埼玉県 ○○様 Z400J 710ccボアアップ

大変長らくお待たせしました

本日はZ400Jの入庫です

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足回りはゼファーを移植

足回りを改造するならゼファーが手っ取り早いですがRが18インチでタイヤを選べないのがネック・・・

でも手っ取り早く速い車体にしたいならこの改造がメジャーですね

またJでもヨーロッパ仕様のフレームです

北米もあり東南アジアにも同系モデルのバイクが輸出されました

このJは国内で言うE4モデルです

違いはフレーム番号・ハンドルロックの位置ぐらいです

あと状態の良い物が低コストで購入できます

国内のFXと逆車の550・500・Jを比べると逆車の方が状態が良い物が圧倒的に多く北米の砂漠地帯の車両はサビもなく信号もないのでとても良いコンディションの物が多いです

なので次女の車両はZ500の逆車のベース車を購入しました

入庫した時気になったのがこれです

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オイルクーラーのホースがとても長い

縦回しのストレートに変更します

横回しと縦回しがありますが機能は同じです

横回しにする理由は見た目だけです

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エンジンを降ろしました

ガスケットから判断して分解歴無しかと思いましたが!

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スリーブ下にボンドを塗ってありました

FX・JエンジンはOリングが無いのでヘッドとシリンダーからのオイルリークが発生しやすいです

Zのエンジンでも「Oリングは必要ない」と言うバイク屋さんも多いらしいですがエンジンを分かっていない人のセリフです

周回遅れの素人です

切断面の問題とかスリーブ外周のクリアランスの問題ではありません

多分このエンジンを空けたのは遠い海の向こうのヨーロッパと思われます

一応液体ボンドが効いていたみたいでオイルリークはありませんでした

ここのOリングの必要性にもっとも早く気づいたのがホンダです

時代をさかのぼるとCB1やCB400SFの時代に大きく進化しました

シリンダーを真っ二つに切るとその構造が分かります

CB750の時代はシリンダーの精度は悪かったですが鉄の素材はカワサキとは比較にならない程良い物でした!

スリーブ一つをとっても天と地のさ地の差

今のゼファー750でもスリーブに巣が多く摩耗も早い

ターカロイ鋳鉄ですが遠心鋳造なのかな?・・・・と思うほど巣が多い

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腰上を分解しました!

下の分解に取り掛かると!

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多分海外であり合わせのボルトで固定されています

アメリカ・ヨーロッパ共に状態は良いですがこの様な修理は多く見てきました

なぜかと言うと日本ほど部品の供給が良くないからです

アメリカの田舎だと大陸が大きいのでボルト1本でも1週間以上かかります!

全ての部品をメーカーから買える日本ではこんなことする必要ありませんが海外では物流が良くないので欲しい部品をすぐに買えないんです

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オイルクーラーの取り出し口のボルトが緩みません

ここをオーバートルクで締めると今までもそうですが六角穴がバカになりタガネでたたいて緩める事になります

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コンロッドメタルは傷あり

エンジンを全分解していきます

そして本日は3・11の日!

もうあれから7年が経ちました!

七年前のちょうど今日で私の人生は大きく変わりました。

あの日から全力で生きているのだろうかと時々立ち止まり考える時があります。

あれから独立をした。

ボンネビルに行った。

ビッグブロック・710ピストンを作った。

工場を建てた。

結婚をした。

子供にも恵まれた。

なにより子供がかわいくて仕方ない。

でも7年前の災害でそれを失った方も大勢おられて、あの災害からしばらく

「風化させない」とメディアでもコメンテーターは散々言っていたのにどうでしょうか?

また関西では森友報道をしています。

関西ローカルの「そこまで言って委員会」と言う番組があり他のメディアの主義・主張にとらわれず福島の特集をしていたのですが久しぶりに泣いてしまった。

原発の裏で自分の命を投げ出し決死隊となり原発で働いた人が居なければ東日本は全て人が住めない土地になっていたのすね。。。。

やっぱり今生きている以上は考えてしまいます。

いつ病気・事故・災害で命を落とすのか分からないので一度の人生を楽しまないと損だなと。

自分の死の間際に「〇〇やりたかった」と後悔がないようにしないと本当にもったいない人生だなと思います。

私はまだまだやりたい事があります

娘とツーリングに行きたい!

ですが下の子は18年後なのでまだまだです。

長女号と次女号をまた制作しないと!!

長女はゼファー900で次女はZ500のベース車を購入したのですが

次女のZ500は嫁に内緒でこっそり購入して保管していたのですが散歩帰りに倉庫を開けると嫁に見つかったしまいました

「なにこのバイク!!前あった!???」と聞かれ

ん?汗「こっ・・・これ?」

「ごっ・・・5万で買ってん」←嘘

と言って修羅場を切り抜けました

Z500が5マン!

夢を達成するのは大変です

今の時間で一番大切なのは子供との時間で

その横に好きな単車があれば良いかなと

エンジンを全分解します!

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Jや550やFXの中期からはクランクケースの穴は大きめですが!

同時に入庫しているFXのクランクケースはE1の初期!

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見るからに狭いのが分かります

これでも550のシリンダーを入れる為に削ってあるんです

E1の初期のみこんなクランクケースです

クランクケースで大きく進化したのがゼファーχです

CB400SFも似た構造

当時のカワサキと比べると贅肉の絡まりです

エンジンをサンドブラスト加工します

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そして半艶ブラックにペイントします

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クランクケースのボーリングも完了です

エンジンを組む前に余談ですが!

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輸出モデルのFXやZ400FXのE4やZにもこの様な穴がフレームの左側にあります

殆どがここはメクラになっていますが!

メーカーのオプションであったのです!

ワイヤーロックのワイヤーを入れる為の穴です

意外とバイク屋さんも知らないんです

実は当店にここに入れるワイヤーの新品のデットストックがあります

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これです

大昔の川崎重工の社員が会社からパクってきて家に保管していたらしい

それを貰いました

今の川崎重工の社員さんはそんな事出来ませんが昔の社員はメチャメチャ

工場内に自分のZⅡを持ち込み製造ラインのZ1のエンジンに積み替えて乗ってかえったり

今では考えられない事が明石では平気でおこなわれていました

年配の明石市民ではあるあるネタです

人口島にWやZのプロトタイプの新車が捨ててありそれを地元のバイク屋さんが持って帰るのも当たり前の時代!

新車が捨ててあるので乗って帰らない様にブレーキワイヤーやアクセルワイヤーを当時の川崎重工の社員は切ってほかしていました

↑これは時効なので言える事!笑

私の高校生の頃の川崎重工の話しもありますがまだ現役の社員さんなのでそれは言えません・・・・

昔のカワサキはワイヤーロックの収納スペースが無かったのでフレームの中に入れる構造にした為の穴です

しかしこのワイヤーには問題があります

一度入れると引っかかり抜けなくなったり錆びて抜けなくなったり・・・・

なのでここの穴はメクラにするのが一番です

エンジンを組んでいきます

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クランクメタル・コンロッドメタルを交換しクリアランス測定します

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ミッションを分解・洗浄し点検し組みます

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オイルポンプはヘタリ気味だったので当店の在庫に交換です

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こいつは処分です

今までも交換したオイルポンプはいくつかありますが異物を噛み傷があるものは勝手に交換してます

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オイルポンプとワンウェイクラッチを組みました

勿論ネジはオールステンです

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とても綺麗

こちらのお客様はFXのクラッチをチョイスです

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なので一時減速を550に変更し強化クラッチを組みます

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エンジン腰下完成です

一次減速を550にしFスプロケ18丁を組みRは38丁

ノーマルエンジンではかなりロングですが710エンジンではこれでもショートで加速型になります

他のゼファークラッチのお客様に比べるとF1丁分程ショートです!

なのでR2.5丁分ほどショートになるのですが既製品のスプロケではこれでも限界までロングに振っています

R17インチだとちょっとショート過ぎだったので18インチのゼファーホイールで良かったです

ちなみにRが17インチだと3.5丁分ショートになっていました

今回のお客様はFXクラッチですがゼファークラッチの方が後輪出力が上がり消耗品がクラッチワイヤーのみでメンテナンスも簡単です!!

クラッチレリーズの調整も必要ありません

あとクラッチが軽く低コストで減速比のロング化が出来ます

ここも見た目の拘りを取るかパワーとメンテフリーを取るかですが個人的にはゼファークラッチ移植をお勧めします

FXのプッシュロッドの摩耗・レリーズの調整ミスでギア抜けしたFXを多く見てきたからです

ゼファークラッチだと地元のバイク屋さんでもすぐ見てくれますし経験が必要ないので失敗もありません!

最近の若いメカニックはレリーズ調整もできない人が居るみたいです

最近のバイクでレリーズ調整なんてありませんからね

今日は地元の知人のバイク屋さんから連絡が来ました

「ターカロイ鋳鉄って良いスリーブ?」

と言う電話でした

一般的に良く使われる素材で鋳造方法も色々ありますが普通の素材です

市販車も含め一番使われているスリーブの素材です!

雑誌ではあたかも「ターカロイ鋳鉄!!!」なんで大げさに書かれますが普通はターカロイ鋳鉄なんです

素人目線では「凄い物!!」かの様な感じはするかもしれませんがね。

当店のZやゼファー900もターカロイ鋳鉄を使いますが710エンジンは全然別の素材です!

素材は言えませんがとても高価でターカロイ鋳鉄の素材・加工費と比べても710エンジンのスリーブの素材の値段だけで高額なんです・・・

加工もターカロイ鋳鉄より手間時間がかかります

ホーニングでも固いので倍ほどの時間がかかります

空冷エンジンにとってスリーブの素材選びは生命線です!

ワイセコのLAスリーブは現在は中国産です

しかし鋳造技術は良いです

でも加工技術は悪い・・・・

LAスリーブは外径加工(勿論内径も)するなら使っても問題なしですが外径の精度の誤差が4/100程あるものもあるので加工用として使う方が良いです!

素材は安定しています

意外と問題なのが国内製造のスリーブ!

一流品と粗悪品のギャップが大きいです

ピストンは良いけどスリーブが粗悪品とかピストンキットもスリーブも粗悪品とか

ホーニングする時,短時間で仕上がってしまう物もあります。

1気筒30分~40分の物もあれば5分で仕上がる物も・・・・

脱線したので仕事に戻ります

シリンダーヘッドを掃除します

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シートリングのシートカットをします!!

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このヘッドのシートリングは少し狂っていたので45度・70度・30度の三面加工をしました

45度面がズレて加工されていると方当たりになりバルブの45度面が大きく凹んでしまいます

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3番の吸気・排気のバルブ以外は後期のバルブに変更されていました

左が前期で右が後期です

専用のコッターピンが必要になります

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下溝タイプで今は購入できませんがホンダのスティードが流用可能!

と、言ってもこんなの消耗品ではないので新品を組む必要なんでないですがね

恐らく海外ですがエンジンを分解した時バルブの45度面にダメージがあり新品に交換した痕跡があります!!

バルブを交換しすり合わせをして組んだみたいです!

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全てのシートカット完了です

ややシートリングがズレていましたがこれでもかなりの良品のヘッドです

悪い物は45度面の当たり面が倍ほど狂ってますからね

勿論純正工具のシートカッターでは修復不可能です!

とは言え自動補正する三面同時加工でも意外と精度良くない・・・・

自動補正するシートカッターって1000万以上するのですがあくまで量産が前提なんです!!

量産品を作る為に全自動で加工するので細かい精度が出せないのです!

なのでこのヘッドみたいにバルブにダメージを受ける物が出てきます!

しかし当店みたいな個人のお店では一つ一つ手作業で手間も時間もかかります。

経験も必要になります。

なので大量にヘッドを修正する事が出来ません

バルブの修正に取り掛かります!

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一度交換されているのでバルブの状態は良好

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サッと45度面を加工し面を出しました!!

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すり合わせをして圧力検査に合格したのでヘッドを組みました

こちらのお客様もポート径拡張です

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排気ポートも大きく広げました

となみにこのシリンダーヘッド!

製造時に、いつもと違う構造になっています!

国内仕様・輸出仕様数多く見てきましたがこのヘッドだけ異なる構造!!

私もこんなシリンダーヘッド初めて見ました

のちのち紹介します

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シリンダーヘッド完成です

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ダイヤルゲージを入れ!

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測定完了です

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ビッグブロックを組みます

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昨日更新したブログでスリーブのお話をしたのですが思った以上に反響があったみたいで色々と尋ねてくる知人のバイク屋さんが居ました!

ターカロイ鋳鉄の遠心鋳造って何?

が、多かったのですがスリーブを鋳造する時に高速回転させ不純物・気泡を外と内側に分離させる鋳造方法です!!

ウチのピストンの900エンジンやZ1230に使用しています

ウチのスリーブは例えば100本スリーブを鋳造します

そして外径を加工するのですがその時1本でも巣が出れば残りの99本は廃棄します

それぐらい徹底してスリーブを鋳造しないとスリーブの内径仕上がりと外径の仕上がりの間に気泡が居る場合があるからです

と言ってもスリーブの製造元も殆ど居なくなりました。。。

姫路にも一件あったのですが段階の世代で引退・・・・

息子はポンコツで閉店となりました

ターカロイ鋳鉄でも製造元により全然違いが出ます。

ウチの検品が厳しいので「夏には発注しないで下さい」

と言ってきた製造元もあります

夏に生産すると巣が出来やすいので当店の基準はクリアできないみたいです

シリンダーヘッドを組みます

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そしてカムを組みタペット調整します

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このシリンダーヘッドにあった独特の構造ですがここ!!

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ここのボルト穴は通常袋になっているのですが貫通になっています

4か所とも!!

この構造だと長いネジを押し込んで割れるとかゴミが詰まって割れる心配がありません

出荷時から貫通して加工してあります!!

ヘッドカバーを組んでエンジン完成です

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キャブを組みエンジンを始動させます

絶好調です

この車両のオーナー様のお父様が作った車両らしくエンジンマウントのネジもとても綺麗!!

地元のバイクショップにフレームの塗装を出したらバラバラにされて飛んだらしいです・・・・

なのでバラバラになって帰って来たので1から組みなおしたとの事です

でも今までのお客様にはもっとひどい目に遭ったお客様も居られます!

やはりエンジンのトラブルが多いです!

莫大な工賃を請求されまともに動かないってのが多いです!

50万~100万の被害が多い

地元でも去年で5件のバイク屋さんが消えました

一件は自己破産らしい・・・

ちゃんとした仕事をするってのが当たり前ですが一番はお金のトラブル。

自転車操業のお店も多く借金に借金を重ねるお店も多いです

工賃・部品代前払え払いってのは注意が必要と思いますが健全なお店でも前もって部品代だけ請求するお店もあります。

部品を発注して取りに来ない人が稀に居るからです。

難しいですが見極めも必要です。

なかには部品・車両が返ってこないって人も居ますからね

でもこのオーナー様みたいに息子の車両を作るってのは多くの単車乗りの夢です

ウチの娘は1歳なのであと17年で大型が乗れます

長女のゼファー900エンジンが出来ただけなのですが何故か地元の常連さんが見に来る・・・・・

まだ売る気は無いです。。。。多分・・・・

外装を組んで試乗です

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七曲りに来ました

赤の単色もカッコいいですね

テールカウルはロングテール

こちらのお客様も当店の集合管を入れました

E1E2E3用なのでE4には短いステーをかませば装着可能です

 

これがまたゼファースイングアームでロング化されているので良く似合います

キャブはFCRキャブを組んでいてウオタニも装着済みなのでエンジンのボアアップとキャブセッティングだけなので仕事がスピーディーに出来ました

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万葉岬へ来ました

とても良い天気で気持ちいいので!!

カレーうどんを食べにかな福へ

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FXヘッドにFCRキャブ

激っパヤでかな福到着です

710エンジン完成です

今月も色々と差し入れを頂きました!

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以前ボアアップした大阪府のゼファー900のお客様よりパンの差し入れです

有難う御座います

それと先月ボアアップした広島県のゼファーのお客様より!

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りくまるのオヤツとレモンケーキの差し入れです

有難う御座います!

それと!

今年エンジンOH予定のZⅡのお客様より!

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いかなごの佃煮の差し入れを頂きました

いかなごと言えば明石ですが姫路でも一部の海沿いでは名産品です!!

しかし当店は山側なので地元でいかなごの文化がありません

有難う御座います