本日はまたまた香川県よりボアアップで入庫です
以前当店でボアアップされた若手社長の友人のお客様です
ちなみにこの車両のオーナー様も社長で10代でパパとなり社長になられた凄まじい人生を歩まれているのは少しお話ししただけで分かりました
先月の神戸の社長もですが最近経営者の社長が入庫される事が多いのですがその話しを聞くだけでも面白い
なんか勇気湧いてきます
入庫したのがこの車両です
Z550GPと言う名ですが実際はFX!!
輸出モデルの車両でフレームはリンカーン工場で製造されたメイドインUSAの車両!!
FXからGPに代わる角季の車両で特徴は各目のビキニカウル!
そして燃料メーター!
あとは550のFXと同じです
日本では殆ど見ない車両ですがアメリカにはこの様な車両がありました!
またフレームの製造技術は国内のFXよりも綺麗でズレもない!!
国内のFXは溶接のし忘れやステーがズレて溶接されているのは当たりまえで特に初期のE1は酷い・・・・・
テールランプは歪んでいるのが当たり前の車両です
竹の定規を当ててバチバチと溶接していたのですがさすがにE4辺りは慣れているのか比較的綺麗に溶接されています!
フレーム番号を気にしないのであれば絶対輸出モデルのZ500・550FXがお勧めです
国内の車両みたいに事故車が少なく砂漠地帯はサビもない
上物の車両のベースが多いです
早速エンジンに取り掛かります
エンジンを降ろしました!!
少なくとも腰上(シリンダーヘッド)は一度分解された痕跡があります!
ヘッドカバーガスケットがFXではなくZ400GPの物が入っていました
日本人かアメリカ人かは分かりませんが車両の名がZ500GPなので間違えたと思われます!
シリンダーヘッドを分解するとステムシールが一か所入っていません
他の7か所は入っていましたがカチカチに劣化していてパリパリと割れました
ここの素材はゴムです
そしてジェネレーターカバーを外すと!!
マグネットローターにボルトがくっつき磁石がガリガリです
ここのボルトが緩んでいて脱落したみたいです・・・
3本中一本しか締まっていない状態でした
マグネットローターは良品に交換します
エンジンを全分解しサンドブラスト加工をしました
こちらのオーナー様はGPヘッドでフルパワー化です
ヘッドは当店の在庫を使います
エンジンをペイントしダミーシリンダーでクランクケースのボーリングをしました
半艶のブラックが一番似合います
綺麗なエンジンになりました
クランクメタルを新品に交換します
クランクとのクリアランスを測定すると一か所ブラウンが入ります!
七割~八割はブルーですが!
たまにこんなメタルを使う場合があります
Zのエンジンは置いていくだけなのでとても簡単!
カブのエンジンを経験するとZは誰でも組めるほど単純なのですが
落とし穴がZには多々あります
マニュアルには記載されていないトラブルなのでやはり簡単でも経験が必要です
ザッパーエンジンはここの測定が時間かかります
過去には全部ブラウンのメタルってものありました
後はトルクの管理!
プライベーターやチャリ屋の延長のバイクショップではトルク管理が悪くメタルを焼いてしまうってのもありました
腰下で一番神経質になるのはこことミッションのギア抜けです
FXの場合ミッションは少しでも摩耗していると無料で交換可能です
全然使える位の摩耗でも交換しています
コンロッドメタルも交換し測定完了です
コンロッドメタルも全て測定が必要でマニュアルのは「コンロッド大端部にマークありはこのメタル!」と指示がありますがこのマークはスタンプなのでほぼ100%消えています!!
マークが消えのっぺらぼうなので実際は測定が必要です!
ミッションを洗浄し点検し組み込みました
今回はゼファークラッチの移植をしないのでプッシュロッドを入れる予定です
ロアケースにシフトドラムを組むのですがなんか変・・・・
この部品・・・・
1速・N・2足→・→・とシフトドラムを位置決めする部品なのですがいつもと感触が違う・・・
手にした感触も変・・・・・・
測定してみます!!
↑こいつは当店の在庫にある良品!
↑こいつは元々入っていたやつ・・・・・
35/1000ミリ程・・・・・分厚いんです
このちょっとの差でクリップがパチっと綺麗に収まらないので交換!
分解時にクリップが溝の奥まで入っていなかったので違和感があったのですが組む時にも違和感がありました
良品に交換しクリップが綺麗に噛み込み完璧です
こんな場所のトラブルは勿論マニュアルには書いていません!
400エンジンは300機以上組んできたと思いますが今でも勉強する事があります
こんな所でクリップが外れるとどんなトラブルを引き起こすか考えただけでゾッとします
この様にメーカーの部品の悪さもあります!
オイルラインが貫通していなかったりオイルラインにキリコが詰まっていたりFXではオイルラインを加工中のドリルが折れその折れたドリルの先端が残ったままってのもありました
あとはシリンダーヘッドのシリンダー側の面が鋳型が残って面研磨途中の物やオイルポンプの位置決めのピンが異常に長く継ぎ足してあったり
が、それよりも圧倒的に多いのが素人が組む事による人為的なトラブルです
ピストンでもZ400FXやGPにワイセコピストン入れたり550ピストン入れて圧縮低くしてスカスカだったりGPにヨシムラの550クランク用ピストン入れて壊れたり同じくPOSHのピストンを400ケースに550クランク入れて衝突させたりFXにゼファー400クランクとゼファー400ピストン入れて衝突させたり・・・・
まあヨシムラの550ピストンは設計ミスなのでメーカーが悪いのかな?・・・・
色々あります・・・
ロアケースを組み込みます
クランクケースのネジもステンレスに変更です
オイルポンプをワンウェイクラッチを組み込みました
オイルパンを組んでエンジンをひっくり返します
こちらのオーナー様は一次減速550をそのまま組みます
一次減速を550・Fスプロケ18・R38丁に変更しFXのクラッチカバーをそのまま使います
これの減速比でもショート・・・・
かなり加速気重視です
既製品である減速比では一番ロングのセッティングですがRスプロケを35丁程に落とすともー少し乗りやすいかなと思います
しかし35丁は特注になります!
FXクラッチカバーを装着します
ミッションカバーはサンスターの18丁が入る様に加工しています
PMCの18丁なら干渉しないのですがPMCの18丁はスプロケを加工しないといけません(分厚い為)
プッシュロッドのオイルシールはメーカー欠品なので他車種流用です
シリンダーヘッドの修正をします
このヘッドはOH歴ありですが精度は良かったです
45度を加工し70度でシートリング内径拡張をしました
全てのシートリングの加工完了です
バルブのカーボンを落としました
EXバルブはかなりダメージがあります
一番ひどいのがこれです!!
45面の修正は出来そうですが曲がってないか心配です・・・・
研磨機にて全てのバルブを修正しました
すり合わせをして圧力検査をすると・・・・
やはり圧をかけると漏れます
すり合わせをして光明丹を塗って点検しても問題ないしこのまま組んでもエンジンは問題なく動きますが当店の基準ではNG!
良品に交換です!!
このヘッドはシートカット歴があったのでバルブステムの突き出し量の調整もします
7本研磨し焼き入れをしました!
Zやゼファー750エンジンではこの加工をすると
「ああっ・・・・そろそろ後が無いな・・・」
と、なるのですが400エンジンでは調整しろが多いのでまったく問題ありません!!
バルブスプリングのバネ定数が下がるのがネックですが当店の場合対策品があるので全く問題なしです
このヘッドも仮組して、あらかじめタペット調整をします!
先ほど言っていた対策品ですが!
それはこれ!!
バルブスプリングシートの下に入れるシムです
こいつを入れる事によりバネ定数を基準値に戻す事が可能です
今までも過去にOH歴のあるエンジンでバルブステムを研磨したヘッドには私の独断でかってに入れてきたパーツ
昔は販売していたのですがワケも分からず社外パーツを入れたがる傾向がある日本のバイク業界・・・・
素人が入れるとカムに連動し異音が出るので販売をやめました
こちらのオーナー様もポート径拡張!!
吸気ポートを広げて!
排気ポートも拡張です
FXヘッドを卒業しGPヘッドでパワーアップしそれをさらに拡張しフルパワー化です
400エンジンは拡張してあげると大幅にパワーが上がるので費用相対効かは大きいです
そしてFXの機械式タコメーターを装着するのでシリンダーヘッドにメーターギアの穴を作ります
FXヘッドにハイカムとGPヘッドにFXカムなら絶対にGPヘッドの方がパワー出ます!!
しかし硬派なFX乗りはここをあえてFXヘッドで行く人も多いので見た目かパワーか・・・・
20年以上前はGPヘッドを組むと言ったら超お金持ちがする贅沢な改造でしたがネットオークションなどが身近になるとFXヘッド派が多く出てきたのかな・・・
当時の憧れなのかGPヘッドでフルパワー化は意外と40代以降の人が多いんです
ビッグブロックシリンダーが仕上がったのでダイヤルゲージを入れクリアランス測定をします
測定完了
完璧です
ビッグブロックシリンダーとピストンを組み込みます
そしてヘッドガスケットを組みフルパワーヘッドを組みます
ビッグブロックシリンダーにGPヘッド!!
走る為のパワーを感じます
工場でこのヨインに浸ってますが仕事とが終わり部屋に帰ると娘二人と
「おかあさんといっしょ」を見ます・・・・
時々このギャップに気が狂いそうになるのですが最近は慣れてきました
カムシャフトを組みタペット調整をします
そしてヘッドカバーを組みエンジン完成
部屋に戻ってNHKのゆきちゃんが歌うダンゴ虫の歌地獄もある・・・・
気持ち切り替えます
次の日!
エンジンをフレームに搭載します
そしてエンジンに火入れします
このエンジンも絶好調
CRキャブのブラックボディーにウオタニも装着です
今回GPヘッドでCRキャブなのでファンネルの長さの変更もしました
Z400FXでFX用のCRキャブ装着の場合標準のファンネルだと脱着する時ギリギリフレームに干渉してしまいます
その時フレームに小さな傷が入る時もあるのがネックですよね
なんせ整備性が悪い・・・
今回はGPヘッドにゼファー用のCRキャブですので標準ファンネルは絶対に装着不可能です
なので!!
1番4番はショートファンネルで2番3番はロングファンネル仕様
昔のレーサーのFX乗りはこの仕様にする人が居ました
今でもこの仕様で来店されるお客様も稀に居ます
元々ファンネルはキャブ後方で乱気流が発生するのでその空気を効率よく吸気する為のパーツです!!
しかしFXの場合サイドカバーとフレームがちょうど1・4番のキャブの位置に来るので隙間を空けて吸気効率を上げる人が居ました!
メーカーでもGPZ400Fからゼファーに進化した時GPZ400Fはショートマニーホールドにしていますがゼファーのマニーホールドは長く1・4番のキャブは内側へオフセットされました!
エンジンへの総合吸気力は後者のゼファーの方が優秀です!!
しかしシャーシダイナモの上では違う結果になります!!
何故かわかりますよね!
そこに気付いた人(当時のレーサー)は1・4番のファンネルのショート化を選んだのでしょう
とは言っても一般走行では殆ど体感出来ないのですがね・・・・
今回は標準装備の70mmファンネルが使えないのでこの仕様にしています
試乗に行こうと思ったのですがクラッチが重い・・・・
クラッチワイヤーを外して見るとワイヤーが動きません
エキパイに干渉していた痕跡があるのでワイヤーの内側が溶けているみたいです
ここでクラッチワイヤーを交換するのですが!
STDの長さも物しか在庫が無い・・・・
と、言うか普段はゼファーに変更するのでボボスカと捨てていました
スクラップ置き場から使えそうはクラッチワイヤーを救出する事に!
少し長いけど良品で使える物が出てきたので組み替えると劇的にクラッチが軽くなりました
今年だけでも使う事が無いと思い何本捨てたか・・・・
早速試乗に出かけました
GPヘッドのフルパワーヘッドにCRキャブ!!
メガホンマフラーはお客様が改造して下さったので抜けも良い
勿論エンジンも絶好調
ですがエンジンにパワーがありすぎてパワーもてあましている感じもあります
飛び出す様な加速!
シフトダウンすることなく上り坂でも駆け上がれるのですがトルクありすぎかな
FXヘッドならちょうど良い減速比なのですがGPヘッドなのでRスプロケ35・34丁でも良さそう・・・
乗ってみて乗りにくかったら変更お願いします
710エンジン完成です
今年最後のブログになりますがもうすぐ平成が終わりますね!
ギリギリ昭和産まれで平成を過ごした私ですが次の時代はどんな時代でしょうか!
昭和は戦争・高度経済成長・バブル!
平成はバブル崩壊・失われた20年・リーマンショック!
私が社会人になってからリーマンショックを経験したのですが次の年号でバイク業界は大きな転換点となる時代になります!
因みに不景気になるとバイク屋さんは増える傾向にあります。
「本業(会社)で行き詰まり趣味でバイクさわれるから起業しよう!」
「好きな事を仕事をしたい」
と思う人が多いからです。
バイク屋さんが開店しても数年で閉店するのが多いのはこれが多いんです。
リーマンショック後はバイクショップが増えましたが今は殆どが閉店しました。
昭和の時代は内燃機がまだ発展途上の時代で内燃機屋と言う職業が成立していた時代でした。
私がオートバイ業界に入った頃はこの黄金時代を過ごした職人が大勢いた時代ですがこれからの時代は違います。。。。
今のエンジンは壊れませんし今の自動車・バイクユーザーは壊れたら乗り換えの時代。
これから益々内燃機屋の仕事は無くなります。
勿論バイクショップも縮小傾向になります。
電気が石油に代わるエネルギーなのかもしれませんね!
これが時代、なら仕方ないのですがこれから日本が経済大国として失速しない事を願います・・・・
私の人生を大きく変えた広島県のお客様が居られるのですがその社長が言っていた事が気になります
「今までは学歴関係なく努力で這い上がれた時代だった」
「これからは違うだろうね・・・・」
その言葉が未だに気になっています。