大変長らくお待たせしました
本日は東京都よりゼファーの入庫です
なんだか久しぶりのゼファー
最近はFX・GPの連発で長いことゼファー400に触れていませんでした
今回はフレームから綺麗にします
入庫したのがこのゼファー
エンジンかけると3気筒・・・
1番が不調です
早速エンジンを降ろします
ヘッドカバーを開けると吸気の1番はカムがタペットカバーを押しています
なので圧縮時吸気バルブを混合気が逆流していたみたいです
この状態で走るととても危険です
キャブ・エアークリーナーに爆風が逆流するので走行中出火の危険性があります
エンジン内部は綺麗でオイル交換も小まめに交換されているエンジンです
タペット調整失敗かな?
フレーム・エンジンを全分解します
バラバラに分解しました
エンジンの前にまずはフレームを仕上げます
まずは下処理!!
ブラスト加工し古い塗装の下のサビを撤去しました
小物パーツもペイントします!!
スイングアームは当店の強化スイングアームです!
フレームの塗装完了です
色は半艶のブラックです
ゼファーのフレームって艶消しや半艶の黒が似合うんです
ファイナルは艶消し黒なんで純正色になった色です
車体を組み上げました
とても綺麗
足回りの部品一つ一つがとても綺麗な部品なのでフレームをペイントしたことにより
一気にカッコよく決まります
また半艶フレームがカッコいい
スイングアームはこんな感じです
スタビ入りになり戦闘的な足回りになりました
次はエンジンのサンドブラスト加工をします
下処理完了です
ゼファーのエンジンの純正色はとても弱くすぐに腐食してきます
しっかり下地の腐食を撤去しないといくら綺麗な塗装をしても下から浮いてきます
エンジンの塗装完了しました
フレームと同色の半艶の黒です
クランクケースのボーリングも完了です
クランクケースを洗浄し腰下を組みます
クランクメタル・コンロッドメタルを交換し550クランク・コンロッドを組み込みました
そしてミッションを組み込むと・・・・
なんか変・・・・・
いつものスムーズさがない・・・
もう一度分解しても問題なし!!!
ミッション単品ならスムーズに動きますがクランクケースに組むと動きが少し鈍い
どうやらこのエンジンのミッションはギアの形状に問題あるみたいです
お客様に聞くと5・6足ギアが入らなかったらしい・・
原因はミッションです!!
でもミッションだけではありません!!
もう一つ車体にも問題があります!!
これ!!!
アコサット(ACCOSSATO)ってメーカーのクラッチなのですがこれはNGパーツで有名です
第一にクラッチワイヤーの中のワイヤーがレバー側にとられ短くなります!!
この車両のクラッチレリーズのレバーを無理付けし割れていました
それ以上にレバーを全開に切ってもストロークが短いのでエンジン側で切れません
しかし張り過ぎるとクラッチが滑ります・・・
これ微調整が出来ないんです
中国製のコピー製品の方が良く出来ています
もしくは純正がお勧めです
純正が1万円の中古とします!
アコサットは0円の新品とします!
私は迷わず純正の中古を買います
とりあえずミッションを丸ごと当店の在庫に交換しスムーズに動くのを確認しロアケースを組んでいきます
こちらのお客様もネジはオールステンに変更します
ワンウェイクラッチとオイルポンプを組み込みます
そしてオイルパンを組んでひっくり返します
強化クラッチを組んで!!
エンジン腰下完成です
次はシリンダーヘッドに取り掛かります
問題のシリンダーヘッド!!!
こいつが原因で3発になってました!!
シートリングの歪みです!!
オートバイのシートリングは鋳込か冷やしばめです
このゼファーはシートリングとヘッドが馴染んでいない状態で出荷されたエンジン
GPZエンジンでよくあるトラブルです!!
ゼファーではたまにあります!!
シートリングがこうなると!
バルブが片面当たり片面当たらない片当たりになります
3発になり1番シリンダーが温まらないのはこいつが原因で45度面が凹みバルブの突き出し量が増えカムとタペットカバーが当り圧縮漏れしていたからです!!
圧縮漏れして爆風はキャブ側へ逆流しエアークリーナーに溜まった未燃焼ガス(汚いガソリン)に引火します!!
走行中バイクが炎上するトラブルは殆どがヘッドかバルブです!!
まっ。。。こんなトラブル滅多にないのですがね!!
勿論日本車のバイクは全てバルブは回転しながら開きますので一部だけが当り45度面全体が凹んでしまいます
このバルブは修理できるかきわどい感じです
なぜバルブを回転させる構造なのかと言いますと走行中に付着するカーボンやゴミをすり潰す為です!!
回転しない構造のバイクは走行を重ねると密閉率が悪くなるんです!
ドカでそんな構造のエンジンがありましたがね!!
サージングを起こさない超高回転型エンジン!
でも結局密閉率の悪さがネックだったみたいです!
とりあえずバルブを故障させた原因のヘッドを修正します!!
勿論シートリングが浮いた側から削れて沈んだ側は45度面が出ません!!
45度面を出し30度・70度の三面加工で出しました
新品のシリンダーヘッドより中古の歪みを出し切ったエンジンの方が今後こうならないので安心して組めます
新品のヘッドでも今後シートリングが沈まない保証はありません!
熱が加わり何度もバルブに叩きつけられた中古のヘッドを修正すると歪を出し切って精度良く加工できるので今後が安心です
全てのシートリングの加工完了です
吸気側は全てシートリングが歪んでました
全てのバルブのカーボンを落としました!
そして45度面の研磨をしました
このバルブはまだまだ使える
怪しい物はすぐさま交換ですがこのバルブはまだまだ走れると言ってます
まぜなら奇跡的に曲がってないからです
ちなみみこの様なヘッドはマニュアルの修正方法ではまた同じトラブルが再発します!
メーカー指定の工具・測定で新品のバルブに交換しても方当たりになるからです!!
Zも注意が必要ですがZのヘッドは殆ど人為的ミスで壊れてることが多いです
ノンレストアエンジンが一番気持ちよく修正できます
変な修理をされると通常走行ではあり得ないトラブルを引き起こします!
ゴミみたいな社外パーツを糞ほど組んだり必要ない加工をされている物は故障の原因です!
雑誌などの影響は大きくお客様の不安を煽ってやらなくてよい加工かやらない方が良い加工が大半でしょうか・・・
あのビジネストークの記事が私は嫌いなので未だに日本の雑誌の取材はお断りです!!
くだらない人為的ミスで、その原因を調べるのが大変です・・・
ゼファーのエンジンもZのエンジンも暴走族が乗りつぶしたエンジンの方がよっぽど修理しやすいです!!
仕事に戻ります
シートリングの修正とバルブの45度面の修正でバルブの突き出し量が増えるのでバルブを0.25ミリショート化して焼き入れを入れました
すり合わせをしてシリンダーヘッドを組みます
こちらのお客様も吸気ポート拡張し!
排気ポートも拡張しました
最近は400エンジンのユーザー様は殆どポート径拡張のオーダーを下さいます
安くて費用相対効果が大きいです
フィンは研磨なしのオーダーで真っ黒でいきます!!
そしてシリンダーとピストンをクリアランス測定します
完璧なクリアランスです
そしてピストンとビッグブロックシリンダーを組みます
ちなみに隣で再作しているJの570エンジンと見比べると710ピストンのコンプセッションハイトはかなり低く見えますがボアが上がれば圧縮圧力が上がる為このコンプレッションハイトでもかなりハイコンプです
ゼファーは全て同じですがGPZ400Fでも燃焼室が二種類あるので燃焼室に合わせてピストンを制作しています
シリンダーヘッドを組みました
真っ黒エンジンもカッコいいですね
カムを組んでタペット調整します
ヘッドカバーを組んでエンジン完成
そしてフレームにエンジンを搭載します
キャブレターは新品のFCRを持ち込んで下さいました
エンジン点火
絶好調
アコサットのクラッチを取り外し純正のに交換し試乗です
試乗しに七曲りまで来ました
エンジン絶好調
キャブセッティングの邪魔になるのでサイドカバーは外しています
軽い車体にゲイル・FCR・710エンジンは最高の組み合わせです
710ゼファー完成です
ゼファーのオーナー様より次女のガーゼの差し入れを頂きました
大切に使わせて頂きます
有難う御座います