愛知県○○様 Z400FX 710ボアアップ

大変長らくお待たせしました

今月もまたまた愛知県のお客様で今年二人目の愛知県のお客様です

cimg3797_s

入庫したのがこのFXです

ド初期のE1でE4カラー(オリジナル)です

550?にボアアップされているとの事ですがオイル上がりしています

地元のバイク屋さんで作ってもらったらしく当時に制作したのでベース車が安かったのでしょう!

今では考えられない値段でE1をご購入されたらしいです

でもその前はZ400FXのE4!グランプリスペシャルを乗っていたらしいですが貰い事故にて1か月で廃車になったらしいです・・・・

当時なので今ほどグランプリスペシャルにプレミアはなかったのですが今思うと悔やまれます

シリンダー・ホイール・アウターチューブが赤色なのが特徴ですが人気が無く黒に塗りつぶされた車両が多く今あるグランプリは殆どがリペイントです

グランプリスペシャルのアウターチューブのコーションラベルは透明のシールに白文字なので塗り替えるとすぐに分かるんです

エンジンのシリンダーはカムチェーントンネルの内側まで赤色です!

今回入庫したFXですが圧縮が低くエンジンにパンチ力がありません

今回はフレームからやりかえます

cimg3798_s

クラッチをゼファーに移植されるのでゼファーのエンジンも入庫です

クラッチカバーはご自身でバフがけをして下さったので外れていますが持ち込んで下さいました

cimg3799_s

うなぎパイの差し入れを頂きました

有難う御座います

早速エンジンを降ろします

cimg3800_s

エンジン内部はどうなっているのでしょうか

エンジンを分解する前に車体を全バラしフレームにします

cimg3803_s

Rショックはカヤバの太巻きが装着されていました

しかし抜けなかったのでダンパーゴムはフレームに残し抜きとりました

cimg3802_s

カヤバの太巻きは上の穴がぴったり過ぎて一度入れると抜けません

あとZ400FX全年式対応と販売されてますが嘘です

Z400FXのE1はトルクロッドが短いのでRのキャリパーに干渉するので装着出来ません

E1にカヤバの太巻きを付ける場合はブレーキホースとトルクロッドの変更が必要です

そして上の様にダンパーゴムが抜けなくなるのでそんな時は裏技があります

cimg3804_s

ゼファーχのRショックのダンパーゴムがポン付けで入ります

勿論上の写真みたいにフレームから抜けなくなる事もありませんので簡単に脱着できます

カヤバの太巻きを入れる場合は装着前にダンパーゴムの交換をお勧めします

フレームにしてネックを下向けると!・・・・・

cimg3805_s

水が・・・・・

なんでここから水が出るねん・・・・・

と思い良く見てみると!

cimg3806_s

小さな穴が・・・

よく見ると反対側も!

cimg3807_s

よくよく見てみると!

cimg3808_s

ここも。ここも。

cimg3809_s

ここも。

合計14か所謎の穴がありました

シートレール回りはシングルシートを無理やり付けたのでしょうか?

多分オーナー様も気づいてなかったと思う!

でも水が出てきたエンジンマウント前の穴は謎です・・・・

ひっくり返してみると!

cimg3812_s

まだ出てきます

幸い出てきた水は汚いですが赤さびで腐っている訳でもなさそうです

フレームの肉厚を点検する為にテストハンマーでたたいても大丈夫そう

cimg3813_s

アンダーパイプの一番下に穴を空け肉厚の点検です

中が腐っている訳でもなさそうなので一安心

ここに穴を空けた理由は肉厚の点検だけではありません

ひっくり返すとココが一番上の位置に来ます

cimg3814_s

加熱機でガンガンフレームを焼き中の水分を蒸発させカラカラにさせます

cimg3820_s

こんな感じで全体を焼きます

すると!

肉厚点検の為に開けた穴から!

cimg3821_s

水蒸気にして水分を全て飛ばします

写真ではなかなか水蒸気が写らないのですがまるで機関車トーマスです

念のため溶接で穴を塞ぐ前にこの穴から防腐剤をしこたま流し込み乾燥させます

cimg3811_s

カヤバのダンパーゴムは抜けないので削ってタガネで抜き取ります

そして謎の穴を溶接で全て塞ぎます

cimg3823_s

溶接で埋めて溶接跡がなくなる様に研磨していきます

cimg3824_s

反対側も整形します

元々穴があったかはもう分かりません

昔フレームの中に発泡ウレタンを流し込んで補強なんて物がありましたがあれは意味ありません

フレームの中でいつかは腐りますし振動で発泡ウレタンとパイプが縁切れてなかで遊んでしまします

また発砲ウレタンを流し込む為にバカでかい穴を空けるのでその部分の強度が低下します

それだけではなく転倒してフレーム修正をしたい時・補強を入れたい時、加熱すると毒ガスが発生するのでフレーム修正屋が嫌がるんです

フレーム補強を入れてサンドブラスト加工をします

cimg3826_s

このFXのオーナー様は本当は来月(4月)の着工予定だったのですが急遽スケジュール変更で今月の着工となりました!

本当は今月新潟県よりFXが入庫する予定だったのですが

「大雪でガレージからFXが出せません」

と、なり4月のお客様に急遽連絡をして今月ご来店して頂きました

今年の寒波は凄いですね

冬の豪雪地帯のお客様はスケジュールを気を付けないと・・・・

兵庫県民の私は今まで何も考えず順番通りに予約を入れていました

せかして愛知県からご来店頂いたのでフレームの防腐処理や溶接修正はサービスで仕事させて頂きます

フレームはパウダーコートに出します

エンジンを分解します

cimg3829_s

ヘッドを空けると550ピストンと550クランクでした

ピストンは550の1㎜OSピストン

cimg3830_s

しかしスリーブの内径はギザギザの荒れ削りが残っています

cimg3832_s

写真だととても綺麗に見えますがさわると粗削りの断面が残ってます

ボーリング屋が加工し粗削りで加工し過ぎた為ホーニングしてるとクリアランス過大になる為途中で止めこのまま出荷した物と思われます

オイル上がりの原因はこいつです

ピストンリングもこの粗削りを通過すると一気に摩耗する為圧縮がクランクケースに吹き込んでいたものと思われます

車体はフレームから制作してもらったらしく部品の組み方からハーネスの通し方まで丁寧に組まれていますがやはりエンジンは別です

エンジンは設備・経験です!

とくにボーリングはとても難しい箇所です

しかしバイク屋さんが良いボーリングと悪いボーリングの判断すら出来ない店が圧倒的に多いと思います。

またボーリング屋はバイク屋の腕と比例します。

比例しないと内燃機加工の指示が出来ないからです。

内燃機屋から技術を教わっているバイク屋は基本ゴミ

バイク屋は内燃機屋を指示するのが普通なんです

しかし今の時代ボーリングを出来るお店は圧倒的に少なく内燃機屋は絶滅寸前です

兵庫県で腕の良い内燃機屋は1件・・・・

岡山は1件・・・・

広島から南は0になりました

岡山の内燃機屋は一般のショップの受け入れはしていないので関西では大阪含め2件となりました

兵庫県のボーリングのシェアの70%がウチ一件です

若手育成からのスタートだったので大変でした

昔はボーリングだけで内燃機屋は仕事出来た時代がありました

二輪・四輪は当たりまえで重機やボートのシリンダーもボーリングします!

その中でも最も難しいのが二輪です

cimg3833_s

腰下はとても良好

と、言うか良品か不良品か分からない部品は徹底的に新品に交換してあります

トルクもマニュアルを守り丁寧に組んであります。

550エンジンなのでマニュアルを守るのは基本

一部部品の組み間違えはありましたが機能上の問題なし

ボーリング以外はほぼ完ぺきに組んでありました

今回のエンジンは安心して組めそうです

cimg3841_s

サンドブラスト加工をします

ちなみにこちらのオーナー様はGPヘッドに変更です

cimg3844_s

エンジンの塗装が完了しました

cimg3843_s

フレームのパウダーコートも仕上がりました

エンジンの前に車体を組みます

cimg3910_s

足回りを組みました

アウターチューブ・ステム・トップブリッジは艶消しの黒にペイントし前後タイヤ

はTT100GPのチューブレスを入れました

持ち込まれたFブレーキはロッキード!

cimg3912_s

予定通りこれを組む予定だったのですが

cimg3913_s

肉が薄い

3山ほどしかネジ山がありません

ここのトルクは30N~35Nですが35Nだと絶対バカになる・・・

なので30Nでネジロックを塗り組んだのですがトルクレンチをかけると・・・

ニュル・・・・・

30Nでも一本バカになりました

まずネジ山の肉が浅いのとアルミの素材が柔らかいみたいなのでこのキャリパーサポートは危険

ブレーキは見た目より安全性が絶対優先

cimg3911_s

元々のブレーキに戻しました

地元のバイク屋さんで組んでもらったFブレーキは左用をひっくり返し右に装着されています

これはかなりマニアックな仕様で今は550を組むのが支流ですが当時はネットオークションも無かったので昔の走り屋はこうしてダブルディスク化してました

エア抜きがめんどくさいのですがね

ロッキードキャリパーのサポートより遥かに安全です

そーそー!

広島県のスペックエンジニアリングから新しいキャリパーサポートが出来たらしい!

cimg3921_s

cimg3922_s

FXユーザーには関係ないですがゼファーχの最終型のキャリパーサポート

最終型のゼファーχは今までなかったのでファイナルの人もこれでブレンボキャリパーが組めます

cimg3846_s

クランクメタル・コンロッドメタルを交換し550クランク・コンロッドを組みます

cimg3848_s

ミッションを組みます

cimg3852_s

消耗品のチェーン・オイルシール類を交換しロアケースを組みます

cimg3853_s

勿論ネジもステンに交換です

cimg3856_s

オイルポンプとワンウェイクラッチを組み込みました

cimg3859_s

部品取りのゼファーエンジンからクラッチを抜き取ります

cimg3860_s

強化クラッチを組みました

そしてお客様が磨いて下さったクラッチカバーを組みます

cimg3862_s

部品取りゼファーエンジンよりミッションカバーを抜き取りエンジン腰下完成です

cimg3863_s

シリンダーヘッドの修正をします

cimg3866_s

燃焼室・ポートを掃除しました

cimg3867_s

45度面をシートカットし70度でシートリング内径を拡張します

cimg3868_s

全てのシートリングの修正が完了しました

バルブを修正します

cimg3873_s

カーボンを落としました

cimg3874_s

45度面は凹んでいます

これはまだ全然軽症です

シートリングの加工が悪い物はもっと凹んでいます

cimg3875_s

45度面の修正完了しました

これでバルブの密閉率を上げないとせっかくのエンジンが台無しです

シートリングの加工も完璧にしバルブの45度面の修正を完璧にしないと圧縮漏れします

cimg3880_s

すり合わせをして圧力検査をしてバルブを組み込みます

吸気ポートを拡張し!

cimg3882_s

排気ポートも拡張しました

メーターギアも取り付ける穴を空け機械式メーターを動かせる様にしました

cimg3883_s

シリンダーヘッド完成です

cimg3885_s

フィンの研磨のオーダーです

GPZ400Fのフルパワーヘッドです

cimg3892_s

シリンダーのクリアランス測定をします!

ダイヤルゲージを入れ!

cimg3893_s

測定完了です

ピストンとビッグブロックシリンダーを組みます!

cimg3896_s

そしてフルパワーのGPZシリンダーヘッドを組みます

cimg3899_s

こちらのお客様もギリギリまでFXヘッドかGPヘッドで悩まれたのですがGPヘッドとなりました

入庫した時に「FXヘッドも捨てがたい」と言いだされたのですが既に大口径CRキャブレター発注済みでした

cimg3903_s

カムを組みタペット調整します

ヘッドカバーを組んでエンジン完成です

cimg3908_s

フレームにエンジンを搭載しエンジンを始動させます

cimg3915_s

エンジン快調

CRキャブのブラックボディーでウオタニも搭載

これから試乗です

cimg3918_s

試乗で万葉岬に来ました

cimg3919_s

ブラックのCRキャブにビトーのネット付ファンネル

激シブですね

以前ボアアップしたオーストラリアのお客様の車両のイメージが良かったみたいです

そのまま七曲りに行きました

cimg3920_s

絶好調!!

新品のキャブにウオタニの組み合わせは絶対に必要です

オイルクーラーはゼファーの流用です

マフラーはウチの集合管です

とにかく愛知県からのお客様はとても多い

Z710FX完成です