兵庫県 Z400FX 710ccボアアップ

本日は地元兵庫の神戸市よりZ400FXのエンジン単品での入庫です!!

入庫したのがこのエンジン!

神戸でエンジンを降ろして入庫なのですが大きなメカノイズで入庫です!

ノイズの原因を探ります!

ゼファー550シリンダーっぽいので何かのピストンでボアアップされているかもしれません!

シリンダーヘッドをめくると!

モリワキのピストンでした!

当時の一本リングの物なので圧縮がすぐに弱りスカスカになるエンジンなので排気量は上がるけどパワーが出なくなる事で有名なやつです!

腰下を分解していきます!

組間違いが早速出てきました!

酷いメカノイズが出ていた原因は何となく予想がつきました!

ワンウェイクラッチに装着するスペーサーがワッシャーの代わりに何故かセカンダリーシャフトのナットの裏に装着されています。

オイルポンプのネジも緩んでいます

締め忘れですね

びびったのがエンジン内部にゴキブリが死んでいた事・・・・

組み間違えのオンパレードです!

メカノイズの原因はコレ!ここのギアがクランクケースに干渉していたみたいです!

クランクメタルは適正地ですがコンロッドメタルのクリアランスは違うみたいなので当たりがキツイです。

今まで散々ブログに書いていきましたがエンジン故障の原因は暴走族の様な回し過ぎによる乗り方回し方で壊れる事が多いですがそれと同等なぐらい素人の整備士による組み間違い・・・・

せめてマニュアルと同じ部品構成で組もうよ・・・・

40年前のエンジンなのですでにマニュアルの基準なんか基準になりませんしマニュアルにない点検項目も多いのですがせめて同じ様に部品を戻してほしいです

エンジンを全分解しサンドブラスト加工をしました!

そして半艶の黒に塗装しました!

クランクケースのボーリング完了です!

クランクシャフトの曲がりを点検しクランクメタルを交換しクリアランス測定をします!

コンロッドメタルも交換しコンロッドを組付けます!!

ミッションを分解して洗浄し組み込みます!!

そしてクランクケースのロアケースを装着します!

綺麗なステンのネジに変更しました!

クランクケース内側にはワンウェイクラッチのギアが干渉した傷が入っています!!

ここの音は相当大きな音がしていたと思います

エンジンは組まれたら本当に外観でしか分からないのですが中でどんな組まれ方しているのかが肝心で一般のお客様にとって本当に判断が難しい所です。

整備士の見た目が高齢で経験者っぽい外観でもただの老害だったり口では専門用語連発でプロっぽかったりしても実際は経験の無い整備士だったり。

以前このエンジンを組んだ人の仕事の内容だとお金を払うのではなく壊されたので弁償レベルです・・・

特にボアアップの場合組手の失敗をピストンだったり内燃機屋に責任転換したりもよくあります

ボーリングしてエンジンを組んで異常が出た場合原因は大きく3つで「ボーリング加工が悪い」「組んだ整備士の経験不足」「ピストンが悪い」

これのどれかなのですがそうなると

内燃機屋が悪い

整備士が悪い

メーカーが悪い

のどれかになります

お客様は整備士としか接点がないのでその整備士の説明は「内燃機屋が悪い」「ピストンメーカーが悪い」この二択になりますかね・・・

例えば私が経験したのはタカトリで整備士をしていた時はバイクショップから連絡が来て「御社のピストンが悪い」「オイル上がりする」

この連絡が多々ありましたね・・・

ピストンとシリンダーを送って貰うと加工精度がクソすぎたり粗悪品のオイルを使ったりと何も点検せずに組んでいる物ばかり。

そのトラブルを起こしたお店のお客様には「タカトリのピストンが悪い」っているんだろうな。。。

と想像しながらゴミみたいなバイクショップのクレーム処理をした事も何度かあります

また何度もブログに書いてますが名門ショップでもそのお店の誰が組んだかが肝心です。

そのお店の新人なのか昔からのベテランなのかで仕事内容はウンコとケーキぐらい違う・・・

タイヤ交換で異常があれば直ぐに気付けますがエンジンはマジでヤバいトラブルに発展します

クレームを言うと廃業して蒸発したり開き直られたりは今まで数えきれない程聞いています。

ワンウェイクラッチとオイルポンプを組付けました!

勿論スペーサーも元の組み方戻したので安心です!

そしてこのエンジンは一時減速が550だったので一次減速550でFXクラッチでFスプロケ18丁で設定します!!

ゼファークラッチを組むと高額なのでFXクラッチでいける減速比で設定します

お客様のエンジンの仕様をみて最もコスパの良い仕様にします!

強化クラッチを組み!

クラッチカバーを組んで腰下完成です!!

次はシリンダーヘッドに取り掛かります!

燃焼室を掃除しました!

幸いバルブシートは未加工なのでシリンダーヘッドの修正はしやすいです!

45度と70度でバルブシートを仕上げました!

全箇所のバルブシートのシートカット完了です!

次はバルブのカーボンを落とします!

そしてバルブの45度面を研磨機で修正しました!

バルブスプリングは所々天地逆さまです

全て組み戻します!

このバルブスプリングが天地逆さまなのは結構あるトラブル・・・・

今までよくある事過ぎてブログに書く事はないのですが分解歴のあるエンジンだと解らずに組んでしまっている場合があるようです

バルブの擦り合わせをして圧力検査に合格したのでシリンダーヘッドを組み上げます!

廃棄ポートも拡張しました!

このオーナー様のエンジンは車体はFXですがエンジンはGPエンジンです!

フルパワー化されていたのですがモリワキピストンでパワーダウン仕様です

ピストンが粗悪品なのではなく当時はピストンリングが鋳造で分厚く摩擦抵抗が大きかったのでフリクションを減らす為にセカンドリングを無くすというレース用ピストンです。

なので1レース毎にピストンリング交換が必要でした。

公道で走るには無謀すぎる構造で圧縮時に混合気や排気ガスがクランクケースに吹き抜けるので使い物にならなかったピストンです

当時はヨシムラも600ccキットがありましたがゼファー用でした!

厳密にはGPZ400Fは燃焼室が二種類あり燃焼室が狭いヘッドだとピストンとシリンダーヘッドが衝突するトラブルが多発。

設計ミスなのか本当にゼファー専用設計だったのはか不明・・・・

そんな時代もありました

ビッグブロックシリンダーのボーリングとホーニングが完了したのでクリアランスを測定します!

測定完了です!

ピストンとビッグブロックシリンダーを組付けます!!

そして先ほどOHしたシリンダーヘッドを装着します!

GPのフルパワーヘッド仕様です!!

カムシャフトを組付けタペット調整をしました!

ヘッドカバーを装着してエンジン完成です!!

点火装置とキャブとマフラーを装着しエンジン点火!!

メカノイズも消えてとても綺麗なエンジン音になりました!!

Z710FXフルパワーエンジン完成です!!

このエンジンのオーナー様より!

あんこの詰まったトミーズのパンの差し入れを頂きました

有難う御座います!!