大変長らくお待たせしました!
本日は東京よりゼファー750の入庫です
ノーマル風のゼファーですがマニアパーツがあちこちに組まれているゼファーです!!
オイルクーラーは教習車でノーマルマフラーですがエキパイはヨーロッパのメーカーが制作している社外品で逆車のサイレンサー装着!!
見た目は重そうですが実は驚くほど軽い
フレームからリペイントされています
エンジンを降ろします
腰上分解歴ありですがヘッドからの異音がとても大きいです
カバーを外すとヨシムラのST1カムが入っていました!
クリアランスを大きくとってある為バタバタとヘッドから音が出ていたみたい!
ヨシムラ指定のクリアランスで組むと異音がするので説明書の指示に従う人は稀です・・・・
ヘッドを外します!
ピストンは良好ですがスリーブとのクリアランスは規定値ギリギリなのでボーリングします!
シリンダーベースパッキンは上下逆さまでした
UPの文字が読める様に組むのが正解です
クラッチはFCCのタイプGが組まれていました
ノーマルエンジンには過剰設計な程良い物です
これはこのまま組み戻しします
下を分解すると強化タイプのワンウェイクラッチが入っていましたが裏のダンパーゴムを入れ最後にクリップで固定するのですがクリップが外れていました!
ダンパーゴムを交換する作業は意外と難しいんです
マニュアルには書いてありませんがゆっくり入れゴムを落ち着かせないとこの様に外れてしまいます!!
エンジンを全分解しサンドブラスト加工をします
純正の塗装を剥がし下地が出来ました
そして半艶の黒にペイント完了です
クランクメタルを交換しクリアランス測定をします!
そしてコンロッドメタルを交換しクリアランス測定をしてクランクケースに収めます
ミッションを洗浄点検し組み込みます
そして!
チェーン・オイルシールも新品に交換しクランクケースのロアケースをかぶせます
ノーマルエンジンの締め付けトルクも守らなくてはいけません
ボアアップエンジンの場合コンロッドメタルのトルクから変わるのですが久しぶりのオーバーホールなので忘れてしまう。。。。
元々組まれていたスタータークラッチは組み間違いなく組まれていました
裏のダンパーを交換し組み込みます
オイルパンを組んでひっくり返します
元々組まれていたタイプGを組み込みます
シリンダーヘッドを掃除しシートカットに取り掛かります
シートカットの痕跡はなく程度良好です!!
今月はZのシリンダーヘッド単品のオーバーホールも入っていたので同時に修正しているのですが状態は天と地の差があります
ゼファーのヘッドの修正と比べる為に紹介します
シートカット歴が無いのでバルブガイドを基準にパイロットステムを装着し
1/100ミリ単位で調整し垂直に加工します
このヘッドも45度面のズレは無い為45度と60度で最小限のシートカットです
全箇所完了!
後はバルブを研磨します!
45度面の段付きを研磨機で修正します
研磨完了です
後はバルブの擦り合わせをして圧力検査に合格すれば組み上げて完了です
しかしZの場合は!
これが単品のオーバーホールオーダーのシリンダーヘッドです
まずはバルブガイドの測定・・・・
測定するまでもなく目で見てアウトと判断・・・・
シリンダーヘッド全体を2時間かけ加熱し抜くガイドを重点的に10分加熱します!
この状態で10分です
そして「コツン」と叩いて抜き取ります
しっかり加熱しないとヘッドの内径を痛めてしまうので簡単ですがとても手間と時間と経験の必要な作業
吸気は規定値ギリギリでしたが8本交換します!
ノギスで測っても分かるほどの摩耗です!
15年前はこの様なZって珍しかったのですが最近は結構この様なZが来ます
アメリカでも程度の良い車両順に買い付けられ最近輸入されるのはボロがとても多いからだと思います
そして新しいバルブガイドを瞬間冷却します!
私が好んで入れるバルブガイドはリン青銅か焼結合金のガイドです
ブロンズの合金は熱伝導率が良いのですが消耗が激しいので使いません
Z400FXにZ1同様のバルブガイドが使われている場合が超レアケースでありますが同様摩耗が激しいです
Z400FXの純正バルブガイドは焼結金属なのでとても剛性があり国内物で摩耗して交換が必要な物は殆どありません!
ゼファー750のヘッドも同じくガイドの摩耗で交換なんてした事もありません!
シリンダーヘッドを加熱しガイドを圧入します
こんな感じです
全箇所交換完了です!
そしてガイドを交換すると45度面が少々ズレるのでリーマー加工しパイロットステムを入れシートカットをします!
ガイド圧入時にヘッドの加熱不足やガイドの冷却不足があるとシートカット時に45度面がとんでもなくズレます
シートカットをしてバルブの45度面を研磨機で修正し擦り合わせをします
ガイドの内径精度が悪いとバルブが閉じた時の密閉率を確保できません
それでも動いてしまうのですが圧縮が低くなりますので快調には走りません
カムを仮組みしシムの調整をします!
ヘッド単品の調整なのでアバウトですが一番薄いシムで2.45なのでまずまずかと思います
バルブステム長の調整なくこのシムなら最低でもあと1回はオーバーホール可能です
適切な修正が出来るお店ならあと2回はオーバーホール可能です
ここでシム調整出来なくなる場合はシートリングの交換が必要となり大がかりな作業となります!
バルブのシートリングでもっとも一般的なのがシート材となります!!
マニアックな素材だとベリリウムカッパー合金を使う場合もあります
シート材は素材が低コスト(最近は素材が高騰してますが)で安定した品質です
私が好んで使うのはシート材です!
ベリリウムカッパー合金はもっと高額ですがレーサーエンジンなどに組まれる素材です!
熱伝導率がとても良く適度な柔軟性があるためバルブと馴染み密閉率を確保する性能があり45度面の当たり面を細くする事が可能です
シート材と比べると柔らかい素材となりますが寿命の長さで言えば私の経験上はシート材です!
1980年代のレーサーエンジンのオーバーホールをするとシート材を使ったエンジンの方がシートリングのダメージが少ないと判断しました
どんなベリリウム合金かによっても変わるのかもしれませんが結果が出るのは何年も先の話しです
そして何よりもベリリウムにした事による費用相対効果のなさも大きな理由です
シリンダーヘッド完成となります!!
ゼファーのシリンダーヘッドもすり合わせをして圧力検査に合格したので完成です
そして0.5mmのOSピストンを段取りしました!
スリーブの状態により0.5では追いつかない物も極稀にあります!
あとは0.5ミリでボーリングすると巣が出てきてしまう場合もあります!
ゼファー750の場合10機に1機程出ます
Z400FXの時代は殆ど巣穴などで無いのですがゼファー750は高確率です!
その場合は1mmOSに変更し巣穴を完全に切り取りホーニングします
当店の場合0.5を入れダメな場合に備えて1mmも用意しています
スリーブのボーリング・ホーニングが完了したのでクリアランスの測定をします
STDピストンなので4/100mmのクリアランス設定です
ピストンとシリンダーを組み込みます
そしてシリンダーヘッドを組み込みます
元々組まれていたヨシムラカムを組みます
シム調整は当店の基準で組みます
ハイリフトカムを組むと最高出力を上げる事が可能ですが
「パワーが上がる」
と言うと確かにそのとーりなのですがもっと噛み砕いて言うと
パワーの特性が変わると言う方が正しいです!
シャーシダイナモではパワーが上がった事を目で見て体感出来ますが犠牲になるのが低回転!
STDエンジンの場合4000以下が細くなりトルクが無くなります!
慣れない峠だと急激な減速も多々あるので4000RPM以上で走り続けるのは不可能なのでノーマルカムの方が有利ですが条件が整えばハイカムの方が最高出力を上げれるので有利になります
なのでハイカム=速くなるではなくエンジンの特性を高回転に偏らせる!
この表現が正しいです
ヘッドカバーを組んでエンジン完成です
エンジンをフレームに搭載し始動させます!
とても静かなエンジンとなりました
ヘッドからの音も消えとても静かなエンジンです!
それより久しぶりにメインスタンド装着の車両!!!
何年ぶりだろう!!
ゼファーが垂直に立つのがなんだか不思議な感覚です
重たい・マフラー変更により装着出来なくなる、と言う理由で外すのが殆どですがチェーン清掃などではとても便利なアイテムです
しかし使い過ぎるとフレームが割れると言うマイナートラブルも稀にあるので使うのは時々が良いと思います
エンジンに火を入れ試乗です!
エンジン快調
キャブレターも最高です
マフラーは無音!!
だけど普通のノーマルマフラーより良く抜けとても軽い!!
同時期に制作した岡山のお客様もご来店したとき「おおっ!!」
と言う程細かく作り込まれたゼファーです
地元の常連様もご来店されて「このゼファー凄い」と興味深々!!
普通のバイク乗りはから見ると「ゼファー」なのですがゼファー乗りが見ると
カスタムの凄さが分かると言う渋さ追求のゼファーの入庫でした
ゼファー750完成です
このゼファーのオーナー様よりお菓子の差し入れを頂きました!
有難う御座います