地元の常連様でとても長ーいお付き合いのお客様なので特別にZが入庫しました!
私の修行時代からのお客様なので久しぶりにZのエンジンを紹介します。
エンジンフルOHでボアアップします!
ゼファーやFXのエンジンのお客様優先なので少しお時間かかりますがご了承下さい。笑
早速エンジンを降ろします!
ボロボロの状態でオイル上がり状態です!
カムチェーンガイドは粉砕し半分しか残っていません・・・・
ピストンは4つともオイルでベトベト。。。
まっ!Zのエンジンにしては全然ましです!
Zのエンジンはまともなエンジンはほとんどないのでノンレストアエンジンだと、こんなのは当たり前です!
スリーブを抜きます!
スリーブが回ることなく状態は非常に良いです!
ピストンとスリーブの内径は完全にダメですがスリーブ交換のオーバーサイズピストン!
焼けていようが関係なしです!
ヘッドの状態も非常に良く一安心!一度も分解されていません!
過走行ってほどでもありません!
Z400FXならこんな心配ありませんしトラブルと言っても簡単、格安で済むのですがね・・・
エンジン内部は非常に綺麗な状態でした!
Zのエンジンにしては完璧な常態のレストアベースエンジンです。
本日は徒歩3分のご近所様(Z1乗り)の方と今エンジン製作中のZ1000のお客様より差し入れです!
大量のラーメンとタバコ!!!ありがとう御座います!
クランクケースをボーリングします!
フライスでグーリグリってな感じで削ります!
ゼファー400の710cc化と比べるとバリ取りレベルです。
Zのピストン・・・今まであまり見てこなかったのですが。。。
ワイセコピストンはあまり大きなサイズがありません。。。。
当店の基準では補修用ピストンです
Z1000の6ミリオーバーサイズが純正シリンダーで行ける限界サイズ・・・・
昔は77ミリがあったのですが今はアメリカでも作ってないらしーです
(アメリカに問い合わせしました)
わずか6ミリのオーバーサイズなので体感出来るかな?
1200ccなので20パーセントアップ。。。。
これをボアアップと言えるか、ですが
ストリート使用だとこれぐらいが楽しいかもです!
このお客様だとしばらくすると「物足らない」と言われそう・・・・
すみません・・・・泣
Zはボアアップには不向きなエンジンです。。。
FCRやST1カムでもー少しパワー出ると思います!!多分・・・・
それでも物足らないのであればビッグブロックですね!
エンジンをサンドブラストしました!
腐食だらけのエンジンも下処理が肝心です!
半つやブラックにペイントしエンジンを組んでいきます!
クランクシャフトのガタなし!
コンロッドのガタなし!
ベアリング良好!
状態非常に良しです!
Z1000のクランクは非常に重くZ1よりトルクを体感できます!
最高の状態です!
エンジン内部を徹底的に洗浄しミッションのギア抜け・磨耗の点検をし組上げます
勿論消耗品のカムチェーンも新品です!
Zのカムチェーンはローラーチェーンなので抵抗は少ないのですが磨耗しやすいです。
なのでエンジン分解時は絶対交換です!
そしてシリンダーのボーリングが完了しました!
Zの業界では1200cc以上の排気量はオイル滲みしやすい!
と言われているらしいです・・・・
その原因は大きなスリーブを入れるとクランクケースとシリンダーの接触面積が1ミリになるからです!
1ミリの接触面積でオイル滲みを防げないわけではないのですがリスクの高いエンジンになってしまします!
これはZのシリンダーの構造上の問題です。
このシリンダーはアルミ溶接を12箇所肉盛り溶接しシリンダー下面を面研!(極小です)
その面を基準にボーリングしています!
勿論!Oリング溝切り加工しOリングを厚入しています!
「オイル滲みしやすい」と言うことはエンジン分解・組み立ての作業工程にボーリングが噛んだレベルの仕事です。
プライベーターでもできて理解できますよね・・・笑
溶接肉盛りをすることにより大幅に接触面積を増やすことが出来るのでオイル滲みを回避出来ます!
「どんな加工やねん?」ですが企業秘密です。笑
企業秘密にするレベルではないと思うのですが他店ではしない加工らしいです。。。。汗
なので地元のお客様に「公開せん方がえんとちやう?」と突っ込まれました。。。。汗
こんなレベルの仕事はゼファー710ccや900cc化の仕事にくらべれば朝飯前です!
難易度ゼロです!
クリアランス測定をします!
完璧な仕上がりです!
次はヘッドのリビルドです!
オリジナルの状態からのリビルドなので簡単です!
非常に心配だったバルブガイドもとても状態が良く交換せずにすみます!
45度をシートカットし75度でシートリング内径拡張です!
いつものゼファー系エンジンでは70度で拡張するのですがZのINのシートリングの内径は非常に分厚く贅肉の塊です。
EXのシートリングの内径は元から75度以上の角度で加工されているので当たり面の調整程度に70度で加工です!
全体的に見るとこんな感じです!
INのシートリング内径をアップで撮影すると・・・・
手前がEXで奥がINです!
写真では手前がINに見えますが・・・・汗
INのシートリングの内径が大幅に拡張されたのが分かりますよね!
大きなバルブでもシートリングの内径が小さいとさほど効果はありません!
これで吸気時の充填効率が非常に良くなります!
同じメーカーの空冷でもゼファー系エンジンとの加工の違いが良く分かりますね!
もっとパワーを引き出すにはポート径の拡張なのですが予算の絡みで今回はしません・・・・
またゼファーのエンジンとの大きな違いはZのエンジンは削りしろが少ないです。。。
ゼファー400系エンジンの場合バルブ自体が非常に小さく軽いのでバルブガイドの突き出しをカットしても問題ありませんがZの場合ゼファー400系エンジンのような加工をするとヘッドの寿命がとても短くなります。
適度な加工にとどめて下さい!
むやみな拡張をするとマニーホルドとヘッドの接触面積が少なくなり二次エアーを吸いやすくなります。
Zのエンジンに出来てゼファー系エンジンで出来ないこと!
逆にゼファー系エンジンに出来てZのエンジンで出来ないこともたくさんある!
と言うことです!
INのシートリング75度の内径拡張はほんの一例です!
次はバルブです!
INは状態がとても良いのですがEXのバルブは45度面にダメージがあります。
黒い部分はへこみです。
こんなのも新品交換ではなく修正出来ます!
ピッカピカです!
このバルブの45度の研磨!専用の工具があります!
しかし日本の機械ではありません。。。。
アメリカ・ヨーロッパの工具です。。。。
日本ではリスク回避の為新品に交換!が常識で、そもそもエンジンを直す文化がない国とも言えます。
最近zの流行で修正が雑誌で非常に多く取り上げられていますが内燃機の機械はボーリングマシン・ホーニングマシン・精度の良いシートカッター・面建機・・・・
一流メーカーはほとんど海外なのです。。。汗
壊れた部品を直す文化が工具メーカーに現れます。。。。
こんなバルブも修正せず新品に交換すると私の手間とリスクと時間の節約にもなり簡単なのですがね。。。笑
お客様の財布が苦しくなる。。。笑
すべて綺麗になりました!
ここからがとても肝心!
すり合わせと圧力検査です!
が・・・・ヘッドの状態が非常に良く一発合格です!
ゼファー系エンジンと違いzのエンジンはオイル下がりが非常に多いです!
ステムシールを純正の新品にしてもオイルが下がる・・・
内径にはガタがなく規定値を外れていないのにオイル下がりする・・・
これはバルブガイドの外径からのオイル下がりです!
Z400FX・ゼファーのヘッドではめったにありません!
見た目での点検では分解時にEXポートのバルブガイドが濡れていないか点検する人も多いですよね?
しかし!
OH前はオイル下がりがなかったのにOH後にオイル下がりしだした!
なんてトラブルを経験した人も大勢いてはりますよね?
なぜか?ですが。カーボンが溜まっているおかげでバルブガイドの外径の隙間が埋まっているからです!
カーボンを落とした状態で圧力検査をし合格ならヘッドを組みアウトならガイド交換です!
このヘッドはまだまだ大丈夫!!!
Zのエンジンでの見積もりが大きく狂うのがヘッドです!
あとクランクシャフト・・・・
あとミッション(セカンド)・・・・・
あと・・・言いだしたらきりがないですね。。。。笑
同じトラブルでもZ400FX系エンジンは格安ですがZは大幅に狂う!
Zのエンジンは「開けてみないと分からない」これが当たり前なのです。
Z400FX系エンジンはさほど予算オーバーしません。
クランクケース代ぐらいです。
ゼファー400系エンジンは予算は絶対オーバーしません。笑
400系エンジンは前に分解した人の人為的ミスが困るぐらいです。
部品代が高額なのでご理解下さいね!。。。。
INポート!綺麗になりました!
EXポートもです!
この状態で圧力検査に合格するとオイル下がりはありません!
ピストンを組み付けます!
安全なボアアップは77ミリが限界みたいですね・・・・
アイドラギアは新品に交換!腰上のゴムパーツは全交換です!
真ん中の溝は液体ボンドで埋めます!
シリンダーは溶接で面研で下面の構造を変更しています!
そしてヘッドを搭載します!
勿論カムメタルも新品!
トップアイドラーも新品です!
このへんの部品は絶対に交換したほーが良いです!
カッコよくて美しいエンジンになりそうです!
タペット調整をしエンジン完成です!
ついにエンジンに火が入りました!!!
よし!!!
とても静かでパワフルなエンジンの音!!
早速七曲りまで試乗です!
やはり1200ccぐらいだと体感できます!!!
ボアアップしている!と言っても大丈夫でしょう!
このぐらいの排気量だとオイルクーラーも必要なしですね・・・・
とんでもない熱量になるのかと思いましたがエンジンの大きさの割にピストンが小さいので姫路の待ち乗りレベルだとまったく問題なし!!!
注意! エンジンの組み付けがしっかりしていれば問題ありません。
雑誌などで過剰に書かれているので警戒してしまった・・・・汗
しかしこのZのオーナ様はサーキット走行もするので今後オイルクーラー取り付けます!
キャブのFCR・ハイカムも組む予定です!
CVKキャブはとても高性能で乗りやすいのですがもっとパワーある方が乗りやすいですね!
そしたらもっとZのエンジンはパワー出るので乗りやすくなります!
本日の七曲りは誰もいません・・・・
平日の夕方なのでしかたない。。。。
工場に帰ります!
Zのエンジンでパワー不足を感じる人は大勢いると思います。。。。
当店のZのボアアップは76ミリピストンからがボアアップです。
それ以下のピストンは誰でも出来るのでお断りしています。
今後はゼファー400・Z400FX系のお客様の合間を見ながらですが
Zのエンジンも受け入れていこかと!思います!