大変長らくお待たせしました
今月もまたまた愛知県のお客様で今年二人目の愛知県のお客様です
入庫したのがこのFXです
ド初期のE1でE4カラー(オリジナル)です
550?にボアアップされているとの事ですがオイル上がりしています
地元のバイク屋さんで作ってもらったらしく当時に制作したのでベース車が安かったのでしょう!
今では考えられない値段でE1をご購入されたらしいです
でもその前はZ400FXのE4!グランプリスペシャルを乗っていたらしいですが貰い事故にて1か月で廃車になったらしいです・・・・
当時なので今ほどグランプリスペシャルにプレミアはなかったのですが今思うと悔やまれます
シリンダー・ホイール・アウターチューブが赤色なのが特徴ですが人気が無く黒に塗りつぶされた車両が多く今あるグランプリは殆どがリペイントです
グランプリスペシャルのアウターチューブのコーションラベルは透明のシールに白文字なので塗り替えるとすぐに分かるんです
エンジンのシリンダーはカムチェーントンネルの内側まで赤色です!
今回入庫したFXですが圧縮が低くエンジンにパンチ力がありません
今回はフレームからやりかえます
クラッチをゼファーに移植されるのでゼファーのエンジンも入庫です
クラッチカバーはご自身でバフがけをして下さったので外れていますが持ち込んで下さいました
うなぎパイの差し入れを頂きました
有難う御座います
早速エンジンを降ろします
エンジン内部はどうなっているのでしょうか
エンジンを分解する前に車体を全バラしフレームにします
Rショックはカヤバの太巻きが装着されていました
しかし抜けなかったのでダンパーゴムはフレームに残し抜きとりました
カヤバの太巻きは上の穴がぴったり過ぎて一度入れると抜けません
あとZ400FX全年式対応と販売されてますが嘘です
Z400FXのE1はトルクロッドが短いのでRのキャリパーに干渉するので装着出来ません
E1にカヤバの太巻きを付ける場合はブレーキホースとトルクロッドの変更が必要です
そして上の様にダンパーゴムが抜けなくなるのでそんな時は裏技があります
ゼファーχのRショックのダンパーゴムがポン付けで入ります
勿論上の写真みたいにフレームから抜けなくなる事もありませんので簡単に脱着できます
カヤバの太巻きを入れる場合は装着前にダンパーゴムの交換をお勧めします
フレームにしてネックを下向けると!・・・・・
水が・・・・・
なんでここから水が出るねん・・・・・
と思い良く見てみると!
小さな穴が・・・
よく見ると反対側も!
よくよく見てみると!
ここも。ここも。
ここも。
合計14か所謎の穴がありました
シートレール回りはシングルシートを無理やり付けたのでしょうか?
多分オーナー様も気づいてなかったと思う!
でも水が出てきたエンジンマウント前の穴は謎です・・・・
ひっくり返してみると!
まだ出てきます
幸い出てきた水は汚いですが赤さびで腐っている訳でもなさそうです
フレームの肉厚を点検する為にテストハンマーでたたいても大丈夫そう
アンダーパイプの一番下に穴を空け肉厚の点検です
中が腐っている訳でもなさそうなので一安心
ここに穴を空けた理由は肉厚の点検だけではありません
ひっくり返すとココが一番上の位置に来ます
加熱機でガンガンフレームを焼き中の水分を蒸発させカラカラにさせます
こんな感じで全体を焼きます
すると!
肉厚点検の為に開けた穴から!
水蒸気にして水分を全て飛ばします
写真ではなかなか水蒸気が写らないのですがまるで機関車トーマスです
念のため溶接で穴を塞ぐ前にこの穴から防腐剤をしこたま流し込み乾燥させます
カヤバのダンパーゴムは抜けないので削ってタガネで抜き取ります
そして謎の穴を溶接で全て塞ぎます
溶接で埋めて溶接跡がなくなる様に研磨していきます
反対側も整形します
元々穴があったかはもう分かりません
昔フレームの中に発泡ウレタンを流し込んで補強なんて物がありましたがあれは意味ありません
フレームの中でいつかは腐りますし振動で発泡ウレタンとパイプが縁切れてなかで遊んでしまします
また発砲ウレタンを流し込む為にバカでかい穴を空けるのでその部分の強度が低下します
それだけではなく転倒してフレーム修正をしたい時・補強を入れたい時、加熱すると毒ガスが発生するのでフレーム修正屋が嫌がるんです
フレーム補強を入れてサンドブラスト加工をします
このFXのオーナー様は本当は来月(4月)の着工予定だったのですが急遽スケジュール変更で今月の着工となりました!
本当は今月新潟県よりFXが入庫する予定だったのですが
「大雪でガレージからFXが出せません」
と、なり4月のお客様に急遽連絡をして今月ご来店して頂きました
今年の寒波は凄いですね
冬の豪雪地帯のお客様はスケジュールを気を付けないと・・・・
兵庫県民の私は今まで何も考えず順番通りに予約を入れていました
せかして愛知県からご来店頂いたのでフレームの防腐処理や溶接修正はサービスで仕事させて頂きます
フレームはパウダーコートに出します
エンジンを分解します
ヘッドを空けると550ピストンと550クランクでした
ピストンは550の1㎜OSピストン
しかしスリーブの内径はギザギザの荒れ削りが残っています
写真だととても綺麗に見えますがさわると粗削りの断面が残ってます
ボーリング屋が加工し粗削りで加工し過ぎた為ホーニングしてるとクリアランス過大になる為途中で止めこのまま出荷した物と思われます
オイル上がりの原因はこいつです
ピストンリングもこの粗削りを通過すると一気に摩耗する為圧縮がクランクケースに吹き込んでいたものと思われます
車体はフレームから制作してもらったらしく部品の組み方からハーネスの通し方まで丁寧に組まれていますがやはりエンジンは別です
エンジンは設備・経験です!
とくにボーリングはとても難しい箇所です
しかしバイク屋さんが良いボーリングと悪いボーリングの判断すら出来ない店が圧倒的に多いと思います。
またボーリング屋はバイク屋の腕と比例します。
比例しないと内燃機加工の指示が出来ないからです。
内燃機屋から技術を教わっているバイク屋は基本ゴミ
バイク屋は内燃機屋を指示するのが普通なんです
しかし今の時代ボーリングを出来るお店は圧倒的に少なく内燃機屋は絶滅寸前です
兵庫県で腕の良い内燃機屋は1件・・・・
岡山は1件・・・・
広島から南は0になりました
岡山の内燃機屋は一般のショップの受け入れはしていないので関西では大阪含め2件となりました
兵庫県のボーリングのシェアの70%がウチ一件です
若手育成からのスタートだったので大変でした
昔はボーリングだけで内燃機屋は仕事出来た時代がありました
二輪・四輪は当たりまえで重機やボートのシリンダーもボーリングします!
その中でも最も難しいのが二輪です
腰下はとても良好
と、言うか良品か不良品か分からない部品は徹底的に新品に交換してあります
トルクもマニュアルを守り丁寧に組んであります。
550エンジンなのでマニュアルを守るのは基本
一部部品の組み間違えはありましたが機能上の問題なし
ボーリング以外はほぼ完ぺきに組んでありました
今回のエンジンは安心して組めそうです
サンドブラスト加工をします
ちなみにこちらのオーナー様はGPヘッドに変更です
エンジンの塗装が完了しました
フレームのパウダーコートも仕上がりました
エンジンの前に車体を組みます
足回りを組みました
アウターチューブ・ステム・トップブリッジは艶消しの黒にペイントし前後タイヤ
はTT100GPのチューブレスを入れました
持ち込まれたFブレーキはロッキード!
予定通りこれを組む予定だったのですが
肉が薄い
3山ほどしかネジ山がありません
ここのトルクは30N~35Nですが35Nだと絶対バカになる・・・
なので30Nでネジロックを塗り組んだのですがトルクレンチをかけると・・・
ニュル・・・・・
30Nでも一本バカになりました
まずネジ山の肉が浅いのとアルミの素材が柔らかいみたいなのでこのキャリパーサポートは危険
ブレーキは見た目より安全性が絶対優先
元々のブレーキに戻しました
地元のバイク屋さんで組んでもらったFブレーキは左用をひっくり返し右に装着されています
これはかなりマニアックな仕様で今は550を組むのが支流ですが当時はネットオークションも無かったので昔の走り屋はこうしてダブルディスク化してました
エア抜きがめんどくさいのですがね
ロッキードキャリパーのサポートより遥かに安全です
そーそー!
広島県のスペックエンジニアリングから新しいキャリパーサポートが出来たらしい!
FXユーザーには関係ないですがゼファーχの最終型のキャリパーサポート
最終型のゼファーχは今までなかったのでファイナルの人もこれでブレンボキャリパーが組めます
クランクメタル・コンロッドメタルを交換し550クランク・コンロッドを組みます
ミッションを組みます
消耗品のチェーン・オイルシール類を交換しロアケースを組みます
勿論ネジもステンに交換です
オイルポンプとワンウェイクラッチを組み込みました
部品取りのゼファーエンジンからクラッチを抜き取ります
強化クラッチを組みました
そしてお客様が磨いて下さったクラッチカバーを組みます
部品取りゼファーエンジンよりミッションカバーを抜き取りエンジン腰下完成です
シリンダーヘッドの修正をします
燃焼室・ポートを掃除しました
45度面をシートカットし70度でシートリング内径を拡張します
全てのシートリングの修正が完了しました
バルブを修正します
カーボンを落としました
45度面は凹んでいます
これはまだ全然軽症です
シートリングの加工が悪い物はもっと凹んでいます
45度面の修正完了しました
これでバルブの密閉率を上げないとせっかくのエンジンが台無しです
シートリングの加工も完璧にしバルブの45度面の修正を完璧にしないと圧縮漏れします
すり合わせをして圧力検査をしてバルブを組み込みます
吸気ポートを拡張し!
排気ポートも拡張しました
メーターギアも取り付ける穴を空け機械式メーターを動かせる様にしました
シリンダーヘッド完成です
フィンの研磨のオーダーです
GPZ400Fのフルパワーヘッドです
シリンダーのクリアランス測定をします!
ダイヤルゲージを入れ!
測定完了です
ピストンとビッグブロックシリンダーを組みます!
そしてフルパワーのGPZシリンダーヘッドを組みます
こちらのお客様もギリギリまでFXヘッドかGPヘッドで悩まれたのですがGPヘッドとなりました
入庫した時に「FXヘッドも捨てがたい」と言いだされたのですが既に大口径CRキャブレター発注済みでした
カムを組みタペット調整します
ヘッドカバーを組んでエンジン完成です
フレームにエンジンを搭載しエンジンを始動させます
エンジン快調
CRキャブのブラックボディーでウオタニも搭載
これから試乗です
試乗で万葉岬に来ました
ブラックのCRキャブにビトーのネット付ファンネル
激シブですね
以前ボアアップしたオーストラリアのお客様の車両のイメージが良かったみたいです
そのまま七曲りに行きました
絶好調!!
新品のキャブにウオタニの組み合わせは絶対に必要です
オイルクーラーはゼファーの流用です
マフラーはウチの集合管です
とにかく愛知県からのお客様はとても多い
Z710FX完成です