本日は地元のお客様のZ1000MKⅡのボアアップです
ご予約を頂き大変長らくお待たせしました
本日より当店オリジナル!
Zの国産ボアアップピストンをリリースします
入庫した車両がこのZ1000MKⅡです
フルレストアされていますが遅い
Zのエンジンのリッターと言うのは名ばかりで小型で軽量のZ400FXの710に撃墜される遅さです
Zのエンジンはとても重いので76ミリ以上のピストンを入れないと軽快に走りません
で!エンジン屋として技術が必要になってくるのが76ミリ~になります!
それ以下は補修用ピストンです!
76か77かで加工内容が全然変わってきます
78ミリのピストンはシリンダーの物により出来る物、出来ない物が出てきますので万能ではありません
圧縮圧も低く設定しないとブローしやすいです
で!このエンジンに組まれていたのが
アメリカ帝国のワイセコ71ミリピストン
ガチで補修用ピストンです・・・・・
排気量が低いのにヨシムラのST1ハイカムが入っています
車体が重たいのでトルクが細いはずです
腰下を降ろします
エンジンを全分解しクランクケースのボーリングをし洗浄しました
で!Zのエンジンのもっともパワーを上げるのに厄介なのがクランクケースです!!
Zのエンジンにビッグブロックを組むにはクランクケースを今以上に大幅に加工しなくてはいけません
また、ビッグブロックでなくてもクランクケースのボーリングの許容範囲を知らない人が広げ過ぎてスダッドボルトの根元が割れている物がよくあります
安全なクランクケース内径は正確なオフセットの82ミリでそれ以上のボーリングはクランクケースが割れOILが滲む可能性が高いので当店はそれ以上のボーリングは絶対にしません!
82ミリは安全マージンを残して大丈夫です
で!クランクケースをボーリングする場合、当店はゼファー400も750もZもダミーシリンダーを使い正確なオフセットで加工しています
エンジンを組んでいきます
トラブルの多いZのクランクですが測定して許容範囲であれば修正する必要はありません!
しても何も体感出来ませんしこれも雑誌で派手に書かれ神経質になりすぎなのだと思います・・・・汗
むしろ修正することにより圧入式クランクのピンが甘くなる場合があります
で!
Zのクランクは修正リビルドできるのか?
ですが疑問です
某社のリビルドクランクもエンジン回すと音が出る物もありアメリカのクランクメーカーのクランクも新品でも音が出る物があります
見た目はサビがなく点検棒も問題なく入りフレも問題ないベアリングも良好なクランクでも組んでエンジンを動かすと異音のするクランクがあるので得体の知れないクランク単品持込は避けて欲しいのが本音です
本音を言うと、どっかの某社のリビルドクランクも組みたくありません
ミッションを洗浄点検し組んでいきます
今流行り?
のZの6速ミッションを組む場合1230は不可です
1230以下でもかな・・・・
ギア抜けのトラブルがよくある為です
ストリートのZでギアの薄い6速にする必要もわかりません
あとドレスアップカスタムのオフセットスプロケもボアアップエンジンには好ましくありません
ミッションのベアリングの破損・磨耗によりギア抜けの原因となります!
スプロケの脱落のリスクもあります・・・
STDのチェーンラインか5ミリまでのオフセットであれば1200cc前後のボアアップであれば問題ありません!
OILポンプを洗浄し組んでいきます
クラッチは純正が一番
社外品のクラッチなどもありますが薄くて枚数を増やしたクラッチは歪んで使い物になりません
クラッチスプリングは当店の強化タイプの物です
クラッチレバーも扱いやすくバネ力も適度にあるので78ミリの1260までならこのクラッチでOKです
腰下完成
このMK2のエンジンは一度OHされているので交換部品はガスケットやOILシール類だけです
アイドラーギアやカムチェーンなどの部品は一通り交換してあるので、とても状態が良いです
次はシリンダーヘッドです
前のメカニックの人がバルブガイドを交換していました
シートカットも良好
しっかり加工されています
ここが一番不安だったのですが店によっては適当なシートカットをしヘッドを短命化させているZのエンジンがとても多いです!
セミプロのバルブガイド交換やシートカットは悲惨です
シリンダーヘッドはポート径拡張されてあり研磨もされています!
で!気になったのがEXのシムがとても薄いシムでした
インナーシム化されていますがEXのシートカットをし過ぎたのかよほど状態が悪かったのか・・・・
で!
ポート研磨した時にシートリングの45度面も削られこの部分だけ当り面がとても細くなっていました
Zのヘッドでは良くあることです・・・・
適切な当り幅を確保する為バルブガイドに1/100ミリでステムシャフトを圧入し加工しました
狂いはないですが45度面を適切な当り幅にし内径を70度でサッと加工しました
シートリングは完璧ですが・・・
ここまで薄いシムだとタペット調整できません
なのでバルブの頭を0.2ミリ旋盤で研磨しました
だだ研磨するだけではバルブが潰れるので焼き入れ加工済みです
一般の人は真似しないで下さいね
バルブの耐久性を落としかねません
インナーシムのエンジンは私の得意なエンジンです
アウターシムは整備が楽チンですが・・・
この手の弱点は!
ニン
コッターピンを0.2ミリロングに変更です
バルブ溝にかかる負担を分散させ返りのトラブルを減らすことができます
Zのインナーシム化失敗エンジンもよくあります
リテーナーも社外品はトラブルおきてるのがあります・・・
チタンに変えると軽くなるのは分かりますがユーザーにとって大切なのは壊れないエンジンです!
すり合わせをし圧力検査をしヘッドを組み上げます
修正完了
で!
プラス
何十年後かに!
「またエンジンをOHしたい」となった時タペット調整シロがあるので修正可能です
次の人がさわってもシートカットできるOHにしています
その頃日本のメカニックがどーなっているかわかりませんが
シリンダーのボーリングが仕上がり測定です!
完璧な仕上がりです
ピストンを組み付けます
すべてのピストンに菊花紋章が入っています
日本人の誇りですね
アイドラーギアを入れ先ほどリビルドしたシリンダーヘッドを搭載します
そしてカムを組みます
カムはヨシムラのST1が入っていました
小排気量でポート拡張してもハイカムを入れてもパワー出ません
日本のZの鉄板カスタム?です・・・
ボアアップの前では補記類の部品に過ぎません
ポート研磨はレース用エンジンなどで、もうこれ以上手を入れるとこがない!
1秒でもタイムを縮めたい!
と、言う時の最後の最後にする小手先のカスタムです!
おまじないです
これも雑誌で派手に書いてあるので読者はポート研磨したらパワー出る!と勘違いしますよね・・・・・
小排気量やOHで研磨してもなんの体感も出来ません
しかしポート径拡張はパワー上がります
ヘッドカバーを組みエンジン点火です
とても静かなエンジンになりました
以前のヘッドからのメカノイズも消え気持ちの良い吹け上がりです
Zのエンジンはとくにですがサービスマニュアルはあてになりません
マニュアルを基準に組むとメカノイズがうるさくなります
また過激なカムや不必要な強化スプリングはシリンダーヘッド(カムホルダー)を変形させます
カムメタルを交換しても直りません!
劣化による変形もありますのでZのエンジンはマニュアルは漠然とした基準だと思って下さい
組む人間の技量と経験です
で!このエンジンに組んだ当店のオリジナルピストンですが!
国産です
「国産」と言ってもブランク材を台湾で作り日本で加工すると
「国産」と名のれます!
当店のピストンは全て国内製造となります!
日本のピストン製作技術は世界トップクラスです
しかし国内のマーケットは狭くボアアップの文化の無い国でピストンを製作しても償却できませんので国内の一流ピストンメーカーは海外がマーケットになっています!
ピストンピンの穴にはブルーブ加工でピストンピンにOILを流し込めます!
熱の影響を受けにくいので現代のピストンでは当たり前なのですが海外のピストンにはコスト削減の為ありません。
そもそもこの技術が無い国もあります!
ない国の方が多いと思います。
で!鍛造と鋳造がピストンにはあります!
鍛造が耐久性があり良いイメージがあります
雑誌の影響もあるので誤解されがちなのですが私は
鋳造でも膨張率の少ないピストンをチョイスします
カワサキの最新鋭のH2Rも鋳造化されています!
エンジンが焼ける・シリンダーが極端に磨耗する原因はピストンとスリーブのクリアランス不良です!
ピストン単体で鉄のハンマーで叩くのであれば鍛造の方が強いです。
しかしピストン・シリンダーにトラブルを引き起こす場合エンジンが、温間時におきます。
温間時に膨張率が大きいピストンがトラブルを引き起こすのです!
ピストンの耐久性ではありません。
鍛造だから耐久性がある、イコールでピストンは語れないです。
そして当店のピストンは単体で販売しません。
そもそもピストンの大きさ、形状はエンジン屋にとって執念の塊です。
私のピストン・シリンダーに「商品」と言う概念もありません。
誰でも組めるピストンに私はなんの魅力も感じません
これはエンジン屋としてのプライドの問題です
そして!減速比調整をしました
試乗のまえに!
また色々と差し入れを頂きました
Z710FXとゼファー900のオーナー様からキャブレターの差し入れです!
試乗車のキャブが不調だったので入れさせて頂きます
本当に有り難う御座います
そして!
大阪府のゼファー900予定(予約済み)のお客様からも差し入れです
有り難う御座います
そして!
MK2の客様もご来店して下さり差し入れを頂きました
有り難う御座います
早速試乗です
が・・・・本日午前雪が降りました
りくまるは人生で初めて雪を見ます
べっくらこいたみたいで外を走り回りまわっていました
さて!昼になり路面も乾いたので
1230エンジンの試乗です
エンジンもバッチリ
鈍いZも軽快に走れます
やはりこれぐらいのエンジンがパワフルで、とても乗りやすいです
本日は道の駅で地元のZ兄弟に遭遇
長々とお話ししました
次の日!最終点検で試乗のオンパレードです!
まず先月ボアアップしたゼファー710をCRキャブに交換し試乗です
軽快に走れます
パワーも申し分なし
次は最強ゼファー930の試乗です
このゼファーは説明の必要なし・・・・速いです
そして本日!
Z1000MKⅡの第一段階のならし運転がようやく終了
そんじょそこらのハッタリカスタムZにつかれるほどこのモンスターエンジンはトロかないぜ
気合が違うぜ
これが男の中の男のZです