本日は兵庫県のお客様でゼファー750のエンジンオーバーホールです
兵庫と言っても当店は西でこのゼファーのオーナー様は東!
一番端と端なので意外と遠いんです
入庫したゼファーがこれです
ゼファー750RS
結構距離走っているのでガラガラいってるエンジンですが直りそう
静かで快調なエンジンにします
400や550エンジンと違い750エンジンは力あるので丁寧に組めばパワーを体感できるエンジンです!
私や地元の常連様は麻痺しているので900ぐらいが乗りやすいのですがこのオーナー様は尼崎市なので900エンジンだと走れないほどの町です!
神戸もかなり都会ですが尼は信号が多すぎて本当に走るとこがない
なので元気良く快調に走れるエンジンにします
早速エンジンを降ろします
エンジンを分解していくと!
シリンダーはとても綺麗!
錆がないので長期保管は無いみたいです
しかし・・・・
サビが無いと言うことは動いてきた証拠です!
測定すると!
9/100~11/100・・・・・
とっくに規定値オーバーです
規定値をオーバーしてもピストンリングを交換すれば走れますがオイル上がりしやすく短命エンジンになります。
750は新車のエンジンでも、とても個体差が激しいエンジン
新車出荷時でピストンとシリンダーのクリアランスはデタラメな物が多くサービスマニュアルの規定値なんかあてになりません
このシリンダーは900エンジン用のボーリングベースにします!
過去にボアアップしたお客様の良品シリンダーとピストンに交換します!(注 もう750エンジンの良品シリンダーありません)
750エンジンの場合調子良いエンジンにしたければ純正のOSピストンかコスワースをお勧めします
腰下を分解していくとテンショナーガイドのダンパーが落ちていました
と、言うことは誰かが腰上を分解したことがあるみたいです
多分新車からとは思えないので・・・・
気づきませんでした
エンジンのサンドブラスト完成です
そしてエンジンをペイントしました
クランクケースを洗浄しクランク・コンロッドメタルを交換しクリアランス測定します!
ここはいつも神経を使うところ
750エンジンは部品の個体差が激しいので実際に測定して組まないと今後のエンジン寿命に大きくかかわり焼ける可能性もあります
400エンジンも同じですが750エンジンの方が部品の個体差が大きい場合が多いです・・・
400エンジンも750エンジンも二番のオイルの潤滑不足は同じです!
クリアランスが違った場合はメタルの厚みを変更します
ミッションを分解・洗浄・組み立てしエンジンを組んでいきます
そしてロアケースを組みました
ワンウェイクラッチのダンパーは100%ダメです・・・
ささっと交換し消耗品のローラーも交換です
組み込み完了
次はシリンダーヘッドを修正します
シートカットしました
インテーク側のシートリングは45度30度60度75度の4面加工です
シートリングの状態が悪い場合や45度面の当たり幅の関係で4面加工する場合があります
エキゾースト側は45度30度70度で加工しました
ゼファー750!と言ってもヘッドの個体差はバラバラです!
シートカットの加工方もヘッドにより変わります。
このエンジンは8万キロでもシートリングの状態は良い方ですが
2万キロでダメになる物もあります。
ゼファー750と言ってもそのエンジンごとに見極め精度の良いシートカットを必要最低限にする必要があります
シートカット完了です
内燃機屋に加工させると確かにシートカットしてくれるのですが
加工し過ぎることが多くバルブの直径もわからないまま加工し32度外形をガッポリ切り取り燃焼室容積を増やしてしまうお店が殆ど・・・
もともとシムの薄いゼファー750だと致命的です
何百もエンジンを修正しているとそのエンジンの癖が出で来るのが分かります
その癖を見極めシリンダーヘッドごとに適切な加工をしています
次はバルブの修正です!
シートリングが長年叩きつけられ歪んでくるとバルブは45度面が凹んできます!
新品のシリンダーヘッドではなく長年高熱にさらされバルブに叩きつけられたヘッドを加工するとその中古のシリンダーヘッドは長年精度良い状態を保持できます
バルブの修正完了です
一本一本すり合わせし圧力検査をしシリンダーヘッドを組み上げます
そしてエンジン腰下をフレームに搭載しピストンを組みつけます
このシリンダーはゼファー750の最終モデルの低走行車なので摩耗もほとんどなくとても状態が良かったのです
勿論ピストンも元々このシリンダーに入っていた物なので最終モデルのピストンです
なのでピストンリングのオイルリングも最終モデル(新品)の物です
トップリング・セカンドリングは全年式同じです!
最終モデルのシリンダーを組むにはカムチェーンガイドのRも最終モデルに変更する必要があります
シリンダーヘッドを載せます
クラッチカバーの同色の黒でカッコいい
クラッチはGPZ750ターボに組み換え済みです
カムを組みタペット調整します
エンジン完成
保機類を取り付けエンジン点火
ガラガラ異音のしていたエンジンがとても静かになり快調なエンジンになりました
エンジン絶好調
これからスイングアームの塗装と車検整備します