東京都 Z400J ビッグブロック 710ccボアアップ

本日は東京都よりZ400Jの改造車の入庫です!!

入庫したのがこの車両です!

グランプリレプリカの改造車です!!

マフラーはBEET?と思いきやウエダのマフラーです!

見た目はまったく同じですがフランジはBEETの刻印がありません!

因みに当時はBEETの下請けはウエダだったので製造元は同じで形状もまったく同じです

最近のトーキョー鉄管はこれの模造品です!

エキパイが長くピラミッドがエンジン後方にあるのが特徴ですがこれはウエダの物でも後期タイプです!

前期の物はもっとエキパイが短いです

ウエダの当時マフラーを制作していた職人さんはタカトリで私に整備の基礎を教えて下さった人です

当時はBEETのフランジだけ送られてきて後は全部ウエダで手曲げで作られていました

それよりこのFXは自走で兵庫までご来店されたのですが・・・

ブレーキランプが光りません・・・・

ホラーやな・・・・

このブレーキスイッチはよく壊れるので!

F・R共に壊れてんのか?

球切れか?と点検したけど問題なし・・・・

球切れでなく球の根本の接触不良でした・・・・

事故無くここまで来れたのが奇跡です

エンジンを降ろします!

おいおい。。。。

メーターギアの固定ステーがメーターギアの下についてます。

メーターギアは刺さっているだけでOリングのゴムの圧力だけで止まってます・・・・

ここが脱落すると大惨事です。

550にボアアップされていたのでクランクはラッキーです!

腰下を分解し550クランクを取り出します!!

ミッションがFXで!

1cmオフセットのスプロケが付いていたのでスプラインがガタガタです!

Rタイヤは180サイズなので1cmではまだ足りないはずです。

1cmスプロケでも限界は超えていてとても危険な改造です。

平成の後期に旧車をカスタムするのが大流行しこの時代にこの様なカスタム車が数多く製造されたのですがカスタム車を買う場合乗り手もマニアでなくてはなりません!

ブレーキパーツ流用や他車種流用パーツがてんこ盛りなのでトラブル・消耗品が発生した場合修理に困ります!

例えばこの車両の場合180サイズでもどんなメーカーの180が入る訳ではありません!

他社メーカーの180でもメーカーにより幅が違うので知らずにタイヤ交換するとチェーンとタイヤが干渉します。

そのまま乗るとミッション破損します!

昔大流行したカスタムですが見た目でRをやたらワイド化しFスプロケをオフセットし事故したお客様を多く見てきました。

なので当店ではこの様なオフセットは絶対にしません

平成の終わりごろは他店で改造したオフセットスプロケのツーリング中トラブルのSOS電話はとても多かったです

知らずに走っている人も多いですがとても危険な改造です!

今回ゼファーミッション流用し当店のFスプロケ(フラットタイプ)を裏向けて装着するので安全に12mmオフセットできます!

エンジンをサンドブラスト加工しました!

クランクケースをボーリング加工して七分艶の黒でペイントしてクランクケースをボーリングしました

クランクメタルとコンロッドメタルを交換しクリアランス測定をして組付けました!

そしてFXミッションは外してゼファー400ミッションを移植します!

1cmオフセット出来て+Fスプロケを裏向けに取り付ければ3mmオフセットできるので適切なチェーンラインになります。

今まではズレていました

消耗品のチェーンやオイルシールを交換しロアケースを装着しました!

ネジはステンの綺麗な物に交換しました!

ワンウェイクラッチとオイルポンプを組みこみます

そしてゼファーのクラッチを移植します!

こないだ沖縄のお客様が寄付して下さった部品を移植しました!

FXクラッチに比べクラッチが軽くなりトラブルも非常に少なくなんせクラッチレリーズの調整不要になります!

この調整は意外とバイクショップでも失敗する事がありプライベーターだと上級者でないと調整出来ませんがゼファーだととても簡単です!!

ミッションカバーもクラッチのプッシュロッドにメクラを溶接し塞ぎます!

クラッチカバーを装着し腰下完成です!

次はシリンダーヘッドに取り掛かります!

燃焼室とポートを掃除しました!

このヘッドも一度OH歴がありますがバルブシートは無傷です!

厳密には人為的に加工された事のないバルブシートなので良好です!

バルブシートは出来るだけ交換しないのが良いのですが深堀されると流石に厳しい・・・

ザッパー系エンジンの場合は交換をお勧めします!

45度と70度の二面を加工しました!!

70度で加工しバルブシート内径を拡張します!

全箇所バルブシートの加工完了です!

バルブのカーボンを落とします!

バルブの研磨機で45度面を研磨しました!

バルブの擦り合わせをして圧力検査をしてシリンダーヘッドを組み上げます!

吸気ポートを拡張し!

排気ポートも拡張しました!!

シリンダーヘッド完成です!!

次はビッググロックシリンダーのボーリングが完了したのでダイヤルゲージで想定します!

測定完了です!!

ピストンを組みビッグブロックシリンダーを組付けます!

シリンダーヘッドを装着します!

久しぶりの赤シリンダーです!

カムシャフトを組みます!

元々装着されていたのがZ400GPのカムシャフトなのでFXより若干ハイカムですがゼファーシリーズの中ではトルク型のカムになります!

メーターギアはメクラにしてあります!

以前はステーを付けてからその上からメーターギアが刺さっていたので何も固定されていない状態でいつ抜けてもおかしくない状態でしたのでしっかり固定します!

ヘッドカバーを組んでエンジン完成です!!

エンジンを車体に搭載し火入れします!!

快調!!

実は今月このマフラーを手曲げて制作していた当時ウエダレーシングで働いていた先輩(おじいさん)と話ししていたのですが。

手曲げなので精度は今のマフラーに比べると悪い

本当に悪くてこのマフラーの場合ガスケット二枚重ねでやっと排気漏れが直りました

当時は砂を詰めてガスで加熱し曲げていたのですが私がタカトリで働いていた時も横目で曲げる姿を見てカッコイイなと思っていました。

いざ自分で曲げてみるとその大変さが痛烈に分かる・・・・

エキパイの曲げ方や集合部のピラミッドの作り方を見ているととても勉強になり職人技を感じました!

その先輩が昼弁当を食べて昼休みに曲げにかかると私も弁当をかきこんでマフラーを作る風景を見に行っていたのを思い出します

ただ平成の終わりごろになるとNCパイプベンダーでマフラーを試作している風景を他店で見ると。。。。

こんな形状手作業じゃ無理・・・・

手曲げのマフラーがガラクタに見える程綺麗な曲線でしかもパイプが楕円にならずほぼ真円!!

パイプを曲げると砂を詰めてもパイプは潰れるのが宿命なので昔は曲げる前に楕円にしてから曲げるなんて方法もあったらしいのですがNCだと歯磨き粉のチューブを踏んだ様に綺麗なパイプが出てきて「こりゃ人の手作業では無理な形状」と一瞬で諦めました。

またエンジンが時代と共に大排気量化となると太いエキパイが必要となり制作するにはもっと困難な時代になっていきます。

太いパイプを曲げる程エキパイの付け根は変形しフランジとフレームの距離が短いザッパー系エンジンにとっては難しい形状となります。

しかしNCだと人力では難攻不落の形状にアクセスができます

当店のマフラーはエキパイ形状38mmなので太いエキゾーストパイプなのですが実際に手曲げで作ると4-1のピラミッドを溶接で固定する形状のマフラーだとなかなかそろわない物です。

当時物の手曲げを付けるとエキパイのボルトがよく折れるのはエキパイの精度が悪くボルトにストレスがかかるのが原因です!

一度折れて修理しても同じマフラーを付けると同じボルトが折れる事が多いです!

しかしNCだとエキパイの角度・ピッチまでピッタリ!!!

38mmのパイプが排気ポートに収まると言う事が手曲げだとありえないのですがNCだと出来てしまいます

マフラーと言っても現代と当時とは比べられない程の正能の差があります

令和の時代はどうなるのかと思いますね・・・

早速試乗をしに七曲りまで来ました!

FXの改造車に乗るのは久しぶりです!

17インチはタイヤを選べるのでラジアル化した車両はコーナーリングの安定感があります!

平成の後期のカスタム車ブームでFXは殆どカスタムベースでしたのでオリジナルの状態は殆ど無くなりましたが今はノーマルの足回りが高額で取引されます!

あの時代のカスタムはドレスアップがメインでエンジンは精々615ccでガンダムみたいなドレスアップが支流でした

当時のカスタムバイク雑誌をアメリカに持っていくと笑われた~・・・!

「何でノーマルエンジンなのにこんなカスタムするの?」

「お前の国のカワサキなのにメイドインジャパンのピストンは無いのか?」

アメリカ人には不思議なカスタムだったんでしょうね・・・

私が20前後の頃はFXのホイールも「アルミの重さで高く売れる!!」「中国のオリンピックで金属が高騰しとるから今売れ!」と言われていた時・・・

置いといたらよかった・・・・・

そのまま万葉岬まで来ました!

710ccエンジン怪力になり足回りに負けないエンジンなりました!!