広島県〇〇様 ゼファー750エンジンオーバーホール

大変長らくお待てせしました

先月に引き続きゼファー750が入庫です

同じく0.5mmOSピストンを組む予定なのですが一度全分解された痕跡があります!!

今現在目に見える不調って訳ではないのですが中身の状態が分からないのでOHのご依頼です!!

過去にエンジンを全分解されている原因は不明ですがクランクケースが新品に交換されています!!

シリンダーヘッドは新品のクランクケースと同色にリペイントされているのですが何故クランクケースが新品に交換されているかは謎です!

クランクケースが割れたのでしょうか?・・・・・

早速エンジンの分解に取り掛かります!

シリンダーヘッドガスケットは前期の物が組まれています!

クラッチは後期の物が入っています!

全分解してみると!

クランクメタルはとても綺麗!!

コンロッドメタルもとても綺麗!!

組まれてあまり走行していない様なメタルです!!

しかし・・・・

スリーブを測定すると!

最大の部分で規定値を大幅にオーバーしているのでボーリングが必要です!

ゼファーのエンジンで過走行になるとこーなるのは当たりまえです

それよりもぞっとしたのがシムです!

厚みが2.15なので恐らくかなり深くシートカットしたと思われます

ZやZ400FXだと元々のシムが厚いのでシートカット後も調整しやすいのですがゼファー750は別!!!

シートカットの難易度で言えば最もシビアで新車出荷時から2.30のシムが使われています!

また2.325など通常では販売されていないシムがゼファー750のエンジンにだけ使われているので出荷時のタペット調整は通常の倍の数値で組まれていたエンジンです。

元々調整しろの少ないエンジンを前に分解した人は一気にシートカットしこの薄さまで追い込んでしまっています!

しかもこのバルブ・・・

左のバルブは45度面がシートリングに当たっていないので圧縮漏れした痕跡があります・・・

このシリンダーヘッドは修正がとても難しいので通常の倍以上の時間が必要

このシートカットなら何もしない方が遥かに修理しやすいです

バルブを点検すると!

傘の45度の摩耗も激しいのですが問題はここ!

シム調整が出来なくなりフリーハンドでステムを削ってあります

焼き入れもないのでしばらく走るとクリアランスが変わってしまいます

エンジンを全分解し洗浄しました!

今回のエンジンはとても綺麗なのでペイントはしません!

クランクメタルを交換しクリアランス測定をします!

そしてコンロッドメタルを組みクリアランスの測定をしました

そしてミッションを洗浄しクランクケースに組み込みます!

ゼファー750の後期なのでまずギア抜けはありません

前期でもギア抜けしにくい構造ですが後期はもっと抜けない構造です

ロアケースを組みます!

オイルポンプとワンウェイクラッチを組みます!

組みつけ完了です

オイルパンを組んでエンジンをひっくり返します

クラッチはターボの物を移植します

クラッチカバーを組んで腰下完成です

このエンジンの問題はここからです

以前OHされた時のシートカットですが失敗しているのでステム長の調整が必要です!

燃焼室とポートを掃除したのですが!

この加工は外注に出したと思われます!

30度面に段差があるので粗悪な純正工具でシートカットしたのではなく三面同時加工をされています!

個人のバイクショップで置く機会ではないので内燃機屋の仕事と思います!!

ここに落とし穴があります!

内燃機屋に「シートカットして」と頼むと上記の写真の様に加工してくれますがステム長の突き出し量まで気を回す職人は極少数!

とくにゼファー750のエンジンは別格に指示する必要があります!

元々のシムが薄いのでステム長を逆算せずに加工するとシム調整出来なくなります!!

このシートカットは深すぎますが精度は良いのが不幸中の幸いです!

45度面のみを軽く研磨機でシートカットします!

今回はこれで終了でバルブの修正に取り掛かります!

バルブから圧縮漏れしていた原因ですが!

見れば一目瞭然ですね!

45度面が摩耗しています!

これはペーパーで念入りに研磨すれば見えなくなりますし触った感じで段差が無くなり綺麗になりますが結論を言えばダメです!

ばらした時の様に圧縮漏れします!!

45度面を研磨機で修正します!

この作業をしないと精度の良い加工をしても圧縮時に気密性を確保できません!!

走行中にパス!パス!とキャブから吹き返す場合エンジントラブルの可能性があります!

キャブから吹き返すと言う事は圧縮時吸気のバルブから漏れています

上記の加工をしたのでステムの突き出し量が増えますがステム長の調整をし仮組して調整します!

吸気側の調整をし!

排気側も調整します!

一番薄いシムで2.35なので標準のシムも厚みまで持ってくる事が出来ました

この作業で丸一日です

バルブステムに焼き入れもしたので潰れる心配もありません!

そして純正のオーバーサイズピストンとボーリングしたシリンダーの点検をします!

ダイヤルゲージを入れて測定します!

クリアランスは4/100mmです

ピストンとシリンダーを組み込みます

そしてシリンダーヘッドを組み込みました

そしてタペットカバーを組むのですが・・・・

摩耗しガタガタです

全滅なのですべて交換します

カムシャフトを組みタペット調整します

タペットカバーのガタも無くなり良好です

ヘッドカバーを組んでエンジン完成です

エンジンを搭載しエンジンを始動させます

エンジン快調!!

静かで悪い部品も一通り全交換したので安心して乗れます

試乗したのですが今月は雨が連日続いたので景色の良い場所に行けませんでした

工場の回りをウロウロ走り第一段階の慣らし運転は完了してます

今回このゼファーのオーナー様よりゼファーχの部品取りを差しいれして下さいました

地元の弟子の子がいるのですがその子がユーチューバーになるらしいです!!

バイクの動画を作るらしいのですがその子の動画に当店がスポンサーになる事になりそうです

このゼファーがYouTubeに出てくるかもしれません

チャンネルが出来たらお知らせします

それと!

広島のお菓子と尾道ラーメンの差し入れを頂きました

有難う御座います