埼玉県〇〇様Z1 1230ccボアアップ

大変長らくお待たせしました

本日は埼玉県よりZ1の入庫でこちらのお客様は3機目の受注となります

入庫したのがこのZ1です!

コスワースの71mmが入って補修用ピストンで組まれていますが今回はパワーアップの為の改造です

早速ヘッドカバーを外し腰上の分解の取り掛かるのですが!

カムホルダーのボルトが何故か4mmのキャップボルト

何を考えてこんな組み方したのか・・・・

5mmなら安全に緩みますが4mmだと組んで暫くするナメって緩みません・・・・

案の定レンチで緩んだのは1本だけ。。。

後は全て頭を潰して緩めました

シリンダーヘッドにたどり着きました

以前見てもらったショップでは「オイル上がりしている」

との事でしたがオイル上がりの痕跡はなくピストンのカーボンも全てドライでした!

入庫時エンジンを始動させましたがオイル上がりはしていなく黒煙を吐いていたので少々濃いめだったと思われます!

オイル上がりの症状ですが意外とバイク屋さんでもエンジンに詳しいショップでないと水蒸気なのかオイル上がりなのか判断できないです

水蒸気を「オイル上がりして白煙を出している」と騒ぐ自称バイクに詳しい素人か似非バイク屋が多く本当にプロなのか?

これからは見極める力もお客様には必要です!

ひと昔前は地元に一店舗は旧車に詳しいショップがあり見てくれるお店があったのですが団塊の世代と言いますか引退していく凄腕のベテランが多いのが現状です!

点検棒を入れて点検します!

Z1000のヘビークランクが入っていてセンター出しした痕跡があります!

腰下を降ろしました

元々クラッチが錆びていたらしくクラッチハウジングをJの物に交換したとの事です

クラッチ板が全部裏表逆に組んでありました

ハウジングの回転方向を分かっていないみたいですね

この神奈川県のお店からのやり直しは今回で二機目ですが以前は酷過ぎてお客様と相談し公開をしない事にしました

相変わらず液体ボンドマニアみたいです

液体ボンドをコテコテに塗りたくりカスだらけです

ボルトにもギトギトに塗ってあります

以前のエンジンはピストン割れていたのでそのエンジンに比べればかなりましです

メネジにもボンドがギトギトなので掃除が大変です

シリンダーのライナーを抜き取りました

珍しくライナーは緩んでいませんでしたが!

ピストンスカートの当たりがキツイ・・・・

コスワースあるあるのトラブルです

スカート短いですからね!

ピストンスカートはコンプレッションハイトや形状により長さの限界値が変わります!

Zのボアアップキットはその辺無視して作られている物が多々あります!

軽量化と言えば素人ウケするうたい文句になりますからね!

エンジンをサンドブラストしました

元々の塗装はガンコートの半艶黒でした!!

しかし下処理のブラストが悪いのとオーナー様は黒の色が気に食わないとの事で当店で塗装する事にしました

ガンコートなので剥がれるかな?と

心配でしたがゼファーの純正色より弱い塗装で簡単に剥がれました!

ガンコートやパウダーコートは半艶の黒でもエンジンの色っぽくない不自然な色になりがちです

質感も鋳造肌でなくなりプラスチックにたいな質感になるので嫌がる人もいます

私も昔パウダーでエンジン色を再現してもらったのですが色が変で失敗された過去があります

なので兵庫県民の特権のカワサキワールドに行き当時の純正色を見て最も綺麗な半艶の黒を調色し再現しました!

ここで困ったのがメーカーはブラストせずペイントしますが当店はブラスト後の塗装なので質感が変わるのでツヤと塗膜で調整しブラスト後の下地でもっとも綺麗な黒で剥がれにくい塗装で純正の黒に近づけてペイントします

ペイント完了です!

ダミーシリンダーを使いクランクケースのボーリングをしました

次はZ1000のヘビークランクを点検します!!

心出しをした痕跡がありますが振れ幅は5/100mm!

1/100mmにもう一度出し直してもしばらくするとまた戻るのでこれ以上の精度は必要ありません

クランクとミッションを仮組します!

ミッションは元々手が加えられていてテーパー加工されていました!

一番最初にだしたショップが加工したらしいです

そのお店で組まれたハウジングがサビていたので神奈川のお店でJクラッチに交換したとの事です

このオーナー様になってエンジンを開けるのは3回目です

ロアケースを組みます

そしてオイルポンプを組みます

このZはGP系のオイルポンプが装着されていまいた!

昔はZのエンジンを開けるとオイルポンプの交換は当たりまえと言う風潮がありました・・・

「古いオイルポンプは交換した方が良い」

「後期のエンジンはリリーフバルブが装着され油圧コントロールしてくれる」

なんて内容がカスタムZ雑誌に踊ってましたが当時から私はオイルポンプ交換は消極的で不調があれば交換する位の物でした!

このオイルポンプは一部油圧低下するので走行中オイルランプが点灯する時があります!

一つのエンジンにリリーフバルブは一つで十分ですからね

わざわざ良品の純正オイルポンプを外しお金をかけて純正の不良品の後期オイルポンプを組むなんて言う変は風潮も最近は収まったかなと思います

このオイルポンプは油圧低下しなかったみたいなので良品です!

エンジンをひっくり返し!

クラッチを組みます!!

クラッチ板は全て新品に交換し強化クラッチスプリングにし正しい正規の組み方にしました

ゼファー同様クラッチハウジングの反対方向に組むバイクショップって稀にあります。

このクラッチを組んだのはバイク屋でなく部品屋なので多分知らなかったのでしょう

シリンダーヘッドに取り掛かります!

バルブのカーボンを落とします!

そして45度面を研磨機で修正しました!

シートカットをします!

45度と60度の二面加工ですが殆ど傷んでいなかったのでサッと仕上げただけです

バルブガイドは交換されています

全箇所のシートカット完了です

擦り合わせをして圧量検査に合格したのでシリンダーヘッドを組み立てます

シリンダーヘッド完成です

ボーリングしたシリンダーとピストンのクリアランスを測定します!

5/100mmです

シムはインナーシム化してあったのでヘッド単品で大まかなシムの位置を調べます!

そしてピストンとシリンダーを組み込みます

そしてシリンダーヘッドを組みます

カムシャフトを組みます!!

今回のカムシャフトはヨシムラST1のBカムシャフトと言うカムで

リフトはST1と同等ですがオーバーラップが広く基本円も小さなカムになります!

なのでシムはかなり厚めの3.00当たりが入っています

2・3番を上死点にしてもう一度調整し狭い方に合わせます

ヘッドカバーを組みエンジン完成です

試乗をしに安富ダムへ行きました!!

怪力エンジンの完成です!!

1230ccあれば登りでもがっつり走ります!!