今回は500台限定車!!本物のZ400FXグランプリスペシャルのエンジン製作です!
しかもそのグランプリスペシャルを679ccにしスペシャルエンジンにします!
684ccではなく679ccにするのは0.25ミリの余裕をもたせ何万キロも走りエンジンが消耗した場合に備え684ccにボーリングオンリーで補修可能とする為です!
これが今回チューニングするエンジンです!
クランクを回すと何か変な感触・・・・・・
エンジンを分解します!
やっぱり・・・クランクメタルが焼けてます!
オイルの潤滑不良です当店の大容量オイルポンプを今回は組み込みます!
クランクケースは当店の在庫に交換します!
サンドブラストしクランクケースをボーリングします!
E4の最終かGPの初期のケースです!
E1のクランクケースだったのでグランプリスペシャルに近い番号の物に変更します!
と思いきやクランクケースに少し欠損・・・
クランクケースを溶接し肉盛りし整形します!
次はシリンダーです!
スリーブを抜きます
下に散らばっているスリーブは他のお客様のシリンダーのスリーブもまとめて抜いたからです
このZ400FXグランプリスペシャルのピストン!モリワキのピストンで450ccでした!
ピストンの横にMEの刻印!Mモリワキ Eエンジニアリングの略しです!
しかしこのピストンはパワー出ません寿命も1万キロぐらいです
ピストンリングが1本なので圧縮圧を受け止められず圧縮時に混合気がピストンリングを超えクランクケース側に吹き込みクランクケース内圧が高くなります・・・・
ピストンリングの頭が高いのはハッタリでハイコンプにはなりません
POSHのゼファー750用820のボアアップKITと同じです
なぜ1本のピストンリングにしたのか!
これはピストンリングの摩擦を減らしピストンをより早く動かそうと当時は考えられたのです!
ピストンリングの断面もL型に改良せれています!
ですが圧縮が余りにも低く走行しても力不足で実用的なピストンではなかったのです!
当時としては斬新なアイディアで現代の物と見比べると「こんなピストンありえない」と思うかもしれませんがこのような大胆な物を製作し実行する人が今後のエンジンを開拓するのです
なので個人的に当時のこの発想力とピストンの大胆さ「意気込み」が私は好きです
ここで余談ですが下の画像はモリワキのボアアップKIT600cc(60mm)ピストンです!
そして下のピストンはタカトリのボアアップKIT650cc(62.5㎜)ピストンです!
タカトリのピストンは高性能でモリワキのピストンより大きくコンプレッションハイトが高いのが見て分かります。
コンプレッションリングは二つですがモリワキと異なる形でピストンリングの摩擦を減らす工夫がされています!
タカトリのピストンリングは高さ(厚み)が1mmでピストンリングの外周の角が丸いです!
このピストンリングはバレルフェース型ピストンリングと言います!
通常はセカンドリングには使いませんがトップリング・セカンドリング共にバレルフェースにし1mmの薄さで摩擦のない用に工夫されています!
当店のピストンリングもピストンリングの高さ(厚み)は1mmで摩擦を減らしています
しかしセカンドリングはプレーン型です!
画像の用に角があります!
現代の国内4メーカーの純正ピストンリングも90パーセント以上がトップリングはバレルフェース型でセカンドリングはプレーン型です
このピストンリングはオイルを掻き落とす力と圧縮圧を逃がさない密閉率のいいピストンリングなのです
今回製作した当店のボアアップKIT679cc(64.25㎜)のピストンです!
タカトリのピストンはコンプレッションハイトが高く圧縮は13キロ!当店のピストンも13キロです!
見た目では「何で同じ圧縮圧!?」と思うかもしれませんが当店のピストンはボアが大きいのとピストンリングの形状で圧縮を上げているのです
このフラットなピストンの上に13キロのコンプレッションがかかり火花が飛ぶとどうなるでしょう障害物のない燃焼室に高圧縮された混合気
一気に燃焼しピストンを押し下げます
当店は同じ排気量でもお客様の用途に合わせピストンの形状(ボア)(スキッシュエリア)(コンプレッションハイト)・圧縮圧・カムの形状を変えています。
この形状で高圧縮・・・・理想のピストン(エンジン)が出来るまで大変でした
この様にゼファーやZ400FXのボアアップKITの各ピストンメーカーにより考えや工夫が見てとれます
ピストンの形状やピストンリングの形状や高さ(厚み)などエンジン屋の執念や考えを感じとることができます。
次はシリンダーとヘッドをサンドブラストしシリンダーをボーリングします
ヘッドはGPZ400Fに変更します!
タコメーターの取り出し口がないのでヘッドに穴を開けます
ここからタコメーターのギアを組み込みます
今回はポートも拡張します!
マフラーのガスケットの内径に合わせ格調します!
ここで二つに分かれます
バルブガイドの出っ張りを残すか撤去か
当店で680cc前後に排気量をあげ当店のFスプロケを併用すれば2万キロ以上走ってもトラブルはおきません
低速トルクに力を入れるとこのような改造を思い切ってできるのも強みです
ペーパーでならしていきます
私が二十歳の頃はピークの時は月に20機のヘッドの拡張と研磨をこなした時もありました
ここでピカピカに研磨するか!ですが雑誌などでは「ピカピカにするとカーボンが滑るように排出される」「パワーが上がる」といわれますが残念ですが公道ではハッタリです
ガソリンが付着すると一瞬でカーボン溜まりだします
ポート研磨はほとんど意味がなくもちろん体感などできずカーボンは溜まりにくくはなりますが公道を走るとすぐに溜まりはじめます
レースで1秒でも・・・・と気持ちを込めてする作業だと思ってください!
しかし拡張は大きな意味があります!これだけで「馬力」を上げることが可能で私の低速トルクを重視しするエンジンにも最高速を上げる為の改造として最適です
EXのポートが完成しました
バルブガイドを撤去しバリバリの全開最高速仕様です!
これからバルブシートリングも加工していきます!
今回の仕様はスペシャル仕様!
45°面を拡張します!
いつもより45°面を大幅にカットしました!
シートリングの45°面を大幅に拡張することによりバルブの45°面外当りギリギリにします!
昔からあるエンジンシューニング方でこうすることによりSTDのバルブを大径化することができます!
皆様よくご存知の大径バルブ・・・・メリットとデメリットがあります。
ただシートカットし大径バルブを組むだけではデチューンです。
シートリングの45°面の内側を拡張し始めて効果がでますがバルブの外形が広がることによりバルブのウエイトが重くなるのも現実です。
大径バルブ・・・響きはいいのですか高額な改造な割にはあまりパワーでません。
STDバルブを大径バルブ化するのはノンリスク・ハイリターンなのです!
ただしシートカットする時、失敗が出来ないので一発で仕上げなくてはなりません。
45°面が大きくなったのでバルブのシートリングの内側に大きなぜい肉ができます!
70°のシートカッターで切り抜きます!
エンジンに詳しい人はこの加工するとバルブの突き出し量が増えバルブスプリングのバネ力が弱まることに気づきますよね!!
大丈夫です!ここで当店の新商品のバルブスプリングのシムKITを組み込みます!
これを使うことによりバネ定数を高め同時にサージングを防ぎます!
シートリングの拡張完了です!
失敗すると取り返しがきかないチューニングです
ポート・シートリングも拡張し全開フルパワー仕様のヘッドです!
クランクケースとヘッドをペイントします!
半ツヤのブラックです!
ここでバルブを紹介します!
今回組み込む軽量バルブです!左のバルブを組みます!
軽量化し45°をリフェーサー加工しました!
バルブのサージングを遅らせるのと吸気効率を上げるのが目的です!
バルブの体積が小さいと混合気が燃焼室に充填されやすくなります。
バルブステムを細くする方法もありますが400の場合はバネ力が強くバルブが伸びてきます。
ゼファー400、750、1100のエンジンのバルブスプリングは全て統一です
ゼファー1100のエンジンはパワー出しにくい構造なのです。
例えばゼファー1100とZ1!ボアアップし同じ排気量にしてもZ1の方が早く走れます。
馬力もZ1の方が上です
バルブの傘の直径は1100の方が大きいしツインプラグでクランク・コンロッドはベアリングではなくメタル(摩擦が無い)なのになぜでしょう!?
それはヘッドに秘密があります。ヘッドの全長がゼファー1100の方が長いのです!(カムから燃焼室までの距離)
と言うことはバルブの全長も長くなります!と言うことはバルブがとても重いのです。
この比較で分かる様にバルブは(大きさ)より(軽さ)なのです
この400ベースのエンジンのバルブはとても軽くバルブガイドが4ミリほど短くなり摩擦が減り燃焼室への充填効率もとても良くなります
なのでゼファー・FX系の400ベースのエンジンはトータルで考えてもスピード(最高速)を出しやすいエンジンなのです。
ここでゼファーχのエンジンを分解します!
このエンジンからミッションを抜き取ります!
ゼファーχミッションと550クランクと550コンロッドです!
これらの部品をZ400FXのクランクケースに組み込みます!
ドグ部がテーパーなのでギア抜けしにくい構造です!
貴重なミッションです!
クランクメタル・コンロッドメタルのクリアランスを測定し組んでいきます!
もちろん消耗品やシールも全部新品です
ここで大容量オイルポンプを組み込みます!
こちらのお客様はエンジン全開で爆走されるのでこの部品は必要です!
腰下が組みあがりました
次はヘッドを組みます!
シムKITを組込み次はタペットカバーを改造します!
タペットカバーを軽くするのとポンピングロスをなくしバルブが抵抗なく動くように加工します。
これも昔からある改造方法でエンジンの得意なショップでは当たり前の改造です
この加工ただ穴開けるだけですがとても大変な加工です
タペットカバーの大きさ・厚みにより穴の大きさは変えますがなかなか貫通しないのです!
穴を0.5ミリでも大きくし過ぎると割れるので注意してください!
とても高額なヘッドとなりました
ピストンとスリーブのクリアランス測定をします!綺麗な仕上がりです!
すべて4/100から5/100の仕上がり!完璧です
製作したボアアップピストンを組み込みます!
ヘッドガスケットを製作しスペシャルチューニングのヘッドを組み込みます!
搭載完了!
特別仕様のエンジン!純正シリンダーでは最強エンジンに匹敵します!
過去に製作した同じ仕様のエンジンでは最高速260キロを超えました
ここでカムを組み込み完成です!
と!ここで広島県からお客様がご来店!
お土産をいっぱい頂きました!
また地元のお客様や貧乏大学生のお客様と美味しくいただきます有り難うございます!
色々とお話ししながらエンジン完成です!
ベースエンジンZ400FX
ヘッドGPZ400F(タコメーター取り出し加工)
ポート拡張IN・EX
カム IN ゼファー(バルブタイミング550) EX Z400FX(バルブタイミング550)
バルブ軽量化45°リフェーサー加工
タペットカバー(穴あけ加工)
シートリング拡張70°45°30°
64.25ミリピストン製作
スリーブ製作
550クランク
550コンロッド
クランクケースボーリング
ミッションゼファーχ
強化クラッチ
クラッチGPZ400F
オイルパンゼファー400
大容量オイルポンプ
バルブスプリング シムKIT
Fスプロケ特注22丁
消耗品全交換(フルオーバーホール)
最高時速260キロオーバー仕様!!
信じられないかもしれませんが現行のリッタークラスでも充分相手できます
当店で680ccクラスにボアアップされたお客様はその生き証人です
耐久性とパワーアップは反比例するのが日本の雑誌などを読まれた方の常識ですが、この改造でも充分耐久性を確保できるのが当店の強みです!
ボーリング加工法、ピストン形状、スリーブ素材、動力部分の締め付けトルク、組み付け方、全てが当店独自の物でマニュアルとは異なります。
この排気量をお客様に提供できるまで莫大なエンジンを犠牲にし、資金がなくなりました。
破損するエンジンには限界がありそれには原因があります。
エンジン屋が限界を決めるのですが「破損したからこれが限界」ではなくそのエンジンを製作する人間が挫折したときが限界なのです。
私の頭脳にはまだまだこのエンジンの未来があり耐久性を確保してのパワーの上げしろを感じます。
またのご来店お待ちしております