本日は久しぶりに10代の若いお客様のご来店です
入庫したのがこのゼファーです
年に一人は10代の若者が来るのですが去年はゼロだったので地元の常連様も驚いていました
今の20代前半までの人にとってゼファーはかなりの高額な車両です
私の10代の頃はゼファーは10万以下で怖い先輩から売りつけられるバイクでした
バイクのエンジンを分解して勉強したいと思えば山に不法投棄されたゼファーのエンジンや残骸がゴロゴロしていたので私の青春時代はとても身近なバイクでした
今では考えられませんが捨てられるバイクでしたからね
エンジンを降ろします
このゼファーは数年前の広島での土砂災害の時に埋もれた事があるらしく分解すると赤土が出てきます
当時の災害を物語っています
エンジンを全分解しサンドブラスト加工します
下処理完了です
エンジンの塗装をしました
半艶の黒でクランクケースのボーリングも完了です
クランクケースを洗浄しクランクを組んでいきます
クランクメタルを新品に交換しクランクシャフトのクリアランスを測定します
そして次はコンロッドメタルを交換しコンロッドのクリアランスを測定します
550クランク・550コンロッドの組み込み完了です
550クランクを組む時どうしても相性の良くない物があります!
クランクシャフトのメインジャーナルが太くクランクケースが狭い物です。
その場合一番薄いメタルを使っても規定値をオーバーしていまうのでその様な場合は他の550クランクに交換が必要です!
実はこの様な事は年に2機程あります。
なので550クランクを組む!
と言っても稀に規定値に収まらない物があるので550クランクを買っても良品でも組み合わせが悪い為組めない場合があります
ミッションを分解、洗浄し組み立てました!
クランクケースに組み込みます
クランクケースのロアケースを組み込みます
そしてワンウェイクラッチを組みオイルポンプを組み込みます
完了です
ネジもステンに変更です
Z400FXとゼファーではクランクケースだけでも細かく変更されています
そもそもアルミの素材から異なりますが見た目ではクランクケースのリブを減らしエンジンマウント後方の肉抜きやボルトのショート化が図られました
持って比べるとゼファーのクランクケースの方が軽量です
しかし車両の搭載してしまうと分からないレベルですが小さな設計変更が数多くあり一番はゼファー400のフレーム!!
400ccのネイキッドモデルのなかでもフレームは最強で合理的な設計となりました
ゼファーのフレームとその前のGPZでは確実に大きく変わった事があります。
ゼファー以前は設計者が「こうだろう」と想像の中模索し作られていたフレーム!
ゼファーは制作したフレームをPCに取り込みテストライダーが走行し走行中どの様にフレームに負荷がかかっているか立体的に見れる様になった事があります。
しかしエンジンに力が無い・・・・・
川崎重工の社員に裏話しを聞くと
ゼファー開発は新人に投げられた仕事だったらしく当時はレプリカ全盛期!
ベテランはレプリカ開発に取り掛かっていたためゼファーは「売れないだろう」
と捨てられた案件だったらしいです
新人が何となくで設計するとトラブルが多発・・・・・
ホイールを作ると「重いやんけ!!!」
「削ってしまおう!!」
それでゼファーのホイールのこのデザインが出来ました・・・・・・笑
「〇〇〇のメーカーはもっと削っているからもっと削って軽くしましょう!!」
と上司に掛け合ったらしいのですが「カワサキの基準ではダメ」と言われたらしい・・・・笑
このゼファーのエンジンカバーも
「(某社)のエンジンカバーかっこえーなー!」
がきっかけだったらしい・・・汗
よく見ると形がそっくりです。笑
でもフレームは当時の最先端の技術で作られ軽量で剛性も文句なし!
エンジンはFXからの血統を守り抜いた最後の車両!
とも言えるしFXからのマイナーチェンジで済ませたコストパフォーマンスにすぐれた車両とも言える。
昔のバイク雑誌の糞テストライダーはゼファーをバカにしてたケド。
言い換えればパワー上げるならご勝手にと言わんばかりの潜在能力!!
デザインがカッコよかったので新車のバックオーダーが追い付かない状態となりゼファーに乗れない人がしかたなく妥協してFX・・・・
レプリカの時代を終わらせた名車となり若者にも爆発的人気となりアラフォー・
アラサー世代は先輩から買うか買わされるバイクとなりました!!
今の10代の子にとってゼファーは高級車・・・・・
個人売買の相場でも4,5倍でしょうか・・・・・
今の10代の子がゼファー乗ってると「ホンマに好きなんやな」と思います。
私が10代の頃は山に不法投棄されていたのでとても身近でした
強化クラッチを組みます
クラッチカバーを組んでエンジン完成です
次はシリンダーヘッドに取り掛かります
燃焼室とポートを掃除します
このシリンダーヘッドはとても良好
基本ゼファーのヘッドは良品が多くシートのダメージが無い物が多く殆どが軽い修正で済みます
45度と70度でシートカットします!
吸気側は30度も加工したので3面加工で排気は40度と70度の2面加工です
全箇所シートカット完了です
バルブのカーボンを落として!
45度を研磨機で修正しました
このシリンダーヘッドを見るとテンショナーが故障していたのが分かります!
この削れた痕跡はカムチェーンが暴れた痕跡です
ゼファーもFXも半数近くはこの様な痕跡があります・・・
バルブの擦り合わせをして圧力検査をしてシリンダーヘッドを組みます
こちらのお客様も吸気ポート拡張し!
排気ポートも拡張しました
シリンダーヘッド完成です
シリンダーとピストンのクリアランスを測定します!
規定値です
ピストンを組み込みビッググロックを組みます
シリンダーヘッドを組みます
フィンは研磨無しの黒仕様のエンジンです
写真では分からないですが真っ黒にするとステンのボルトが目立ちカッコいい
カムシャフトを組みタペット調整をします
ヘッドカバーを組んでエンジン完成です
車体に搭載しエンジンを始動させます
快調なレスポンスです
試乗をしにかな福のうどんを食べに行きました
やはりゼファーは重心が低くとても軽い
710エンジンとの相性抜群です
そして七曲りへ来ました
ゼファー710完成です