本日はZ400GPのエンジンのオーバーホールをします。
こちらのお客さま!なんと17歳です
アルバイトのお金を貯めエンジンを降ろし兵庫県までご来店です
早速エンジンを分解します。
ヘッドを取り外すとスリーブが酷くサビてました!
3番はホーニングでは追いつきません
0.5ミリオーバーサイズピストンでも消えないほど酷いサビ・・・・・
オーバーサイズピストンを購入しボーリングですが17歳でアルバイトの子には
不可能な金額になります・・・・
なんとか予算内で良いエンジンを作るには・・・・・・・
ノーマルピストンに合わせスリーブを作ります
確実にダメな3番のスリーブを抜きます!
この黒い部分全部サビです。
他の3本も少しサビてますがホーニングで消えなければ交換します。
新しいスリーブです!
外径はシリンダーより5/100大きくし内径はピストンに対しクリアランス0です
シリンダーにスリーブを製作し圧入!面研しホーニングました!
クリアランスは4/100~6/100で仕上げました!
かなり走ったエンジンなのでシリンダーの上側が少し磨耗してましたが問題なし!
しかし1番のスリーブのサビがホーニングしても消えません
黙認できないサビの深さ・・・・
しかたない・・・・ここのスリーブも製作します!
結局二本のスリーブを交換しました!
通常はスリーブが破損しているとオーバーサイズでボーリングですがピストン代とボーリング代は高額です!
ノーマルエンジンに拘る人・予算が限られている人はピストンに合わせスリーブを作ればいいのです!
技術があれば遥かに低コストで抑えることが可能です
私が17歳の頃は暴走族だったので修理してくれるオートバイ屋さんがいなかったのを思い出します
「おいガキ!お金ないやろ!来るな!」と罵声を浴びせられたものです
次はプラグホールの修理です!ねじ山がグチャグチャなので下穴を開けヘリサートで修正します!
完璧!
ここの修理は意外と難しく上手く加工しないと燃焼時プラグの下から排気漏れします
次はヘッドを分解し洗浄します!
バルブのカーボンを落とします!何本か45度面にダメージがありました
サンドペーパーで45度面を念入りに研磨すれば黒い窪みは取れますが密閉率がとても悪くなります!
45度面をリフェーサー加工しました!
燃焼室・ポートのカーボンを掃除します!
燃焼室が錆びて見た目は悪いですが機能上はまったく問題なし!
バルブのシートリングの45度が生きていれば何とかなります
45度面をシートカットし70度でシートリングの内径を拡張しました!
錆びてボコボコだったシートリングもピカピカです
すり合わせをし当り面を確認し圧力検査します!
ここがもっとも肝心な部分です
すり合わせ!ですがこれは誰でも出来る作業です!小学生でもできます
何が難しいかと言うとコンパウンドの使い分け・すり合わさったか、の感覚です!
すり合わさってなければ圧力検査に合格しません!
キャブからの吹き返しはここが原因です!
バルブを組み込みます!
ポートも綺麗になりました!
ガスケットは真新しいので裏返しときます!
次はクランクケースの掃除です!
当時のシリンダーベースパッキンはアスベスト!
なかなか剥がせないのでスタッドボルトを抜き取ります!
綺麗になりました!
これからピストンを掃除しシリンダーを組み込みます!
ピストンリングはボロボロで外すとポキポキ折れました
FXやGPは古いエンジンな為ノンレストアのエンジンはすべてこんな感じです
勿論ピストンリング・カムチェーンガイドは新品にします!
ホーニングしクリアランス測定したシリンダーを組みます!
久しぶりのノーマルエンジンです!
オーバーホールしたヘッドを載せます
カムを組みタペット調整します!
サービスマニュアルは素人でも組めるよーにかなりアバウトな基準で記入されています!
タペット調整はシビアなのでしっかり当店の基準で調整
エンジン完成です
「エンジンの腰上オーバーホール」言葉では同じですがショップにより技量・値段は様々です!
一般的にはエンジンの補修はオーバーサイズのピストンが当たり前ですが芸がない・・・・ピストンに合わせスリーブを製作するほーが格安で済みます
たまにはこんな仕事も「芸」があって面白いでしょ!?
お客様がご来店された時に差し入れです
美味しそうなハチミツ名産品らしいです
有り難うございます