本日は兵庫県の神崎郡からのご来店でエンジン単品での入庫です!!
兵庫県神崎郡と言えば女優の「のん」さんの地元です
今回入庫したエンジンですが「FX購入後すぐにエンジンがかからなくなった」との事でご予約を頂き
ようやく今年入庫しました!!
エンジンの圧縮が無い様です!
腰上はブラスト仕上げで下も一度ブラストされて黒に塗装されたみたいですがずいぶん昔に組まれたエンジンの様です!
ヘッドカバーを外すと!
このカムはWEBの肉盛りカム!!
旧式のカムでST2の様です!
FXにST1は良いのですが2は相性が悪くまた旧式のカムはトラブルが多いので外します!!
ヘッドを取り外すとワイセコピストンで550クランクが入っていました!!
550クランクはラッキーです!!
ワイセコピストンを取り外すと鉄板ネタの!
サークリップ溝が深くなりピストンピンがクリップ内径を突き抜けるギリギリでした
組んで数年でこのトラブルが出るので厄介です!
ゼファー750の810と400エンジンの615のワイセコではあるあるネタですがここを突き破るとピストンピンがライナーをズタズタに引っかきます!!
これは組手やオイルが悪い分けではないので400エンジンにワイセコを組む場合はこの覚悟が必要です
1割ぐらの確立で突き破ります。
私が20歳前後の頃は資金がなくワイセコを組むのも夢でしたが修行時代にワイセコ615の危険性を理解したので
ただでも組まない物になりました
ベテランのエンジニアの間では共通の認識なのですがセミプロが知らずに組む事が多いです
今回のエンジンはピストンピンのトラブルが出る前だったのでこれが原因で圧縮が落ちたのではありません!
原因はシリンダーヘッド側にありますのでまた紹介します!
腰下を分解すると!!
クランクメタルは綺麗でしたが写真の真ん中の2番のコンロッドメタルが焼けかけで真っ黒です!!
触るとモリブデングリスの様なオイルが纏わりついています!!
高回転回してオイルの潤滑不良を起こしたのが原因ですがヘッドがトラブったのでクランクが焼ける前に
エンジンが動かなくなったのが不幸中の幸いでした!!
このまま走っていると2番のメタルは焼けていました
エンジンをサンドブラストしました!
半艶ブラックに塗装してクランクケースのボーリングをしました!!
クランクメタルとコンロッドメタルを交換してクリアランス測定をし
550クランク・コンロッドを組み込みます!
組付け完了です!!
そして!
元々オフセットスプロケが装着されていたので!
ゼファーミッションを装着して外へオフセットしました!!
ゼファーミッションを組み込みます!!
ロアのクランクケースを装着します!
ステンのボルトに交換しました!!
半艶のエンジンに綺麗なネジがおしゃれです!!
ワンウェイクラッチとオイルポンプを組付けます!
オイルパンを組んでひっくり返します!
そしてゼファークラッチに強化クラッチを組付けます!!
クラッチカバーを組んで腰下完成です!!
クラッチカバーはバレル研磨に出されるみたいなので腐食を少ない物を入れました!
シリンダーヘッドのシートカットをするのですがこのエンジンが不動になった原因がこれ!
45度を加工中に止めたのですが半分カッターが当たり半分は当たっていません!
バルブが方当たりになり密閉できたいなかったのが原因!!
そしてこれが原因でバルブが変摩耗してバルブステムが突き出し
カムの基本円にタペットカバーが当たりクリアランス0状態になっていました
バルブが突き出し圧縮漏れが不動の原因です!
吸気バルブの加工精度がかなり悪くすべてバルブの45度面がバルブと当たっていない状態でした!
全てのバルブシートの45度面を加工し直しました!!
ポート系が拡張してありましたが70度のシートカッターで加工すると均一に拡張ができます!!
モリワキのヘッドみたいな改造だな・・・
バルブガイドも鋭利にエッジ加工されています!!
吸気ポートも排気ポートもピカピカに磨いてありましたがシートカットの精度が悪すぎるのでノーマルヘッドの方がパワー
出ると思います
圧縮漏れは大幅なパワーダウンです。
バルブの修正をします!!
見て分かる通り吸気バルブが方当たりでストレスがかかり45度面が凹んでいます。
研磨しましたがバルブの直径が小さくなるので修正不可・・・・
これ以上研磨できません!!
良品のZ400FXの初期のバルブに交換します!!
コッターピンが合わないので専用のバルブです
シートカットの精度が悪いとのちのちこのようなトラブルになります
バルブの擦り合わせをして圧力検査をしてバルブを組み込みます!!
吸気ポート拡張し!
排気ポートも拡張しました!!
FXヘッドカッコいいですね!!
このヘッドは改造されていましたがポート研磨は殆ど意味がありません!!
ポート研磨はパワーを上げる為のおまじないに近いカスタムです!!
15年前のバイク雑誌には「ポート研磨!!」と大々的に書かれていましたが本当にお金勿体ない。
この改造に10万とか20万とか莫大な工賃を取られていたのですがバイク屋にとっては儲かるカスタム
だったのが原因と思います。
手間とペーパーとコンパウンドだけなので丸々利益になるのですがこのカスタムの為にエンジンを分解した事のある
当時10代の私にとっては悲劇のカスタム・・・・
10代だったので「ポート研磨って意味あんの?」と聞くと「ポート研磨はエンジンチューニングの基本」と言われ
必死に働いたお金でポート研磨してもらったのですがマジ費用相対効果ない改造です。
この改造するなら社外キャブ入れたり良いタイヤ入れた方が効果的・・・・・
たかが気体の通り道なので表面がピカピカだと見た目が気持ちいいぐらい。
研磨は殆ど意味ないですが拡張はとても大きな改造で特にZ400系は威力を発揮します
最近のニュースでは日本の離島はいくつあるか?
とニュースになりましたが今までは6800でしたが調べ直すと14000島との事!!
つまり今まで学校のテストで14000と書くと×とされていたと言う事です。
私たちが今まで触れてきた学校での情報、バイク雑誌含め如何に「嘘」が多いかと言う事です。
15年以上前だとエンジンを分解するとついでに「ポート研磨」と言われた物です。
集団心理は本当に危険で危ない物ですね。
当時「ポート研磨なんか殆ど意味ない」と笑った老舗バイクショップの社長は当時異端扱いされましたが数多くの実績
のある人だったんだなと10代の私はその社長から学びました
シリンダーヘッド完成です!!
フィンのカケは溶接にて修理しました!!
そしてビッグブロックは赤仕様!!
赤シリンダーは久しぶりです!
ダイヤルゲージを使いピストンとシリンダーのクリアランスを測定します!
測定完了です!!
ピストンとビッグブロックを組付けます!!
そしてシリンダーヘッドを組んでカムシャフトを組付けます!!