千葉県〇〇様 Z400FX 570ccボアアップ

大変長らくお待たせしました

本日は千葉県よりZ400FXが入庫しました

その前に地元の常連様より差し入れを頂きました

ゼファー710とZ710FX所有の常連様よりお菓子の差し入れと!

シャツとキャップを制作して差し入れして下さいました

関西の当店のお客様の横のつながりで皆様が制作して下さったみたいです

有難う御座います

このお菓子を差し入れして下さったお客様もついにパパとなりました

地元のパパ友の会にも入るとの事で色々と子供グッズを回したり情報交換したりしています

パパ友の会と言うのは表向きは別名EXILE撲滅委員会です!

40代・50代のパパ友情報ではEXILE被害のパパが多数でています!

仕事を休み京セラドームまで送り向かいしたりグッズを大量に買わされたり大変らしいです

入庫した車両がこの車両です!

車両のカラーはE3カラーにロングテールカウル!!

私が10代の頃はE3カラーは人気がなく塗りつぶされていたので殆ど見る事がなかったカラーですが大人になるとこのラインが激シブに見えるのは何故でしょう・・・・

黒ベースにこのラインってのがかっこいい

FXが珍しい時代に貴重な一台です

早速エンジンを降ろします

腰上分解歴がありますがオイル上がり気味の様です!

早速エンジンを分解します!

ピストン・シリンダーの状態は多少摩耗していますがオイル上がりしているか?と、なると一般ユーザーでは体感できないレベルの摩耗です。

となるとオイル下がりになります。

腰下を分解すると!

クランクメタル・コンロッドメタル共に良好!

オイル交換は小まめにされていたみたいです!

エンジンを全分解しサンドブラスト加工しました!!

このエンジン!

洗浄中に気付いたのですが通常のFXとは異なります

カワサキ重工の悪い?箇所があります

後々紹介します

エンジン塗装をしました

色は半艶のブラックです!

アッパーケースをひっくり返しクランクとコンロッドを組みます

クランクメタルとコンロッドメタルを交換しクリアランス測定をしました

FXクランクとコンロッドでの570ccです!

ショートストロークで1cmオーバーサイズピストンとなり550クランクと比べ軽量クランクなのでレスポンスも速くピストンもハイコンプになります

普通の550エンジンとは比べ物になりません

しかも超低コストなので費用相対効かも抜群です!

ミッションを洗浄し点検し組み込みます

オーナー様より「稀にシフトアップするとギアが入らずニュートラルになる」との事でしたがミッション・シフトフォーク・シフトドラム全て問題ありませんでした

FXユーザーの場合この様な症状を訴える人は多いです

確かにギア抜け気味の物もありますが殆どが運転歴の長いベテランライダーが同じ症状を訴えます

クラッチを切る・シフトアップする・クラッチを放す!

この基本動作を瞬時にするのでクラッチが切れる前にシフトペダルを動かしているのです

逆に初心者のライダーはこの基本動作を確実にするのでこの症状が出ません

ゼファークラッチを流用するとダイレクトにクラッチが切れるのでこの症状が出ません

ロアケースを組みます

ネジはステンに変更です

オイルポンプ・ワンウェイクラッチを組み込みます

オイルパンを組んでエンジンをひっくり返します!

一時減速は550を流用します

710ユーザーには必要ない部品ですが570ユーザーには必要で貴重なパーツです

ハブは傷んでいたので良品に交換しました

そして強化クラッチを組み込みます

クラッチカバーを組んで腰下完成です!!

ここからシリンダーヘッドに取り掛かりますがカワサキ重工の適当っぷりが出てきます

シリンダーヘッドを洗浄します!

すると!

普段のヘッドとは違う部分があります!

バルブガイドが赤いです!

過去にこのヘッ以外で1度見たことがあります。

このバルブガイドは銅の合金でZなどに当時使われていたバルブガイド(素材)です!

ザッパーエンジンのガイドは白いので素材が異なります。

そしてEXの1番のみが異常な摩耗?をしています!

摩耗なのか最初からなのか分かりませんがバルブを入れるとガタがあるどころかグラグラです!

ここからオイル下がりしていたみたいです!

シリンダーヘッド全体を加熱しここの部分はもっと加熱していきます

そしてバルブガイドを抜きました

これが入っていたバルブガイドです

クリップも通常の物より長いです。

綺麗ですがステムシール側がガタがありバルブガイドの下はまったく摩耗がありません。

通常とは逆・・・・

上よりも下が先に摩耗するので新車からか以前分解した人がリーマー加工に失敗したのか・・・・

ここの1本だけでステムシールの上側だけがクリアランスが広いので摩耗とは考えにくいです

またこのバルブガイドの素材は買えないので恐らく当時のカワサキ重工内でプロトだったヘッドなのか何らかの理由でこのヘッドだけ銅のバルブガイドにしたのか。。。

新品のバルブガイドに交換します!

これは純正のバルブガイドです

今は販売されていないデットストック品

純正を使わなくても作るのは簡単なのですがね

ザッパーエンジンの場合バルブガイドが摩耗して交換ってのは国内車だと100機に1機もありません

逆車過去に2機あったかなって程摩耗しません

このバルブガイドは冷却します!

そして抜いたヘッドを加熱し内径を広げます

そして圧入完了です

美しい仕上がりです

シートリングのシートカットをしました

70度で内径拡張し45度面はサッと極小で仕上げました

元々シートカットされた痕跡がありましたがかなり薄いシムだったのでバルブステムの調整が必要です!

全てのシートカット完了しました

バルブも研磨機で45度面を修正しました

これが元々装着されていたシムです!

恐らくシートリングの切り口を見ると内燃機屋の仕事です!

この様シムで収まっていたのであればシートカットシロは残り0.25しかありません!

薄すぎて割れる場合もあるのでこの様な薄いシムは好みません

ステム長を整え焼き入れしました

すり合わせをしてバルブを組み込みます

吸気ポートを拡張し!

排気ポートも拡張しました

ヘッドは真っ黒の仕様です

次はシリンダーのボーリングが完了したのでピストンとのクリアランスを測定します!

ダイヤルゲージを入れ!

測定完了です

ピストンとシリンダーを組み込みました

570ccはハイコンプで軽量ピストンにミドルストロークの軽量クランクなのでエンジンの特性はとても面白いです

修正したシリンダーヘッドを組み込みます

そしてカムシャフトを組みタペット調整をします

一番薄いシムでも2.40で留めていますので次のオーバーホールも全く問題なくできます

ステム長もまだ0.2ミリ以上余裕があります

なのであと2回は余裕をもって修正出来ます

ヘッドカバーを組んでエンジン完成です

このエンジンは硬貨で言うとエラーコインみたいなヘッドでした・・・

エラーと言ってもバルブガイドの素材だけですが過去にはオイルライン内にドリルの折れた先端が残っていたり面研が中途半端だったり・・・・

当時のカワサキ重工なので色々と手抜きだか不良品がかがあるのですがこのバルブガイドは多分熱伝導性をよくする為の素材だったと思われます!

Zだとバルブが大きく摩耗もしやすいのですがFXにも使われる予定があったのでしょうか・・・

当時の社員は引退しているので今となっては分かりません

エンジンを搭載しキャブとマフラーを取り付け火を入れます

快調

以前は1番がオイル下がりしていたのでエキパイ内がオイルでベトベトの状態でした!

マフラー内のオイルを取り合えず走って出し切ります

その前にクラッチレリーズの調整!

レリーズのロックナットが固着していたのでサンダで切りました

長年調整されていなかったので固着して回らない状態でした!

ゼファークラッチを移植すると関係ないのですが旧車は調整が必要です!

しかし最近のバイクショップではここの調整が出来ないお店もあるみたいです

若いメカニックで旧車をさわらない人も多くなってきたのでクラッチワイヤーの交換時にレリーズをさわる事が無くなってきたからみたいです

これも時代でしょうか・・・・

早速試乗に出発です

万葉岬に行きました

マフラーはRPMカンですがギリギリ走れるってレベル・・・・

710ccだと無理です・・・・

これは67シリーズでしょうか・・・

マフラーでパワーの出方が大きく変わるのですがPカン・復刻のモリワキ・ヨシムラはもっともパワーが出ないマフラーです

キャブはCRキャブの新品です!!

メカノイズもなくなり静かなエンジンです

Z570FX完成です