大変長らくお待たせしました
本日は東京都からのお客様でZ400FXのE4Bエンジンの入庫です
車両ではなくエンジン単品での入庫でモリワキのピストン・550クランク装着済みですが今回ビッグブロックにて710ccにボアアップします
入庫したのがこのエンジン
GPヘッド!!と思いきやGPのヘッドカバーでヘッドはZ400FX
今回GPヘッドに変更します
今月入庫している香川県のお客様のFXと同様E4Bで珍しいクランクケースなのでのちほど紹介します
腰上を分解すると!!
モリワキのローコンプピストンが出てきました
ピストンリングがトップリングとオイルリングの2本なのですぐに圧縮が低くなるピストンです!
レース用なので摩擦抵抗を減らす為この様なピストンになっています。
当時のピストンリングは鋳造でとても分厚く摩擦が多きかったので少しでもエンジンの摩擦を無くす為この様なピストンになっていました
1レースでリング交換が当たり前なのでストリートには不向きです!
エンジンの摩擦の30%はピストンリングとも言われます!!
しかしそれ以上に大きな摩擦はカムがバルブを動かす時に発生する摩擦です!
簡単に言えばバルブスプリングを押す力が一番大きな摩擦です
強化バルブスプリングって何となく良いイメージがありますがカムホルダーや
カムチェーンを伸ばす原因でエンジンを短命化させるパーツです
強化バルブスプリングが必要なリフト量のハイカムはもっとエンジンを短命化させます
で!
FXの場合ハイカムよりヘッドを交換する方がパワー出てどこにも負担をかけません!
それどころか排気ポートを拡張すれば熱を逃がすので良いとこ尽くめです
エンジンの熱は排気による放熱が70%ほど!
オイルクーラーなんかよりマフラーの排気効率を選んだ方が遥かに熱を逃がします!
例えばヨシムラの復刻版のショートカン・・・・
ノーマルエンジンでも排気効率が悪すぎてエンジンの熱が抜けずアイドリング不安定になったりします。
オーバーヒートの前兆です!!
マッドマックスの安物のショートカンの方が張るかにパワー出て排気により放熱します
そしてこちらのFXのお客様はGPヘッドに変更します
腰下を分解すると真っ黒なエンジンオイルが出てきました
一本リングのピストンは燃焼によりピストンを押し下げる時、排気ガスはクランクケースに吹き込むのでオイルに排気ガスが混ざり真っ黒になります
モリワキやゼファー750のポッシュのピストンも同様です。
このタイプのピストンの場合オイル交換は1000キロから1500キロの方が良いです!
でないと!
スラッジの混ざったオイルはメタルを傷だらけにしてしまいます!!
大きな異物が入って傷が付くのか、スラッジの細かい汚れが入って傷が入るのか
どちらにしてもメタルの摩耗はエンジンにとって致命的です
オイル交換を疎かにするとメタルを消耗させ焼き付きの原因になります。
でもそれ以上に多いのが高回転の回し過ぎ!!
2番のコンロッドのオイルが追い付かなくなり焼けるトラブルがザッパーエンジンの弱点です
逆に言えば乗り手がエンジンの扱い方・メンテナンスをすればメタルは半永久的に大丈夫なんです
40年選手のFXでも乱雑に扱われたエンジンが殆どですが極稀にメタル全然大丈夫やん!!ってのもあります
分解時に全交換しますがね!
エンジンをマスキングしサンドブラスト加工をします!
シリンダーヘッドはGPに変更なのでブラストしてメーターギアの加工中です
エンジンを半艶の黒にペイントしました
クランクケースもボーリング完了です!
こちらのFXはGPが生産終了してかたもう一度再生産されたFXなのでGPの初期と同じクランクケースです
香川県のFXのオーナー様の物と全く同じ形状のクランクケースです
ミッションカバーにボルトが残ってしまったので撤去します
ノックピンの中にボルトがあります!
こんな場合はノックピンを抜かず6ミリのドリルで折れたボルトの頭を平らにします!!
平らにしてからドリルでボルトのセンターに穴を開けます!
拡張して古いボルトを切り取りヘリサートを入れ完了です!
完了です!!
こんな時はノックピンを組んだまま仕事をすると綺麗に仕事が出来ます
ここのボルトなぜかネジロックが付いています
メーカー出荷時からボンドが付いていますが何故かは不明です
お蔭で固着してたまに折れてしまいます
クランクメタル・コンロッドメタルを交換しクリアランス測定をします
550クランク・コンロッドを組み込みました
ミッションを洗浄し組みます
ロアケースを組みます
オイルポンプとワンウェイクラッチを組みしました
こちらのお客様もGPZオイルパンだったのでゼファーのオイルパンに変更です
そして今回は一次減速を550に変更します
ゼファークラッチを使わずFXのクラッチカバーを装着するからです
なので今回はプッシュロッドを装着します
一次減速を550に変更すると二次減速もロングにしないといけません
F18丁でRが36~38丁です
これでも少しショートです
見た目を取るか機能を取るかですがこちらのお客様はFXクラッチカバーの外観をチョイスされました
この仕様にする場合一次減速が550が必要になります
今月は香川県のお客様と広島県のゼファー(GPZエンジン)のお客様がご来店されていますが原動機の型式が違うだけで外観は全く一緒
クランクケースのリブの枚数もまったく同じです
こちらのエンジンはE4Bなので
エンジン腰下完成しました
シリンダーヘッドを修正します
まずはシートカットします
45度面をシートカットし70度で内径を拡張しました
全てのシートリングの修正完了です
ここからの眺めが美しい
次はバルブの修正です
バルブのカーボンを落とします
そして45度面を研磨機で修正します
このバルブをすり合わせして圧力検査をしてヘッドを組みます
こちらのお客様もポート径拡張のオーダーです
排気ポートも拡張のフルパワーのGPヘッド
しかし車体のタコメーターは機械式なのでメーターギアを組む穴を空けました
ヘッドの側面のフィンは研磨仕様です
制作したピストンとシリンダーのクリアランス測定をします
ダイヤルゲージを入れ測定完了です
ピストンとビッグブロックを組みます
そしてシリンダーヘッドを組みます
ここは同じFXユーザーでも分かれ道となります
最近私はFXヘッド派に戻りました・・・・
未だにコロコロ気持ち変わるんですがね・・・・・
カムを組みタペット調整します
そしてヘッドカバーを組みます
このGPヘッドカバーはピカピカに磨いてあります
複雑な形状のカバーなのでここまで磨くの大変だったと思います
ズラリと並べると皆さまの個性あるエンジン
同じ単車でもエンジンで大きく個性が分かれます
とくにFXでは!!
エンジンの見た目をとってFCRキャブで性能を上げる人やGPヘッドエンジンでパワーの余力をつくりキャブをCRにしてアンティークな外観を演出したりFXにGPヘッドでFCRキャブを付ける怪力パワー重視だったりと
この東京のお客様の車両はメーターギアを装着できるように加工したのでタコメーターは純正みたいです
と、言う事は外観ノーマル風のFXと想像できます
エンジンに点火装置を装着しエンジンを始動させます
エンジン点火
エンジン快調
FCRキャブでフルパワー仕様です
そして一次減速550でFXクラッチ仕様
強力なエンジンにFCRは最高の組み合わせです
二次減速も同梱して送ります
神輿を作りエンジンを載せて!
プチプチでぐるぐる巻きにして段ボールで梱包して完了です
今月も地元の常連様がご来店!
隣町のお客様で工場の入り口の強力な鉄板の差し入れです
仕事柄金属の廃材を取り扱っているのですが会社の中で自分の好きな材料があるとコレクションしてるらしい・・・・
コレクションの一部を寄付して下さいました
ここの鉄板薄かったのでこれで安心して通れます
有難う御座います