本日は島根県よりローソンレプリカのエンジンの入庫です!!
腰上が分解された状態での入庫です!
このエンジンは運搬中に落とされ左のジェネレーターカバーが破損・・・・
小さな荷物なら文句も言えますが今の時代重量物を配送してくれる業者さん事態がとても少なくめんどくさくて儲からなくてリスクが高いらしく営業所によっては「運んでやっている」と言う感覚らしく今回は幸いにもカバーだけだったので「いいですよ」「運んで下さっって有難う御座います」
「次から気を付けて下さいね」とだけ言って帰ってもらいました
「弁償します」「エンジンを持って帰らせて下さい」と言い出したので「ローレプのエンジンなんか弁償できるわけない」と思い
このまま持って帰らせるとお客様と運送業者がトラブルになると確信したので私の独断で弁償不要にしました
梱包もコンパクトに運びやすくが良いです!
ホームセンターでコロコンの付いた木のパレットを買って下にバタ角をビス止めして固定しエンジンをバタ角の上に置いて安定させます!
ゼファーエンジンだと前にバタ角を置いたら安定します!
これでプチプチでぐるぐる巻きにしてベルトで縛り付ければ完成です!!
落下したローレプのエンジンですが
その場で長男を抱っこしながら分解に取り掛かりクランクシャフトに問題ないことを確認!
チェンジシャフトの根本が破損していない事も確認したので運送会社さんに「大丈夫」といえたのですがね
ここを分解してまず異常が見えたのはフライホイールの外周に擦れた傷があると言う事!
これは落下によるものではなくジェネレーターカバーの中の配線を固定するステーが変形し干渉していた痕跡です。
ここの修理もしないと異音の原因です!
オークションでZ1000Jの物を落札しこれを黒にリペイントして使います!
まずはコレ!
点検棒が入らない時点で今月のスケジュールが大きく変わります!
ここを点検してから腰下の分解に取り掛かります!
クラッチは錆びて張り付いていました!
ミッションカバーを外すとスラッジがべっとりです!
オイルパンを取り外します!
思ったより綺麗です!!
もっと酷いエンジンを多く見てきたのでこれを見て「綺麗やん」と思ってしまう・・・
Z400FXやゼファーもグチャグチャなエンジンが最近は多いですからね
予感は的中!!
腰下の状態は抜群に良い!!
腰下のオーバーホールベースとしては最高です!!
そして分解されたシリンダーヘッド・・・・
このシリンダーヘッドは悪夢の始まりでした・・・
まずはシリンダーヘッドを点検するとバルブガイドのEX側は全滅・・・
しかも良く見るとEX側のバルブガイドが左2本と右2本で違うやん・・・!?
下の写真の物が純正品のブロンズ系のクソバルブガイドです。
上の尖ったバルブガイドはワンオフで作られたクソバルブガイド・・・
しかも一本はしっかり入ってますが
一本は途中までしか入っていない・・・・
バルブガイドを抜き取る為にバルブガイド周辺を掃除しカーボンを落としました!
このヘッドのバルブガイドは素人が交換しているのでバルブシートの加工も狂ったまま加工されているので
打ち換えるとまた大きくバルブシートが狂います・・・・
この様な仕事をされると修理ではなく故障を悪化させて工賃を取られた様な物です。
頼むから何も触らず内燃機屋の真似事をせずカーボンだけ落として組み直した方が遥かに良い仕事・・・・
大がかりなシートカットが必要であると言う事で最悪はバルブシートリングの交換も想定に入ってきます。
クリップが2~3mm程浮いています・・・・
バルブスプリングシートはボンドで張り付いているので出てこない
なんとか救出しバルブガイドを抜き取ります!
今回は切り取って取り除くのではなく加熱して抜き取る方法です!
右の二本が真鍮の様な素材で左は純正のバルブガイドです!
どちらも素材が貧弱で耐摩耗性がないので処分します!
大昔に交換された物なので海外での仕事かな?・・・・・
このバルブガイドは奥まで刺さってなかったのでクリップ下で色が違いますね
シリンダーヘッドを加熱し内径を広げて新たなバルブガイドを入れます!
ここは終結合金の物に変更するので長期で安心ですがシートカットで45度面の角度が大きく変わるのは確定です・・・
トラブルはここから始まります・・・滝汗
バルブガイドを排気側4本交換しヘッドカバーメネジを点検すると・・・・
M8?
ドリルで広げただけの穴がある・・・・・
ヘリサートも無理やん・・・・
と思っていましたが気を取り直し中に詰まったパテ?みたいなボンドを取り除きます。
リューターでゴリゴリ削っているとリューターの刃が奥に当たると音が変わる・・・・?
よく見てみるとドリルが折れて残っています・・・・
最悪でかなり奥深い・・・・
取り出す為に側面のアルミをえぐりましたがフィンのもっと下にまでドリルが刺さっているので救出不可能・・・
幸か不幸か15mm近く下に刃があるのでその上をアルミで肉盛りして12か13mmの深さのメネジを作りM6のボルトを入れれる仕様にすれば良いと思ったので溶接します!
アルミで肉盛りをして外観を成型します!
ここに穴を空けてタップを立てて!
修理完了!!!
ヘッドカバーを見るとココだけM8で拡張されていました
斜めの8mmやし8mmでもバカになる程拡張されていました
これで修理完了かなと思いこんで、いつもと同じ様に作業を進めます!
サンドブラスト加工をして下地の腐食を撤去します!!
そして今回はお客様の要望により艶ありの黒の塗装です!
ピカピカの艶ありは汚れがとても目立つのであまり施工する色ではありませんが強い要望により艶ありにしました
今試作機の623ccエンジンなのですが試作機はシルバーエンジンにする事が多く新型エンジンなので想定外のトラブルが外観に出た時は目立つのでシルバーエンジンにします!!
ただ手入れが大変なので艶あり黒やシルバーは少しでも悩んだ感じの口調だと半艶の黒をお勧めします!
よほど意志が固くないとおススメはしない色ですが今回のオーナー様は絶対に艶が欲しいとのことで艶ありのペイントです
塗装後カムホルダーのヘリサートを打つ準備をしていたのですがまた大がかりなトラブルが出てきます。
排気側の左側のカムホルダーにヘリサート用の下穴を空けていたのですが一か所入りません・・・・
見てみるとすでにヘリサートが入っていた。
その下にタップが折れていたので頭が真っ白になりましたがシリンダーヘッドの外側を削り取り救出に成功しました
上からヘリサートを抜き取り外部から古いタップを抜き取ります!!
無事救出に成功したので溶接で肉盛をします!
まずは周りの塗装をはぎ取り!
溶接肉盛りをして修正!!
外観を綺麗に整えました!
下穴を開け直してロングヘリサートを打ち込みます!
ヘッドカバーの怪しい部分もヘリサートを打ち直して修正完了です!!
ブログには書いてませんが色々とトラブルが続出しお客様と相談した結果このヘッドを修理して使う事にしました
ゼファーやFXだと5秒で「シリンダーヘッド交換!!」と私の独断で決断しますがZとなると訳が違う。
オークションにはゴミしか出品されてないし、お客様が購入した部品どりエンジンは水没車のエンジンだったらしく
人間不信になる程酷いパーツに溢れかえっているので、このボロボロのヘッドを修理に修理を重ねて使います・・・
カムシャフトもダメージが少しありますが研磨すればまだ使えそう・・・
深い傷が二か所ありますが再研磨し使います!
と、言うのもお客様の要望でWEBのST2カムが持ち込まれたのですが流石にこれは無理です
完全に老朽化したシリンダーヘッドでこのハイリフトのカムに強化バルブスプリング・・・・
老馬でシリンダーヘッドが元に戻せるか?と言う状態な程ボロボロなのに劇薬を注入し鞭を打つ行為です
雑誌などを読んで「Zにボアアップでハイカム!!」みたいなのが当たり前ですが私からしたら今のZではマジであり得ん・・・
まだ本当に状態が良くて綺麗に修理できたならまだ分からなくもないですが、それでもハイカムと強化スプリングはエンジンを短命化させます。
これはZユーザーの多くが勘違いしていることなのではっきりと言いますがボロボロ過ぎて精度や状態を戻せるかの戦いで大変なのにそんなヘッドをチューニングと言うのは狂気の沙汰で「パワーを上げたい」と言う発想は二の次三の次です。
現状を正しく伝えて写真を見せてお客様を説得するのが良い事と思うので当店は現状を出来るだけ伝えますが課金ゲームで次々組むお店もある・・・・汗
なんせ一度組んで何度もやり直すのはトラブルを見落としていると言う事です。
一度分解してトラブルに気づくかこのまま組付けたら今後トラブルが出るかがわからずにエンジンを組んだり社外パーツを組み合わせると故障します。
以前のブログにもZは特に書いてますがパワーを上げたいと言うより「調子よく走れる様に元に戻したい」を優先しましょう
シリンダーヘッドの修正で随分時間かかってますが気分を変える為に腰下に取り掛かります!
このエンジンの救いは腰下は抜群に状態が良いと言う事です
クランクも状態が良いのですが!
なんせジェネレーター側を落とされてますからね・・・
クランクを受動で回して目視の点検しかしていないので念のために測定しときます!!
カバーがクランクを守ってくれたので良かったです
カムチェーンはDIDの強化カムチェーンに変更します!!
J系エンジンだと元々カムチェーンは伸びやすい傾向がありますがハイカムや強化バルブスプリングを組むとさらにカムチェーンが伸びます
クランクシャフトとミッションを組み込みます!!
そしてクランクケースのロアケースを組付けオイルポンプとオイルパンを組んでエンジンをひっくり返します!
クラッチも新品に交換します!
クラッチスプリングも強化タイプに変更します!
そしてワンウェイクラッチも一度交換されたみたいですが結構古そうなので新品に交換します!
フライホイールの外周の傷はジェネレーターカバー裏のステーとの干渉なのでステーは良品に交換しました!
Jのエンジンカバーをブラスト加工しリペイントしたのでピカピカです!!
エンジンの腰下完成です!!
腰下の何倍も時間がかかっているシリンダーヘッド・・・・
このエンジンの一番大変なのはシリンダーヘッドの修正です!
燃焼室とポートを掃除しました!!
シートカットをします!
バルブガイドを打ち換え大幅にセンターが狂って今回も打ち換えているのでまた大幅に45度面が狂います!
シートカットうぃしました!
やはり45度面の当たりが大きく狂っていました!
45度のみを加工すると左上の45度面は規定値ですが反対側の45度面は規定値の3倍程の当たり面になります。
すこしずつ切り取り最小の加工で留めたのですがステムの突き出し量が増えると思われます
バルブのカーボンを落としました!
ステムはすでに調整された痕跡がありそこのシムがすでに2.20の厚みなので通常ここまで来るとバルブシートの交換が視野にはいるのですがこのシリンダーヘッドはブログに書いていない場所まであちこち老朽化しているのでこのバルブシートでいきます!
研磨機で45度面を綺麗に研磨しました!!
バルブの擦り合わせをしてカムを装着しシムの強制をします!
カムはヨシムラのST1です!
吸気側はコンディションは最高ですが排気側は大変です
ステム長を調整し焼き入れしました
吸気側もステム長の調整をして焼き入れ加工しました!
擦り合わせをしてシリンダーヘッドを組みます!
バルブシートを作ればバルブ周りも一新できますがここまですれば流石にシリンダーヘッド買った方が良いです!
Jエンジン丸ごと買ってヘッドだけ取り外してOHする方が良いです
バルブの圧力検査をしてシリンダーヘッド完成です!!
この時点で一番薄いシムの場所が2.20なので次のシリンダーヘッドのOHは厳しいかな・・・
Zのヘッドだと素人がシートカットしまっくてグチャグチャにしているヘッドだれけで内燃機屋も雑なシートカットで短命化させている事例もあるのでここの修正はお店選びが大切です
バイクショップが外注の内燃機屋にだして失敗されても失敗に気づいていない場合が多いです
ちなみにこのローレプのヘッドの修正だけで丸5日以上かかってます
ブログで書くと一瞬ですが本当に大変な仕事でした