千葉県 ゼファー710cc ボアアップ

本日は千葉県よりゼファーの入庫です!!

ピカピカの車両で徹底的にレストアされた車両!!

贅沢にも倒立フォーク!!

最近来るゼファーはピカピカで新車の様な綺麗さで新車以上のグレードにセットアップされた車両が圧倒的に多いです!

私が若い頃は倒立フォークだけでビックリカスタムでゴールドのアルマイトが色あせてシャンパンゴールドだったのですが最近のゼファーは凄いですね

エンジンもピカピカなので一度フルOHされた痕跡があります!

エンジンはガンコートらしくとても綺麗なのですが今まで見てきた物もですがガンコートって「絶対に剥がれない」とガンコート塗装をする業者は言うんですけど完璧な塗装ではないんですよね

クラッチカバーはぺりぺりと剥がれたらいのですが他の人も同じ経験をしている人は多いです!

衝撃には弱いのかな・・・・

先に外してブラスト処理してリペイントします!

FスプロケはオフセットスプロケをINに追い込んで取付されています!

160サイズならフラットタイプのスプロケで行けるのですが多分Rスプロケのチェーンラインに合わせる為にFを調整して付けたのかな!

エンジンを降ろしました!

ガンコートなのでエンジン全体綺麗なので今回は塗装無しで洗浄してエンジンを制作します!

社外の1mmオーバーサイズピストンが入っていました!

ボーリング加工を見るととても綺麗なボーリング加工!!

表面を見れば高度な技術で加工されたのが分かります

今時この様な加工が出来るとは「珍しい」と思いながら分解していきます!

クラッチも組まれたばかりで新品です!

これも全部廃棄して新品に交換します!

持ち込まれた550クランクなのですが

焼けてました・・・

これは売った人も「焼けた」ってわかるだろと思うのですが昔から不良品転売ヤーは居ます

ただZのエンジン部品程酷くはないです

Zのエンジン部品は本当に不良品か分からないのもありますし分かって売っている確信犯も居ますし・・・

550クランクを買う時はクランクメタル・コンロッドメタルを見て買いましょう!!

Zと違い見て分かるのでZのクランクみたいにごまかせない場合が多いです!

2番のコンロッドが焼けているので高回転回し過ぎによるオイルの潤滑不良です

今回はブラスト処理せずガンコートをそのまま使います!

クランクケースのボーリング加工をしました!

当店の550クランクを組みます!

550クランクと550コンロッドを移植しました!!

今月来ているゼファーは二台ともブラウンのクランクメタルです!

しかも全箇所・・・・

全箇所のメタルがブラウンと言うのは珍しいですがこれが今月は20枚も使いました!!

これは長年やってますが珍しいです

ミッションも全分解された痕跡があるのですがなぜがブッシュがズレたまま組まれていたのでここはプレスで圧入します!

ザッパー系エンジンのミッションは相当経験がないと分解しない方が良い部品です。

サービスマニュアルを読んで組むのは普通ですが長年使われたミッションはマニュアルに書かれていない症状や点検方法や組み方まであります。

マニュアルには基礎知識しかないのでミッションを組む知識・技術の4割程しか書かれていないと思ってもらったら良いかな

ゼファーミッションを組み込みます!

クランクケースのロアケースを組付けます!

元々ネジが綺麗なステンのボルトだったので今回はそのまま組みます!

ワンウェイクラッチとオイルポンプを組み付けます!!

オイルパンを組んでエンジンをひっくり返し!

強化クラッチを組んで!

クラッチカバーを組んで腰下の完成です!

エンジンを分解してみると新品で調達できる部品は全部新品になっています!!

このエンジン前にOHした時は相当なコストがかかったと思います!

シリンダーヘッドに取り掛かります!

燃焼室とポートを掃除しました!

いつもならバルブシートの加工をするのですが今回のヘッドは一目で分かります。

これは物凄く高度な技術で加工されています。

そして実はこのバルブシートの加工技術と出会うのは二度目!

このエンジンのオーナー様同様排気量を求めて当店に来たお客様だったのですが同じ千葉県より来ていたので

「この加工技術は確実にプロの仕事ですが、はたして狙ってこのバルブの気密性を出したのかまぐれなのか、狙ってなのか?」

「千葉には高度な技術を持った内燃機屋があるのかな?」と思っていました。

今回のヘッドは間違いなく以前見た千葉県のお客様のエンジンと同じ人間が加工している。

「このバルブの密閉率は確実に狙って出しにきている」と言うのがわかりました。

ここで普段はこの時点でお客様に電話する事はないのですが流石に気になるので電話しました。

「何処の内燃機屋で加工しましたか?」「千葉にはこんな加工の出来る内燃機屋があるのですか?」と聞いたら

ACサンクチュアリの柏支店との事・・・

千葉にもACサンクチュアリあったん!?と思ったのですが本店が移転したらしいですね

新車のシリンダーヘッドのバルブシートとバルブの密閉率が80点ならこのヘッドは95~100点。

バルブの気密性はこれ以上出すことは不可能なレベルです。

普段は流れ作業の様に書くブログですがここまでの作業をするには何百機とシリンダーヘッドを修正した経験値がないと語れないのでシリンダーヘッドを修正するだけではなくエンジンの組手の立場になって加工しているのが分かります。

バルブシートの加工を見るだけでこのシリンダーヘッドを修正した職人と色々話しした気分になりました

こんな加工できる職人は日本に何人いるかと思うし、ここまでの加工を出来る様になると新車に文句を言い始める。

お客は勿論一般の整備士とも意思疎通できなくなってきます

素人のショップや内燃機屋がシリンダーヘッドを加工すると最悪。

純正工具なんかでグリグリなんかされたら青ざめるんだろうなと思います。

45度面も均一で45度の内側は60度かな?

三面同時加工なのかな?

取り合えず当店とは違う設備を使っているのは解ります

見た目が綺麗なだけでバルブの密閉率は全然なんて物が多いですがこのヘッドは8か所とも新車以上に精度が良いです。

当店のバルブシートの加工は70度なので45度と30度はそのままで70度だけ加工しました!

これは45度面の内径を整える加工とバルブシート内径を拡張し吸気効率と排気効率を上げる事を狙っているのでチューニングも兼ねています

このヘッドはこれ以上触る必要はなさそうです!

8か所とも70度でバルブシートの内径を拡張しました!

バルブのシートカッターも色々ありますがどんな設備でも最終的には職人の技術となります。

バルブのシートカッターも改造したり手の感覚と言う本当に微細な経験値も物なので設備3~4割で技術が7~6割かなと思います。

ここまでの技術を身に着けるのは相当な数をやってきたのだと思います

シリンダーヘッドだけではなくバルブも色々職人と会話できたかな

新品のバルブに交換してあります!

新品だとタコ棒がくっつかないのとカーボン蓄積を嫌って研磨してあります

シリンダーヘッドを見るとここまでの仕事が出来るならバルブの45度面の研磨の技術もあるはずですがあえて新品に交換されています!

バルブステムの突き出し量を最小にしたかったのかな

「バルブ研磨をしてステムの突き出し量の調整料金を考えると新品にした方が安い」との判断かな?

入るシムの厚みまで考慮して復元されています

当店は45度面の研磨もステム長調整も無料なのでそもそもその値段設定がおかしいのですが。

ここは日本人らしいと言いますか部品の供給もしっかりしていて安価でバルブを購入できるので加工技術より新品バルブの方が安いと言う判断なのだと思います

ここは私はアメリカに居た時の経験でアメリカは大陸移動が大変なので部品一つでも簡単に購入できない国です!

バルブ1本買いに何時間も車を走らせないといけないので。

アメリカの田舎では交換ではなく「壊れた部品をどう修理するか」になるので当店は使える部品は徹底的に修理して使う事にしています

この元々組まれていたバルブは研磨の必要もなく細目のバルブコンパウンドで軽く擦り合わせしてシリンダーヘッドは完了!

圧力検査をしても当店の基準と同じなのでやった作業と言えば掃除と点検とポート径の拡張ぐらいかな

吸気ポートを拡張し!

排気ポートも拡張しました!

シリンダーヘッド完成です!

新車に文句を言う人も居ますが殆どが客前で言うはったりだったりパフォーマンスですがこの柏店には凄い職人が居るみたいです