていて解体屋からエンジン買った懐かしい思い出・・・

このピンクの粉は水で流そうとしても、なかなか流れないんで洗浄が大変なんです

30代後半の世代だと流石にFXやCBXは解体屋に転がっている世代ではないです・・・

Z400GPやGPZ400Fはありましたが盗難対策で敏感になっていたので路駐とかはなかなか出来ないバイクでしたね

エンジンを降ろします!

そしてフレームを分解するのですがベアリング交換でテーパーにするかボールにするか迷われていたのですが今回ボールにします!

テーパーローラーだとレースを抜くとき溶接して引っ張り出す必要があるのですがボールだと簡単に交換できますしレースとスチールボールが現代は固くなったので昔ほど寿命で頻繁に交換する事が無いからです!

分解するとテーパーになっていたのでボールの新品に交換します!

ヨーロッパ仕様のサイドスタンドだったので元のサイドスタンドのステーを切り取ります!

が!!・・・・・

割れてます!!

ヨーロッパ仕様のサイドスタンドは車体が寝るのでサイドスタンドの根本の負荷がとても大きくサイドスタンドの根本が割れたみたいです

パイプが錆びで薄いと大問題ですがここはヨーロッパー仕様の人は注意が必要ですね

車体が寝るのにその車体に人が跨ると余計に負荷がかかります

サイドスタンドのステーを切り取り!

溶接してパイプを慣らしました

叩いてパイプの強度を点検しますがハンマーで傷を気にせず叩いてパイプに肉厚があるか点検します!

傷が入っても溶接で埋めるので容赦せず点検します!!

ついでに国内物のE4のメインハーネスにしてメインキーも国内物のE4で揃えます!!

そうすればハンドルロックを左に切ってロックが出来ます!!

ヘルメットホルダーのステーも綺麗に慣らします!!

レースも溶接で抜き取りました!!

そしてフレームをサンドブラスト加工しました!!

ヨーロッパ仕様のハンドルはストッパーは切り取り溶接で埋めました!

慣らしてブラストすれば溶接痕もありません!

ここも!

ここも補修した痕跡も無くなりました!

クラックも溶接で裏波が出る程綺麗に溶接しているので安心です!

そして艶ありの黒に塗装しました!!

ピカピカの艶あり塗装です!!

スイングアームのダストシールが片側無かったので装着しときます!

ステムベアリングも全交換しグリスをタップリ乗せて組みます!

今回この車両で驚いたのがヨーロッパ仕様のフレームですがサイドスタンドを引っ張る装置のステーを利用し作られたサイドスタンドです!

凄く複雑な形状ですがステーにボルト二本で固定しクランプさせて装着されたサイドスタンド!!

「これ買ったんですか?」とお客様に聞いたら

「横須賀の米軍基地に努める友人に作ってもらったんです」との事です!!

本人は溶接して国内モデルみたいにしようかと思っていたみたいですがこのサイドスタンドをクランプして元のステーを利用してサイドスタンドの角度も出すのはとても大変な作業だったはず・・・

工業の人間なら解ると思いますがこれはとても難易度の高い技術なのでここは自慢スポットでしょ!!と力説しこのサイドスタンドを採用!!

クランプさせるだけなら簡単ですが元のステーにボルト2本で固定しクランプさせサイドスタンドの角度を出すとなると難易度は10倍!!

友人はとても苦労して作ってくれたのだと思います!!

車体を組み上げました!!

ハーネスも綺麗!!

全部カプラーオン!!

ストップランプスイッチのカプラーだけが無くてギボシですがそこ以外は全部色も合わせて作り直したのでこれなら何処のバイク屋さんに行っても見てもら居ると思います!!

この配線だと修理しようが無いので次の何処かのバイク屋さんが見て修理しやすい様に組みなおす事を心掛けています!

ハンドルロックも左に切ってロック出来ます!

ミソなのがタンクとヘッドライトステーが干渉しそうなので当店オリジナルのハンドルストッパーを入れてからハンドルロックが出来る様にしています!!

メインキーもE4の純正新品です!!

次はエンジンに取り掛かります!

エンジンの死角になる部分にはピンクの粉がぎっしり・・・

1気筒オイル上がりしていたみたいです!

クラッチプレートを止めるボルトには謎のワッシャーが・・・・

ここにワッシャーを入れても意味ないですが多分強化クラッチになると思っての改造かな・・・・

オイル上がりしていた部分だけステムシールが交換されていました!

オイル下がりと間違えてここの修理をしたと思われます

エンジンをサンドブラスト加工すると・・・

パテが出てきました!

二次エアー吸うと最悪なので溶接で肉盛りします!

形状を整えヘリサートを入れて仕上げます!

これで完璧です!

昔の人がオーバートルクで締めたか緩める時に割ってしまったと思われます!

エンジンの塗装をしてクランクケースのボーリングが完了しました!

今回はエンジンがGPでメーターがFXの機械式なのでヘッドの加工が必要です!!

シリンダーヘッドにメーターギアの穴開け加工をしました!

ここの加工は実質シリンダーヘッドの位置決めと固定が仕事の9割・・・

メーターギアが装着でしました!!

FXカムで組付けます!

腰下を組み上げます!

クランクメタルとコンロッドメタルを交換しクリアランス測定をしました!

 

ミッションも分解洗浄し組み込みます!!

今月沖縄県よりミッションの交換が必要なお客様がご来店していたのですが、このFXのオーナー様が持ち込んで下さったスペアミッションを組み込ませていただきました!

沖縄の客様と少し話したのですが40代になり色々仕事で考え直す時があるらしく「もう一度東京に飲食店を出店したい」と言う気持ちが高まり最近何度も東京に行っているらしい・・・

一度東京でチャレンジしたけど再チャレンジを目指しているとの事!!

40代でもう一度「一旗揚げたい」と思う人は多いらしく人生の分岐点となる年齢でもあるのかな・・・

今までのお客様と話ししていても40代はノウハウも体力も適度にあり起業するにはラストな年齢でもあるらしく気力・体力・資金力のバランスがとても良い時期なんだと思います。

40代で海外に行って成功した人も居ますし地元を離れ事業を成功させた人も多いです

お話しをしたのは1分程ですがこの1分は数カ月にわたり勇気づけられます!

自分も関東で起業しようと思い東京・神奈川に行って賃貸の不動産を探した事があります!

24か25歳の頃だったかな・・・

タカトリで修行して、その頃にはある程度ピストン形状(圧縮比)排気量を自由自在に操れる技術があったので高飛車だったと思います

言うまでもなく私自身がタカトリの血統なので「大排気量至上主義」「ボアアップに勝チューニングはない」と言う考えもあったし地元のお客様のエンジンも多く制作し排気量やコンプレッション形状をコントロール出来ると言う事は既製品のピストンでボアアップとかゴミカスレベルの低レベルな仕事と思っていたのですが地元のお客様に「東京ならブルーサンダースに行ってみれば?」と進める人が多かったです。

カワサキのZのエンジンチューニングでは有名で、お店の名前はよく聞いていたのですが、そんなに大排気量でもなく何が凄いのかは分からなかっらのですが東京に行ってブルーサンダースの社長と話しをしてお店を見て地元でブルーサンダースのZを乗って

「これはシャレにならん」

排気量は少ないけどカムはオリジナルで制作しこのお店の独自の方程式がある。

凄いのは排気量の大きさではなく高度なのは独自の方程式が絶妙だった事。

ツインプラグ化やポートもカリカリに広げてあるけどこの方程式は点火時期まで含めて物凄く精密な技術で莫大な費用がかかっていて独自の組み合わせをしてパワーを振り絞る。

戦うための戦闘的な作り込み。

パワーを上げるが目的なら大排気量も同じですがそこにたどり着くまでのルートが違うんです。

これは雑誌とか見てピカピカキラキラでわー凄い!みたいなドレスアップカスタムではなくエンジニアの目線で見ないと解らない話し。

それ以降私はZのエンジンで75mm以下はボアアップではなくオーバーホールの定義で仕事をしています。

ブルーサンダースは73mmの少ない排気量でもこれはエンジンチューニングと言える。

私が同じ73mmで既製品のピストンを入れてもチューニングとかは言えん。

素人はそれでも凄いと言うかもしてませんがプロやプロ目線の客の前では比べられたら醜態をさらすだけや。

と痛感した出来度とがありました

なので75mm以下はオーバーホールと言う定義でライナー制作・ボーリングなど精度を上げる事に専念し壊れたエンジンを復元する技術に重点を置いています。

コレは実際に自分でエンジンを組んでいるプロにしか分からない事なので共感してもらえる話しでは無いかもしれませんが

バイク雑誌の聞いて書いているだけのボケ記者と自分でエンジンを手掛ける人では見ている事も考えている事も全く違う物です

当時(エル・ミラージュ)(ボンネビル)を統括していたSCTAの情報を持っていた唯一の日本のお店だったので東京に行きブルーサンダースのお店にお邪魔したのですが生意気な若造の私を追い返さす詳しく教えて下さった

今の当店にそんな若造のガキが来たらブチキレて追い出してるかな・・・

2012年だからその頃はバイク専門の輸送業者が出来始めてバイクの流通が簡単で活発になり始めたので地物の兵庫県で仕事が出来る時代のターニングポイントだった時なので私は上京する事はなかったです

上京せず関西で仕事が出来る転換点の時期でした