本日は地元姫路市よりZのシリンダーのボーリング加工を紹介します!
ライナーを抜き取り新たなライナーを入れる為にボーリングしていくのですがZのエンジンの場合ライナー交換は絶対条件です!
お店によってはライナー交換せずピストンを洗浄しピストンリングを交換してオーバーホールと言う場合もありますがこのオーバーホールの基準がお店によってアバウト過ぎる問題が難点で現状はオーナー様が知識を身に着けてお店選びをするのがもっとも有効!
今回のZのシリンダーはイレギュラーなマイナートラブルがあったのでバイク屋さんも知りえないトラブルを紹介します!
シリンダーをボーリングしていくのいですがアルミの鋳造は巣穴との闘いです。
当店もオリジナルのビッグブロックシリンダーがありますが巣穴(空気の気泡)なく鋳造するのがどれ程難しいのか分かります
それはメーカーも同じでシリンダーをボーリングすると巣穴が出てくる事はよくあります。
そして今回の問題は2番シリンダーのボーリング中に出てきました!
シリンダーの内径のどの部分に巣が沢山あるのかにもよりますがこの2番シリンダーには嫌な部分(アルミの肉が薄い部分)に巣が出てきました!
問題なのはこの巣の大群の見えている部分は今がピークなのかすの大群の始まりなのかが分からない事にあります。
3本のライナーはいつもの容量で圧入しましたがZのシリンダーの場合は注意が必要です。
この部分はもう一回り大きなライナーを打ち込むので外径1.4mmオーバーサイズのライナーに変更します
0.7mm広げて巣が消えれば一見落着ですが巣が大量発生すれば当店はシリンダーを交換します
本当に滅多にないのですがここを無視するとオイル漏れの原因になりまた、シリンダーの表面からオイルが微弱漏れるので
「ここからオイルが漏れている」とピンポイントで分からない微弱な漏れ方が発生します
Zユーザーだとその手のオイルリークはよくあると思います
0.7mmボーリングして見た目が綺麗でもなかなか分からないのでクラックチェッカーで点検します!
インクを浸透させてから!
探傷剤を塗布し巣をあぶりだします
この赤い点々は全て巣ですがこれぐらいだと全く問題ない巣です
見た目では綺麗ですがボーリング前は目で見て分かる程ボコボコに巣が出てきたので焦りました
またその部分が嫌な場所だったので消えて一安心です
2番に新たなライナーを打ち込みシリンダーのボーリング加工完了です!
この巣の大群は一般のバイクショップでは分からない領域で内燃機屋もバイク屋に送品した後を知らないのでバイク屋も内燃機屋も見落とす場所です。
ここのトラブルに注意が必要なのがZ・J系エンジンとゼファー400・ゼファー750!
このエンジンのシリンダーは注意が必要ですがZ400FXは問題ない!
同型モデルのエンジンでもZ400FXはこの限界値が異なりあまり巣が出ても安心して組めるエンジンです
エンジンチューニングするとなるとシリンダーの剛性・肉厚・アルミの巣の状態・ライナーの素材まで変態な程知り尽くさなくてはいけません。
この様な巣の大群がピンポイントで嫌な部分に出るのは滅多にないですが対処が必要な場合は対処します
最終面研して!
ホーニング加工をして鏡面まで仕上げます
ここで鏡ぐらいまで鏡面にして最終クロスハッチをいれて完了です
面研したシリンダー上面ですが上面にも巣が出てきます!
見た目が悪いですが目的は面を出すのが重要でここの面研は最小限に抑えます!
言うまでもなくシリンダーの機能が変わりバルブタイミングにも関わるのでここは最小限が基本です
そしてZのエンジンの場合もう一つ変態ポイントがあります。
2番のライナーの外形が1.4mm広がったのでOリング溝も変更が必要なのですがOリング溝を広げると砂時計の窪みとOリング溝の境界の肉厚が薄くなるので細いOリングで対応します!通常のOリングより0.4mm細いので溝を広げ過ぎず済みます
「ゴムのOリングは劣化するから意味が無い」と言う意見もありますがそんなことは100も承知で何故どのバイクメーカーもOリングを入れるのかと言うとゴムと言う物質があるだけでオイルの侵入を大幅に減らすのが目的で完璧な侵入は防げません。
8割から9割防げたら良いだけであとはシリンダー本体で防ぐのですがここで問題になるのが巣穴・・・
1割程の微弱なオイルは本来出てこないのですが巣があると出てくる場合があります
この赤いOリングはボアアップエンジン用なので高額ですがそれを2本入れています
細いので通常の溝に2本入る設計です!
ここまで来るとプロのバイク屋さんでも理解している人は変人の領域です
この様にボーリング加工と言っても普通のバイク屋さんは「〇〇の内燃機屋が腕が良い」とか言いますが精々シリンダー内径のクリアランス精度ぐらいしか判断できません。
エンジンチューナーの場合ライナーを入れる前からシリンダー本体の特徴を把握し職人技と経験が必要な技術です