栃木県〇〇様 Z400FX エンジンオーバーホール

本日は栃木県のお客様

車で当店までご来店していただきました

遠方からわざわざ有り難う御座います

エンジン単体での入庫です!

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このZ400GPのエンジンは部品取りエンジンで中身はGPの部品を使います

ベースとなるエンジンは元々車体に積まれていたFXのエンジンです

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このクランクケースなのですが・・・・

ボロボロでOILラインやメネジに虫の巣や泥がギッシリ

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クランク下のOILラインが詰まっていたので長いドライバーで貫通させました

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ボソっと虫の巣を穿り出し!

メネジ全部にタップをたてていきます!

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ダンボールの上が砂場になっててきました

地元の常連様はこのクランクケースを見て

「これ走れるんですが!?」と驚いていましたが大丈夫です

このエンジンはこれからバリバリ走るエンジンになります

写真写りがとても良く見えますが内部も腐食で酷いありさま

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ばらした状態で放置だったみたいです

シリンダーヘッドはカムホルダーが無かったので使えません

カムホルダーとシリンダーヘッドは一体物の削りだしなのでカムホルダーのみを中古で買って組み替えはできません

当店にあったシリンダーヘッドを取り合えず使います

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溶接肉盛りをして表面を削り仕上げていきます!

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反対側も肉盛りし削ります

ここは袋ナットになっていて長いボルトをねじ込むとパキッと割れます

FXのヘッドではよくあります・・・

程度の良いシリンダーヘッドの在庫が無かったので溶接にて修正復元しました

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反対側も!

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綺麗に仕上がりました

サンドペーパーでならしてブラストあてて塗装くれたら分かりません

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シリンダーとピストンはボアアップしたお客様で状態の良い物をストックしていたのでボーリング・オーバーサイズピストンに組み換える必要はありません

前のお客様からの寄付していただいたピストンとシリンダーを使います

ここまで数多くエンジンをしていると軌跡の様なピストンとシリンダーが極稀に出てきます

FXエンジンのOHは年に一度か二度ぐらいなので初心にかえる為に仕事します

エンジンを全分解しサンドブラストしました

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クラッチカバーは在庫に棄てるほどあるのでFXのクラッチカバーに変更です

このクランクケース・・・・

かなり外観が汚れていて

「水没車のエンジンですか?」

「田んぼに埋っていたのですか?」

「海底から引き上げたんですか?」

などなど・・・地元のお客様に突っ込まれました

腐食は表面だけだったのでブラスト加工するととても綺麗な表面になりました

ペイントすれば新車の様なエンジンになります

エンジンのペイント完了です

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綺麗な半ツヤブラックになりました

シリンダーヘッドの修正は!

言われても分からないほど綺麗になりました

クランクケースの内側の腐食は酷すぎてブラッシングではおいつかないので

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ウエットブラストで表面を洗浄です

これで気持ちよくエンジンを組めます

クランクメタル・コンロッドメタルを交換しクリアランス測定します!

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エンジンのオーバーホールなので400のクランクです!

エンジン内部の部品の洗浄点検中不具合発見

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シフトフォークの先端が磨耗しています

いつもエンジンの部品ばかり見て、さわっているといちいち測定しなくても指先の感覚でわかります!

今回は験しに測定してみると!

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4.735ミリ!

良品の幅は!

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4.95です

このシフトフォークは極端な磨耗なので測定し撮影しましたが普段はもっと少ない磨耗でも交換しています!

手の感覚で分かるので、いちいち測定しません!

マニュアルどーりに組むのはセミプロの仕事ですが今回はオーバーホールなので規定のトルクで組んでいます!

普段読まないので難しい・・・・汗

ミッションを組みこみ!

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クランクケースを組みます!

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ワンウェイクラッチとOILポンプを組み込みます

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マニュアルのトルクって何処に書いてあったっけ・・・・

と本を読みながら仕事しています

たまにはオーバーホールの仕事をしないと規定のトルクって分からなくなりますね・・・・

エンジンをひっくり返しクラッチを組みます!

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部品取りのGPのハウジングは磨耗気味・・・

昔のFXやGPはプッシュロッドが正常に作動していてもクラッチが切れにくいんです

良品に交換します!

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ハウジング交換は絶対プライマリギアとセットで交換します

ハウジング単品で交換するとクランクケースの変形・破損を招きます

400エンジンだけでも5種類ぐらいあります

ハウジングを磨耗させたくないのでクラッチ板はゼファーに変更しています!

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クラッチ完成

次はシリンダーヘッドを修正します!

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掃除してシートカットしていくと!

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シートリング右下はガッツリ幅が広がり!

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左上の当たり面は細くなりました

シートリングが若干歪んでいます

全てのシートリング修正完了です!

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近くで見るとこんな感じです!

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とても綺麗に仕上がりました

次はバルブです!

バルブは持ち込まれた腐ったFXのシリンダーヘッドから救出しました

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カーボンの上に真っ赤なサビが乗っかっていましたが磨くと綺麗になりました!

腐食が無かったのでラッキーです

45度面を研磨し修正しました!

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ダメージは無いので表面をサッと加工しただけです!

すり合わせをし圧力検査に合格したのでシリンダーヘッドを組みあげました

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フィンの研磨はナシです

研磨しない人も大勢いるのですが皆さん口を揃えて研磨した面の腐食が嫌なんですよね!

と、言います

次はシリンダーをホーニングしクリアランス測定します!

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ダイヤルゲージを入れ!

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4/100~広い部分が6/100!

純正にしては良品です!

カワサキの場合ノーマルピストンと言えば1種類ですがホンダはノーマルピストンでも3種類あるんです!

クリアランスに合わせてご使用下さいってことなのですがカワサキは良い物と悪い物の固体差が激しいです!

勿論サービスマニュアルのクリアランスはデタラメでそれどうりに加工はされていません!

昔のホンダのCB750Kもクリアランスは酷い物が多いかったです!

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ノーマルピストンはこれです!

とても小さいです

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組みにくい

普通はでかいピストンの方が組みにくいのですが手が慣れていないので難しく感じます・・・・

普段より時間かかりました

リビルドしたヘッドを乗せタペット調整します!

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持ち込まれたカムはサビでポシャっているので当店の良品に交換です!

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これは使えません

タペット調整をしヘッドカバーを組みエンジン完成です!

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とても綺麗なエンジンに甦りました

点火装置を取り付けエンジン点火

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スムーズに始動しました

いつもの710エンジンは作業台の上で暴れて大変ですがノーマルエンジンなだけあって優等生

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ジャンクだったエンジンが新車のように静かに動き出しました

FXのエンジンは骨董品ですが新たに命がやどり、まだまだこれから栃木で走ってくらるでしょう